(9月23日追記:この記事の最後)

英仏海峡を渡ってフランスからイギリスに違法入国をする移民を阻止する目的で、カレの港に海岸線を走る国道に沿って防音壁のような高さ4m、長さ1kmの壁が作られることになり工事が着工した。その両端には30kmの鉄条網が張り巡らされる。建造費用はすべてイギリスから出ており、その総額は270万(フランス2TV)とも320万ユーロ(ル・フィガロ)とも言われる。

Le Figaro電子版(壁の建造ビデオ付き)

英仏海峡の入り口、カレの街には、ジャングルと呼ばれる移民の違法滞在地が広がり、昨年は6000と言われた移民の数が、今年は1万人に膨らんでいるという。国道に障害物を置いてイギリスへ向かうトラックを無理やり止め、同乗しようとしたりするものも増え、私有地をよこぎったり無断で利用する移民で周辺地域や住民の危惧が高まっていることもあり、この夏カズヌフ内務大臣がジャングルの北部部分を強制撤去し解体することを決めた。移民をどこへ移すかを決めないうちから仮住居を強制撤去し、移民の移動を阻止する壁を作ることへ、フランスの移民対策自体への疑問が噴出している。

壁建造についてカレ市長のナターシャ・ブシャールは、「私には何の権限もなく、建設を止めることもできないんです。これは国が決めたことですから」。(フランス2TV)

http://www.ouest-france.fr/monde/migrants/jungle-de-calais-larrete-dexpulsion-des-migrants-valide-4056236

カレのジャングル、photo: ouest france

ジャングル。移民排除の条例が通る(ウエスト・フランス電子版、2016年2月)

アメリカ

一方、2016年9月20日、移民についてのリーダーサミットで参加50か国の代表を前に、アメリカのオバマ大統領は、受け入れ移民を36万人とすると発表した。この数はこれまで議題にのぼった救済できる人数の2倍となる数字だ。救済費用はフランスを含む10か国が負担する。

http://www.state.gov/p/io/c71574.htm

 

9月23日カレ市長、移民阻止の壁建造へ反対行動

ラ・リベラシオン電子版から

カレの共和党市長ナターシャ・ブシャールは23日、壁建造へ反対する〈中止条例〉を発行すると警告した。

この夏カレ市長は、移民阻止の壁建造を承諾していたのだが、今日、市長が政府に申し入れた「建造中止」要請に対して、政府回答が全くないため、工事に着工した会社と会見し、「環境と都市に関する法律」に照らして「(壁建造を)違法とする書面」を作成させたと発表した。市長はさらに、「これに対して8日以内に回答がない場合は、工事中止条例を出すつもりだ」と付け加えている。