選挙に行こう、[原発問題]

2012年の衆議院選挙では、自民党への実際の投票数は全体の30%であったにもかかわらず、議席数の80%という悠々過半数以上を占める与党となった。たったの30%の票がなぜ80%の議席に豹変したのか? どうやら、二位との接戦で勝った自民党立候補者が多かった、ということだ。接戦ならば、投票に行こうかどうしようか迷っている人の一票が大変なものを言う。すでに述べたように有権者の1%が100万人、つまり100万票という大きな数。投票率を70%に引き上げれば、1000万人以上の声の反映を期待できるのだ。

2012年を振り返ってみよう。投票率は59.32%、戦後最低を記録した。読売ONLINEの当時の解析は、「投票率が減少した背景には、公示直前まで複数の政党が乱立し、争点が見えにくかったことなどが有権者の関心を低下させた可能性もある。また、29年ぶりの[師走選挙]となったことに加え、地域によっては降雪などが影響し、投票所に向かう有権者の足が遠のいたとの見方もある」という。またしても二年後に迎えた降雪と多忙の[師走選挙]! 安倍首相の、低い投票率を期待するかのような二匹目のドジョウの解散劇に、有権者はしっかり対処していかなければならないのだと思う。…

今回の争点のひとつに、原発問題は欠かせないはずだ。原子力規制委員会の無理矢理の再稼動許可にひきつづき、現地入りして川内原発を「かわうち」といい間違えつつ、「国が責任を持ちます」と言った経済産業大臣宮沢洋一氏。自民党政権の著名な発言は以下の通り。もともと2012年の衆議院選挙で自民党は「脱原発依存を提唱(今は手の裏をひっくり返して積極的に再稼動へ向かう自民党)」、そうしてオリンピック招致決定の舞台で「福島の放射能は完全にブロックされている(実際は毎日400トンの汚染水が海に流れ出している)」、「日本の原発は世界一進んでいる(現実は欧米の安全基準のほうが格段上で必要なコアキャッチャーを付けた原発はひとつも無く、稼動40年の耐用年数を越えた最古の原発も稼動したい)」、「世界一の安全基準を通った原発は再稼動(規制委員長の田中氏は「基準を満たしたが安全だとはいわない」と発言)」など。そうしてこの宮沢大臣の「国が責任を持ちます」。

果たして、国は福島第一原発事故で逃げなければならなかった人たちを未だに救えていない。福島第一原発事故から3年と8か月たった今も、汚染が酷くて二度とすむことができなくなった家や土地を捨てなければならなかった飯館村の人たち約2800人が東電を相手に訴訟を起こした。「そのうち国が何とかしてくれるだろうと思っていたが、もう3年8か月経った」。新しい事故が起きたら「国が責任を持ちます」というが、一体どんなふうに?

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・「ふるさと返せ」飯舘村住民の半数が賠償申し立て

Ajoutée le 14 nov. 2014
[ビデオ・コメント]
東京電力福島第一原発事故の被害を受け、全村避難が続く福島県飯舘村の住民2837人­が11月14日、東京電力に対して謝罪や慰謝料の増額などを求めて、原子力損害賠償紛争解決­センターに申し立てた。 

詳細はこちら http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1855

訴訟問題をもうひとつ。友達作戦で福島原発沖で作業をしていた200人以上のアメリカ海軍が被爆をした。被爆の程度が酷く、2人が死亡。東電を相手に訴訟。

トモダチ作戦2名が死亡~東電訴訟、本格弁論へ

[ビデオ・コメント]

Ajoutée le 4 déc. 2014

東日本大震災で「トモダチ作戦」に従事したアメリカ海軍の兵士ら239人が、東京電力­福島第一原子力発電所事故による被ばくが原因で、健康被害を受けているとして、東京電­力を訴えている裁判で、カリフォルニア州サンディエゴの連邦地裁は10月28日、訴え­を退けるよう求めた東電の主張を認めず、米国での訴訟を継続する判断を示した。10月­に、同原告団の弁護士と面談をした、原子力空母の横須賀母港問題を考える市民の会の共­同代表で、弁護士の呉東正彦さんに裁判の現状を聞いた。
詳細はこちら http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1863

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原子力発電についてまた福島原発事故について隠された事実はおそらく計り知れない。

氷の壁で覆って汚染水を食い止める「凍土壁」プロジェクトを温度の高い真夏にはじめた東電はとうとう冬に入って諦め、コンクリートで壁を作る作戦へ転化した。また、東電は、格納容器を突き破って解け落ちてどのような形状になっているかまったく見当がつかない核燃料を取り出すつもりでいるそうだ。そのための計画書を作って目処をつけているというが、本当に取り出すことができるのだろうか。昨年、福島原発から20kmも離れた水田の米が黒く放射能汚染され、原因は3号機の瓦礫撤去工事の折に大量の放射能が飛び散ったからかと追求されたが、先般、規制委の田中委員長がこれを否定した。3号機の工事が原因でなければ、何が原因だったのか。除染した土を入れた黒い袋の山。放射能廃棄物の中間貯蔵庫と最終貯蔵庫の問題。毎日3000人が働くために身に着ける防護服やマスクなど、この3年8か月で溜まった量が東京ドーム18個分だという。うまく廃炉にこぎつくまで40年。40年の間に今の10倍の東京ドーム180個分の汚染された防護服がたまる。福島に降ってわいた焼却炉建設。これら防護服の焼却が目的であるとするならば、また焼却で凝縮した放射能拡散が懸念されるだろう。悪循環はまったく尽きるところがない。

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・20141122 R/F #098「小出裕章ジャーナル」【廃炉は計画通り進むのか?】

[ビデオ・コメント]
Ajoutée le 22 nov. 2014
~第98回小出裕章ジャーナル~
廃炉は計画通り進むのか?「とにかく楽観的な見通しのもとで事故に対処しようとしたわ­けで、ことごとく失敗しながら今日まで来てしまいました」
小出ジャーナル文字起こし全文はこちら:http://www.rafjp.org/koidejournal/no98/
・20141206 R/F #100「小出裕章ジャーナル」【福島原発の今 使用済み核燃料の取出し作業はなぜ遅れているのか?】

[ビデオ・コメント]
Ajoutée le 6 déc. 2014
~第100回小出裕章ジャーナル~
福島原発の今 使用済み核燃料の取出し作業はなぜ遅れているのか?「やればやるだけ困難が増えてくる­ということが東京電力も国も身に沁みて分かってきたという事だと思います」
小出ジャーナル文字起こし全文はこちら:http://www.rafjp.org/koidejournal/no100/

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それでは、なぜ再生エネルギーや新エネルギーへ向かわないのか。

このブログでも2011年3月の段階で、ドイツやイタリアは原発建設のみならず原発依存への決別を政治決定したことに言及した。この段階で、ドイツは新しいエネルギーや再生エネルギーであれば、民間レベルでも多種多様な取り組みを始めたことも、少しずつではあるが取り上げてきた。この3年から4年にかけて、これらの国が作り出す雇用や経済力は大変目覚しい。

日本ではあたかも原発がなくなると地域の再生や雇用がなくなってしまうかのように報道しているが、まったく反対だ。、新しいエネルギーを産業化するための雇用拡大は、ドイツ、ひいては中国などの国を見れば分かるとおりだ。廃炉にも人が必要だ。また何年もかかる。人材や雇用、ならびに新しい技術は再稼動よりも「廃炉」産業に大きな需要がでてくるのは明らかだ。結局、政府がやる気を起こすだけでいい、というはなしになる。脱原発は早いほうがいい。

(S.H.)