フランスから―環境とアートのブログ

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・アクチュアリティ

二つの射殺事件(6)、ロムの強制送還

フランスの毎日のニュースから、「放浪者」たち -「ロム」の国外追放、「旅行をする人々」ボルドーで権利主張: 7月中旬、「旅行をする人々」の1人がバリケードを破ったところを機動隊員が射殺するという事件が起き、一気にクローズアップされたこれらの放浪者たちが、事件以来問題視されはじめたことを8月1日のポストに書いた。これら定住を拒否し、流れ歩く放浪者には、「旅行をする人々」とフランス語で規定されている人たち、また「ロム」や「ツィガンヌ」と呼ばれる主にルーマニアやブルガリアなどの旧東欧の人たちが多くを占める放浪者の群れがいる。この事件以来、彼らの権利をめぐって論議が戦わされているが、通称ロムといわれるルーマニアからの放浪者たちが全国各地の一時逗留地から徐々に機動隊によって強制撤去されはじめ、きのうからルーマニアへの強制送還が始まった。大人には300ユーロ、子供には100ユーロがフランス政府から渡され、またフランスに戻ってきても良いという条件付で、着の身着のままでチャーター機に乗せられて第一便がブカレストへ直行した。今月末までに、850人が同様に本国送還されることになっている。ロムは、ヨーロッパを流れ歩いて生活をつないでいるが、本国へ帰っても家も職もなく、またフランスへ戻ることを希望するものも少なくない。 ルーマニアは欧州連合加盟国でもあり、欧州連合の規約にのっとれば加盟国の国民はヨーロッパ内を自由に行き来し、また職業活動をしてもよいことになっているが、こうした自由通行に反した強制送還という今回のフランスの措置は、欧州連合とのあいだに亀裂を起こす恐れがあるといわれている。また、強制送還される人々が再びフランスへ戻ることができることで、政府の強行措置を疑問視する向きも少なくない。 一方、「旅行をする人々」と規定されている人々がボルドーで市長を相手に一時滞在の権利を主張している。放浪者としてフランスの法規定を受けている彼らは、フランス国籍を有し、定住していないが自分たちは浮浪者でも物乞いでもないとメディアに発表して自分らの生き方を誇示した。フランスには「旅行をする人々」のためにキャンピング・カーを泊める土地を用意する都市もあるが、ボルドー市は今回これらの人々に電気もなく水もない不便な土地を提案したため、「人間扱い」を要求する訴えを起こした。 My opinion: 二つの射殺事件から、フランス政府が外国人をどう扱うかに固執し政府はそれを中心にものごとを展開させている事実へ、フランスのニュース自体が切込みを入れていることを知らせたいと思っている。 他から: 欧州連合議員のダニエル・カン=ベンディット(Daniel Cohn-Bendit)は、こうした政府のイロジックかつその場しのぎの方策へ、「現政府は、ドイツなどと比較しても失業状況も説明できないし、例の国籍剥奪も、フランス人が外国人と同じ罪を犯したら、フランス人のフランス国籍も没収ですか?大体、サルコジ政策はここ8年*ものあいだ何もできないどころか国が退廃し続けている。サルコジの責任だ」と怒りを表明している。 翌日の野党社会党のリアクション: 夏休みの社会党集会で議員の一人が、「すべての悪は外からやってくるという、フランス中心主義を超えて極右のフロンナショナル党化してしまった論理を掲げるサルコジ政権を、改めて糾弾する」と表明した。「フランスが退廃しているのは外国人のせいだということを誰もが知っているじゃあないか」と切り返すのは保守党UMPの議員。いずれにしても、2012年の大統領選挙は、社会党が勝ってほしいという世論が8月22日付で大多数の55%を占めるという統計がでており、社会党に限らず野党勢力全体が早くもつぎの大統領選にむけて活気づき始めているというのが現状だ。 強制送還後のロム: チャーター機でブカレストへ着いたロムたちは、ルーマニアでも歓迎されていない。23日付のフランスTV のルポルタージュは、ルーマニアでも差別視されるロムの姿を追った。「彼らがルーマニアの名前を利用して庇護を請うのは、まったく好ましくないわねえ。イメージ悪いわよ」とはルーマニアの首都での通りすがりの女性の意見。「商売をする脇でほったて小屋を建てられたらたまったものじゃない」とは新聞を売るキオスクの男性の意見。現代における「放浪・Nomade」とは、何なのだろう。24日現在もマルセイユ、ヴィルヌーヴダスクなどの町でロムの強制撤去が進んでいる。 ・ダニエル・カン=ベンディットのビデオ(2010年8月18日オンライン) サルコジ、無責任! ・ロム Rom ・旅行をする人々 Gens du voyage ・8年* 2002年、ニコラ・サルコジが、シラク大統領ラファラン内閣のもとで内務大臣に就任。国家警察力を掌握した。

アクチュアリティ

フランスのきょうのニュースで取り上げられている世界のニュース: パキスタン - モンスーンによる災害で6百万人が家を失い路頭に迷うという最悪の事態になった。洪水発生以来2週間をすぎ、食糧もなく、コレラが発生し、パキスタン政府は巨大な被害に手をつかねるままで、アメリカの救援を待っている。 アメリカ - メキシコ湾に原油が見当たらず、オバマ大統領が水泳をしてみせるなどして世間を喜ばせたのもつかの間、大量の原油が混じった全長35km深さ1000mというの海水の層が発見された。バクテリアが原油を食べるのを待つという方法論が主体に協議されているようだが、どのくらいの期間かかるか見当もつかない。アメリカの海洋学者たちの意見では、流出した原油の80%は回収されていないという。BPによる壊れたパイプのボトム・キルもまだ完全に終了していないもようだ。

二つの射殺事件(5)、警察襲撃が続く

8月4日に特別機動隊100人を投入する大掛かりな突撃で逮捕された4人は、翌5日、事件に直接関係のないことがわかって釈放された。当局は、彼らの事情聴取で殺された犯人の共犯を突き止めることができたと発表。すぐに解放されたものの、捕まえられた4人の若者の弁護側は、「何も大げさに武装して突撃して連行するほどのことではなく、召喚状で警察に出頭させて証言させることで十分だったはず」と怒りを示している。 同4日の夜から5日の夜にかけて、ほかの3つの町でまた警官へ向けて実弾による発砲事件が発生した。 ブルゴーニュのオーセール市で、警察の車に小銃で発砲する事件が発生。また、パリ近郊のバル・ド・ワーズのビリエ・ル・ベル町で、車を検査していた警察に15人ほどが発砲。もう一箇所はリヨンの近郊、ビルフォンテーヌ町で、警官の自宅に向けて拳銃で発砲。警官の自宅には家族が寝ていたが、三つの発砲事件でいずれもけが人はなかった。 サルコジ演説とそれに引き続くこれ見よがしの内務大臣の指揮による捕り物が、かえって相手の暴力に油を注いだかたちで、即日警察に対する発砲事件があちこちで起き、こんどは自分たちが標的になるのではないかという懸念が警察や機動隊のあいだに広がりつつある。 サルコジ大統領の、ときに非論理的な言動に、一部の国民がたてをついて状況が泥沼化していくのは今に始まったことではない。 政府の刑法修正に絡んだ国籍剥奪に反対する国民が、インターネットで署名運動を始め、多くの反響を集めている。国籍没収に反対の署名数2日で2000人(バカンスで国民の50%が不在のあいだの数字としては大きい)。 一方で、きょうの日刊新聞ル・フィガロの世論調査では、以外に同調者が多く、1. 女性の割礼や重婚(アフリカに多い一夫多妻制)罪に対する刑罰として80%が賛成、2. 警察や機動隊への攻撃に関し70%が国籍剥奪に賛成している。野党社会党書記長はこれについては沈黙状態。のみならず、社会党の中でも50%が賛成しているという。「フランス国籍を簡単に認めて大量の外国人をフランス人にすること自体がおかしいことをむかしから提唱しています」とは、極右フロン・ナショナルのマリー・ルペンの発言だ。国籍没収とともに国籍授与条件も再考されるのか。刑罰枠内での国籍没収案はこの秋、移民大臣から提出されるもようだ。

アクチュアリティ、環境異変と被害

フランスのニュースに、ここ数日毎日取り上げられている話題: ロシア - 130年ぶりという毎日40度を越す酷暑が一ヶ月続き、あちこちで火災発生。消し止めてはまた発火を繰り返し現在国中で300箇所が燃え続けている。今までに焼失した森林や村など、合わせて50万ヘクタール以上。国レベルの緊急事態と化した。モスクワは数日前から近隣の火災で煙が充満し、燃焼物の臭気が町中に漂っている。 パキスタン - モンスーンが原因の洪水で1500人以上が死亡、300万人が家を失う大被害が出ている。コレラなど伝染病が発生し、国家的緊急事態に外国からの援助がはじまった。アジアの洪水はそのほかインド、中国などで大きな被害を出している。 アメリカ - 原油流出事故で汚染が進んでいたメキシコ湾の海底油田の壊れた給油パイプをセメントで埋めるトップ・キル作戦が再びBPによって開始され、良好な見通しに、オバマ大統領は流出終了の演説を行った。BPがトップ・キルのためセメント流入を続け、最後の最後まで徹底的に油田を壊滅させるボトム・キルが終了するまで、10日かかるという。事故発生から今日まで流出した原油の量、80万トン。大量の原油が海中のみならず地面に吸い取られ、汚染の状況把握はこれから。また海面の原油分解薬など大量の薬品が同時に海に撒かれていることから来る今後のエコシステムへの影響なども調査が始まるもよう。 フランス - きのうから全国46県(フランスの県は96県、したがって約半分)に干ばつ警報が発せられ、あらゆる地区で使用水量制限が進められている。あちこちで川が干上がり、すでにとうもろこしや麦などにおおきな被害が出ているほか、放牧中の乳牛の食用草まで日照りで枯れて激減している。

二つの射殺事件(4)、サルコジ派の巻き返し

8月最後の閣僚総会 - 8月3日、憲法に反するとして非難轟々のサルコジ演説を受けて、移民大臣のエリック・ベソンが、外国人のフランス国籍の没収に関する修正案を提出するむねを発表した。「憲法を変えなくても、国籍関係は条例で修正することができる」とはエリック・ベソンの言。犯罪に対する刑罰に絡んだ国籍没収に関する法律は、与党の思い通りに改定へ法案化する気配だ。 ある社会党野党議員は、「政府は国の安全にかんするサルコジ政策の失敗を、(外国人の事件にふりむけてることで)カモフラージュしようとしている」と糾弾。 実際、グルノーブルに限らず、街中で車が一度に数百台燃やされるといった破壊事件は、クリスマスから正月にかけて、キャトルズジュイエなどといった際にも頻繁に各地で発生しているのだが、そうしたフランス全土にわたる破壊行為や非行の暴走傾向については、サルコジ政府は何ら根本的な対策を示してはいない。 この閣僚総会を最後に、閣僚たちは3週間の夏休みに入る。すべては秋に議論再開。(S.H.) 8月4日明け方、グルノーブルのカジノを襲った強盗団逮捕 - サルコジ大統領の外国人の犯罪に対するフランス国籍没収演説の引き金を引いたグルノーブルの事件で、カジノを襲って仲間の一人が警察に撃ち殺されたのをうらみに、三日連夜市内の60台の車に放火したり機動隊に発砲するなどの危険な行動に出た強盗の一味が、きょう早朝、100人という大人数の武装した機動隊、地域特別警察、刑事警察の混合部隊をによってビルヌーブの自宅アパートに潜伏していたところを逮捕された。逮捕されたのは4人で、うち2人は未成年。残りは19歳。この特別厳重な武装刑事警官隊による突撃逮捕は、サルコジ大統領の意思を受けた内務省の命令によるもので、政府の態度を国民に見せつけようというもの。朝6時の逮捕はテレビカメラの前で行われている。(フランス2TV発表)

二つの射殺事件(3)、サルコジ大統領暴走

8月2日、サルコジ大統領と右派政府の、国家の安全の名の下にエスカレートした犯罪にたいする刑罰の「提案」内容について、早速、憲法をつかさどる国務院や憲法学者から「違憲」の声が上がった。 1. フランス国籍を有している外国人が犯罪を犯した場合、犯罪者のフランス国籍を剥奪するという刑罰は、「フランス憲法は、フランス国籍を有するものはその出自や宗教を問わず、法の名に置いて平等に処せられる」という基本法を無視するするものとして、違憲である。出自が外国人だということでフランス国籍を剥奪することは、フランス市民を二つのカテゴリーに分類してしまうことになる。(差別の元となる。) - 平等である法の前では、フランス人が同じ犯罪を犯した場合、フランス人の国籍も剥奪する(無国籍にする?)ことになるのか。あるいはサルコジ大統領は、憲法改正を要求することになるのか。 2. 未成年が犯罪を犯した場合、その両親が禁固刑の実刑を受けるというサルコジ派の提案に対し、「フランス憲法は罪を犯した当事者のみがその罪の償いをする」ことを明記しているので、これも「違憲」。 - それでは、やはりサルコジ大統領は憲法改正を要求することになるのか。 我田引水的に刑罰を国籍剥奪や移民問題に結びつけ、憲法を飛び越えて法案化へ先走るサルコジ大統領と右派政府には、野党を含めあちこちから「吐き気がする」、「嫌悪すべき大統領演説」といった意見が投げかけられている。 My opinion: すでにほかで、2007年サルコジ大統領は就任早々ナショナル・アイデンティティーを問題に取り上げ、フランス人であることを改めて証明しない限りは、パスポートや身分証明書の更新(双方とも10年ごとに更新をするのが決まり)をしないという通達を出し、このために多くのフランス人が迷惑をこうむっていることを述べた。 両親も祖父母もフランス人で家族もみなフランス人なのに、ただイギリスで生まれたという事実だけでパスポートの更新ができない、という人のブログがあった。母親が妊娠しているときにイギリスにいて、現地で出産したというだけのことらしい。フランスからのパスポートが出ないので困窮したその人は、一度も住んだことがなくまた税金も払ったことのないイギリスへ思い立ってパスポート申請をしたところ、すぐに郵便で送られてきたという。ヨーロッパでは生まれた土地の権利が発生する。その権利に訴えたというわけだが、フランスで税金を支払っていても、生まれた土地ほどの権利の補償にならない、ということを証明するような話しだ。この事例は一つの事例に過ぎないが、サルコジのナショナル・アイデンティティー条例のせいで、更新がややこしくなり、必要書類の捏造が増えたというもっぱらのうわさだ。 フランスは植民地などの歴史的な因果関係で多くの外国人がフランス国籍を有する。また国籍取得権利と国の独立がかみ合わず、フランスで働いて納税していながら、滞在許可証さえ発行されず、国外にも身分証明がないので出られないという人々もいる。人間の不平等を抱えたまま、それを解消するどころかますます激化するサルコジ政権である。(S.H.)

レユニオン島も世界遺産に指定

La Réunion - フランスの海外県であるインド洋マダガスカル島沖に位置するレユニオンも、アルビに引き続きユネスコから人類の世界遺産に指定された。レユニオンは島半分が国立公園に指定され、地形の美しさや活火山、動植物の種類の豊富さなど類まれな自然の宝庫として、自然遺産に指定された。フランス領で人類の世界遺産に指定されたのはこれで35箇所目、自然遺産は4箇所目。

アルビ市、人類の世界遺産に指定

Albi -  南仏ミディ・ピレネ地域タルヌ県のアルビ市が、ユネスコから人類の世界遺産に指定された。14年前からユネスコに指定請願を提出して待ち望んでいたもの。アルビ市はトゥールーズ・ロートレックが生まれたところとしても有名で、ロートレック美術館があり、屹立する歴史建造物のうち丘の上のサント・セシル大聖堂がその荘厳さできわだっている。川を挟んで全体にレンガ作りの町並みからくるオレンジがかった風景は絶景だ。ユネスコに指定された人類の世界遺産は現在これで908箇所。 歴史建造物の一つ、サント・セシル大聖堂(Sainte Cécile 写真)は南仏ゴシック様式で、レンガ造りの聖堂として世界一を誇る。1282年から1480年にかけて建設されたもので、長さ113m、高さ40m、幅35m。 トゥールーズ・ロートレック美術館: http://www.musee-toulouse-lautrec.com アルビ市公式サイト: http://www.mairie-albi.fr/

二つの射殺事件(2)

7月30日金曜、ニコラ・サルコジ大統領がグルノーブルに出向して、国家の安全の名の下に、「フランス国籍を持つ外国人が国を守る警察や機動隊、軍隊などに命にかかわる危害を加えた場合、犯罪者のフランス国籍を剥奪する」という演説をし、即日大きな波紋を及ぼしたことを昨日のアクチュアリティで述べた。大統領演説に応えて、8月1日の今日、オルトフー内務大臣は、フランス国籍剥奪が適応される場合を広げるむね提案をした。内務大臣の提案によれば、現行法に加えて、アフリカに多い女性の割礼や人身売買、重大な非行や犯罪を犯した場合も、フランス国籍剥奪の対象とするという。これをさらにUMPの国会議員が敷衍し、「外国人の未成年が重大な罪を犯した場合、その両親を禁固刑処分にする」法案を提出することを決めた。子供の犯罪による両親の拘置は2年未満という。これらの法案は9月早々に国民議会にかけられるもようだ。未成年の非行が学校で問題化した場合も、この法案が適用され、国籍剥奪の対象となるという。 このニュースをきょうのフランス2のTVアナウンサーは、「突発的な災厄がまた一回り大きくなった」と形容した。国務院が管理する現行法が大統領の意思にそぐわないならば法律を変えてしまおうという現政府の強行な態度のみならず、未成年の犯罪責任を両親にとらせ、犯罪を犯してはいない人間を禁固刑にするなどという法案を発表したからだ。野党社会党書記長のマルチーヌ・オーブリィは、「右派政府、狂気の沙汰!フランスを破滅に追い込むことになる」と糾弾。グランド・バカンスがこの論議で一気に熱湯のように沸騰し始めた。(S.H.)

二つの射殺事件

7月17日と18日にフランスの二つの町で二つの事件が起きた。7月17日はグルノーブルの近郊都市ビルヌーヴで、カジノを襲った数人の若い強盗団が警官隊とぶつかり、27歳の強盗の1人が撃ち殺された。逃走した仲間のグループは翌日夜、仕返しに市内に停められていた車60台に火をかけて燃やし、警察と保安機動隊をめがけて拳銃で発砲した。これら若者グループを制圧すべく、機動隊は150人を投入。追撃は明け方5時まで続き、若者5、6人が検挙された。過去、研究文化の都市といわれてきたグルノーブルであるが、近年その周辺都市が犯罪の巣窟化した現状がこの事件でクローズアップされることになった。 もうひとつの事件は、 ロワール・エ・シェール県(県庁所在地はブロワ)のサン・テニャン市で起きた。7月18日、保安機動隊のバリケードを破ろうとした22歳の若者がその場で機動隊員に射殺された。やはり翌日、殺された若者の仲間が仕返しに車5台に火をつけ、公共の建物の入り口を壊したり並木を切り倒したりするなどの暴動に近い行動に出た。事件後事情徴集を受けた殺された若者の兄は、「機動隊のバリケードを破ろうとなどしなかった。私たちはそばを通りかかっただけなのに、発砲されて弟が犠牲になった」と、機動隊の届出とはまったく食い違う陳述をした。この兄弟はいわゆる「旅行を専門とする人々」と呼ばれる放浪者たちで、強盗をしたわけでもなくまた銃器などもまったく所持していなかった。この事件で、ヨーロッパをキャンピングカーで渡り歩く「旅行を専門とする人々」のあり方が問われ始めることになった。…

アクチュアリティ

グランド・バカンス - 7月最後の週末は、大勢のフランス人が夏季休暇の大移動をするため、一年のうちもっとも交通機関が混雑する。一年に一ヶ月間の有給休暇制(義務制度)が発足してから今日まで、恒例となった夏季休暇の大移動がもたらす混雑は、きょう30日金曜の夜からはじまり、ちなみに、首都圏近辺は300kmの渋滞。車で出かける人は5百万人、飛行機は90万人、列車は160万人という数字が出ている。夏季休暇中のとくに8月は、大企業を除いて全国であちこちかなりの業務が停滞する。夏季休業をしない企業は、6月末から9月にかけて交代制で社員に休みを取らせ、常時業務を遂行するよう配慮している。一時期、休みを取る人間の交代制が進んで、一ヶ月まるまる休まず小刻みに休んで仕事をするという人が増え、8月中の支障を避ける向きがあり、これで比較的ほかの国と足並みをあわせられるようになったかと思いきや、最近は、「仕事の相手が休暇中なので、8月は仕事にならないからうちも休む」というところが増えはじめ、昔に戻る気配だ。多くの中小企業は、きょうから8月30日まで丸一ヶ月の休業となる。今週末は、7月すでにバカンスに出て帰ってくる人とこれからバカンスに出る人とで、道路は上り下りともにそうとうの渋滞が予想され、朝10時から夕方3時のあいだの車の走行を回避するよう呼びかけている。ちなみにグランド・バカンスのあいだ旅行に出るフランス人は、2人に1人という割合。

フランス、現代文化政策の終焉か?

新文化省にみる現代文化政策崩壊のきざし - ニコラ・サルコジが大統領に就任した年(2007)の12月に発案されていた文化省の再構成が、2010年1月13日、実施の運びとなった。それまで10の各文化・芸術分野の専門の管理局があったが、4つにまとめられて「見通しの良い管理構成を持つ目的で」あたらしい文化省が発効した。(政府の文化エキスパートの放逐と文化行政部の縮小とみられる。) 新たな文化省の構成は以下のとおり。 ・Le secrétariat général(事務総局)、 ・La direction générale des patrimoines(文化遺産局)、 ・La direction générale de la création artistique(芸術創造局)、 ・La direction générale des médias et des industries culturelles(メデイア・文化産業局)、 省間庁: Délégation générale à la langue française et aux langues de France(フランス語とフランスの言語総合庁) 地域の文化省: ・Directions régionales des affaires culturelles(DRAC 地域文化振興局) ・Services départementaux de l’architecture et du patrimoine(建築文化遺産に関する県内サービス) ・Les établissements...

アクチュアリティ

酷暑警報発令 - フランスはきょう、全国的に猛暑に見舞われ、アキテーヌ、ピレネ、イル・ド・フランス、ローヌ・アルプ、およびアルザス地方を中心に、合計9県で酷暑警報が発令された。パリは日陰で35度、リヨン36度、日向で40度を記録。ボルドーでは朝方すでに30度、昼間はやはり40度で最高を記録した。南仏をキャンピングカーで移動するツーリストの車の中の寒暖計が48度を指すほど、道路は異常に温度が上がっている。 アキテーヌ地方は今夜、集中豪雨に見舞われるもよう。夜も23度あり、酷暑度「2」という判断が下された。メテオ・フランスの予報では、今週日曜まで温度が上昇し続ける。熱中症や脱水症を避けるため、一日2リットルの水を飲むようにテレビで呼びかけている。 My opinion - 二ヶ月前の5月は10度以下で山地では降雪のあった寒い初夏から、6月末から好天が続いて35度以上の厳しい暑さがフランス全体を襲っている。数年前まで、夏でもその日のうちに急に温度が下がるので、用心のために暑くてもフランス人は必ず長袖のセーターや上着を抱えて外出したものだが、昨今は暑さが建物や空気に浸透して夜でも暑く、したがって上着を小脇に抱えている人などほとんど見かけることはなくなってしまった。センスをばたばたさせる人も見かけるようになり、激しい気温の上昇は、フランス人の生活様式を変化させつつあるようだ。それにしても冬向けに密封されて作られた郊外線地下鉄の電車内の蒸し暑さはかなわない。TGVは空調が完備しているが、地下鉄はまだまだ冷房車の出現まで時間がかかりそうだ。

Day 79、メキシコ湾原油汚染

広がる汚染へのりアクション、対策は?MSNBC us news playlist: http://www.msnbc.msn.com/id/21134540/vp/38137327#38115125