21世紀のフランス大衆文化
21世紀の青天の霹靂はまだある。TVやラジオから英語が頻繁に聞こえ始めてきたことだ。 フランスのプロテクショニズムは、フランス全体の雇用のみならず、一般が接する大衆文化面においても顕著だった。たとえばフランスのテレビはアメリカや外国の番組を輸入して放送しているが、放送に際しては主題曲やあるいは主人公の名前までもフランス語に直して、フランスの番組のように仕立て上げるのが普通だった。日本で《奥様は魔女》と邦題したエリザベス・モンゴメリー主演の古いホーム・ドラマがあるが、夫役の「ダーリン」は「ジャン=ピエール」とフランス流に改名されている。サマンサもフランス発音のサマンタになり、タバサもタバタとなる。ラジオで聞くマイケル・ジャクソンは「ミカエル・ジャクソン」とディスク・ジョッキーが紹介した。こんなふうに、フランスのTVラジオといった一般のメディアがこぞってフランス語圏以外の固有名詞をのこらずフランス語にして発音していれば、一体どういうことになるか想像がつくだろうか。…