オーストラリアから潜水艦12隻の受注
オーストラリアの首相が4月26日、ドイツと日本を退けて、フランスがオーストラリアの潜水艦12隻の受注を勝ち取ったと発表した。その総工費、340億ユーロ(約4兆円)。オランド仏大統領は、これを「フランスが世界の競争に勝ち抜いていけるだけの力を保持していることのしるし」として、勝利したDCNSグループを賞賛した。
潜水艦の名前は「バラクーダ」。全長97m、乗員60人を収容できる。推進力はディーゼルで超高感度ソーナーによりエンジンの音が検知されないのが大きな特徴だ。
契約には部分的な製作機密事項の譲渡も含まれているという。大方の建設工事はフランスではなく、オーストラリア近海で行われるが、フランス国内でも、ロリアン、ナント、ブレスト、シェルブールの4都市の造船所、ならびに部品などの下請け会社200社が大工事に加わる。フランス国内のこの4都市を中心とする関係企業は、丸6年を建設工事に当てるという。受け渡しは、2027年。
一方、この受注が決まる前、DCNSグループはリストラで1000の部署を削減する予定だったが、この受注で部署削減を白紙にしてほしいと希望する社員も少なくない。(フランス2TV)
アメリカに次いで、ロシアと拮抗するフランスの軍需産業輸出
潜水艦や戦闘機などの軍需品の輸出は、2014年は80億ユーロであったのに対し、2015年は倍の160ユーロ(2兆円)に飛躍した。これは一位のアメリカに次いで大きく、ロシアと拮抗するほどの輸出額である。
フランスの主な顧客は、サウジアラビア、カタール、エジプト、インドネシアなど。
たとえば、ヘリコプター発着用空母は4億ユーロ。戦地の兵隊を回収するときに便利な軍用ヘリコプター「カラカル」は一台4000万ユーロだが、ポーランドが50台購入。戦闘機「ラファル」は一機1億ユーロで、カタールが最近24機を購入している。
現実にはジャン=イヴ・ルドリアン防衛大臣がカタールと63億ユーロの契約を取り付けており、「ラファル」輸出のみならず、戦闘機操縦士36人をフランスで訓練し、専門の修理作業員の養成をするなど、戦闘機利用のインフラ形成も含まれる金額が浮かび上がっている。
カタールはこれまで、ミラージュF1、アルファージェット、ミラージュ2000などの優秀な戦闘機をフランスのDassault Aviationから買い付けており、その信頼の上に成り立った売買契約でもあり、ラファルの質も同様に期待に沿うものであるようフランスに要請しているという。
最近では、インドへ戦闘機「ラファル」を大量に売る契約を取り付けたいオランド大統領が、閣僚数人とフランスの企業の責任者をインドまで連れて行ったのはメディアで大きく報道された。ネゴシエーションは現在進行形だが、契約の暁にはラファル36機が購入される予定だ。
http://www.journal-aviation.com/actualites/33016-le-point-sur-les-perspectives-de-vente-du-rafale-a-l-export
http://www.bfmtv.com/politique/sous-marins-rafale-mistral-le-drian-le-vrp-de-la-france-969718.html
豪華客船4艘の建設も
オランド大統領の任期の間に外国からの受注が目白押しだが、そのなかに豪華客船の建設もある。
STX France が海外から豪華客船建設を受注し、総額は40億ユーロという。これで、3500人の雇用を10年間約束するという。「すばらしい成功。競争力、投資力、研究と革新の賜物」とオランド大統領が賞賛。4艘ともヨーロッパで初めての最大の客船となるという。
My opinion: リベラルな社会主義、とはオランド大統領の言。どんどん経済の箍をはずして、限りなく資本主義へ踏み込む勢いがこのところ続いている。フランスは、中東やアフリカから軍用機などの受注を受けて大量輸出して儲けたお金と雇用を、失業対策にあてるつもりなのか。二重国籍のテロリストのフランス国籍剥奪の追加法案はついにポシャッて、憲法改正も人権の名の下に諦めはしたが、軍需産業花盛りで、社会主義を標榜していたフランスは、とうとうアメリカのようになっていくらしい。(S.H.)