フランスTF1テレビが取材する「福島第一の現在」
TF1テレビ、2013年3月24日、20時のニュース:「福島:二年後の今日も、現地の片づけが続く」 Fukushima : deux ans après, les nettoyeurs sont toujours sur le terrain (震災二年目の3月11日の放送に引き続き、日曜24日20時のニュースで福島の現在が報道された。TF1TVは、2011年の震災、津波、そして原発事故の報道に熱心で、3月16日の炉心融溶報道や炉心の3D説明、放射能の拡散ビデオなど放射線量等のデータを盛り込み、フランス原子力安全委の意見を交えた丹念な放送が続いたことが記憶に鮮明だ。- 参照リンクページ:http://shigeko-hirakawa.org/blog/?cat=18&paged=3 -今回も2年前から福島第一原発事故を見守るフランスの原子力安全委ティエリー・シャルル氏が述べる見解からは、あらためて世界の原子力の専門家たちが危機感を持って福島の行く末を見守っていることを認識できる。S.H.) <要約> 福島。原発事故から2年たち、ようやく人が入れるほどに放射線量が低下し、一日3000人という防護服を身にまとった労働者たちが間断なく働いており、まるで巨大な工事現場のようだ。4つの建屋のうち3つが津波で建物が倒壊し、水素爆発が起きて大方が吹き飛んで大量の放射能が放出した。まず第一に緊急処置をしたのは一号機の建屋で、すっぽりと大きな容器をかぶせ、現在は密閉状態になっている。3号機と4号機はもっとひどい損傷を受けており、特に4号機は燃料冷却プールに近づくために、散乱する大量の鉄骨や瓦礫を片付けなければならない。プールの核廃棄物は、放射能の放出をくい止め、再び大地震が起きて災害を引き起こすような事態が起きる前に、冷却して取り出さなければならない。4号機には大量の使用済み燃料棒が入っており、東電は、4mの高さのある燃料棒を取り出すために、4号機の壊れた建屋の上から大きな構造物をかぶせ、クレーンを取り付けて取り出す計画だ。…
アクチュアリティ・日本、核廃棄物と高速増殖炉
ビデオ特集25本、およびリンク4本 福島第一原発事故から1年以上経つ。地震や津波に奇跡的に耐えた福島第一の4号機には、核廃棄物である核燃料棒と新しい燃料棒が1500本以上貯蔵されており、近々予想される東海地震などによる建物の倒壊が危ぶまれている。 日本のメディアなどで小刻みに取り上げられる福島原発事故のその後について、また、日本の核廃棄物の行方についてオンラインされているビデオクリップおよびブログを集めた。はたしてわれわれの将来は? …
アクチュアリティ、チェルノブイリの石棺
チェルノブイリ原発事故から25年、放射能が漏れ続ける「石棺」- キエフでG8 : 2011年4月19日、キエフでG8と欧州連合によるチェルノブイリ・シェルター・ファンド(Chernobyl Shelter Fund、1997年設立)のためのサミットが行われた。 1986年4月に事故が起きたチェルノブイリ原発第4号機の核燃料および放射性廃棄物90トンを封じ込めるためにつくられた「石棺」にヒビがみつかり、また、石棺が4号機から少しずれて設置されていたことが検証されたことで、再び放射能漏れの拡大がヨーロッパ諸国に懸念されていた。石棺は耐久年、約30年を見込んで作られたものだが、老朽化が急速に進んでいる。古い石棺の外にさらにもう一つの石棺を建造する計画が立ちあがり、2007年欧州銀行の管理の下でフランスのブイグ社とヴァンスィ社が共同で新しい石棺建設を引き受けることが決定したが、建設費用の15億ユーロ蒐集に長いあいだ手間取っていたもの。事故25周年にあたり、今日キエフの世界各国約50名の代表を集めた大会議で、欠如していた建設費用の7億5千万ユーロのうち5億7千5百万ユーロの基金を集めることに成功した旨を会議の副議長を務めたフランソワ・フィヨン(仏首相)が発表、寄付金の目標達成に満足の意を表した。 チェルノブイリ第4号機の新しい石棺建設に、欧州連合は1億1千万ユーロを供出。フランスは最低で4千7百万ユーロを当てる予定だ。また欧州連合は、ウクライナに対しほかの4つの原発の安全対策強化を促進させるために4千8百万ユーロを寄与することが決定した。 新しい石棺はかまぼこ型で、高さ108m、重さ2万トン。4号機の脇で建設したあとスライドさせて4号機をすっぽり包む構造。建設はすでに2010年末から開始し、2015年の竣工予定。チェルノブイリの最後の炉心は2000年に閉鎖されている。 チェルノブイリ原発事故: ・人災。 ・1986年4月26日、稼働中の第4号機で操作を誤り、炉心が爆発。ウクライナ、白ロシア、ロシアを汚染。放射能の雲がヨーロッパのほぼ全域を覆った。 ・公の発表では、4号機の爆発で31人が死亡。 ・リキダター(粛清屋、あるいは片付け屋)と呼ばれる事故の収束のために原発で働いた人は、60万人。最初に到着したリキダターたちは、90秒しか現場にいられないほどの激しい放射線の中で軽微な作業服を身にまとい、建物の外へ飛び散った瓦礫をスコップでかき集めた。 ・放出した放射能で大勢の人々が病気になり死亡しているはずだが、チェルノブイリ事故が及ぼした健康への実害は25年後の今日も論議の的となっている。 ・周辺の農家の家畜は、奇形児を生んだり死産が続出。 ・チェルノブイリ原発から半径30km圏内は、放射能が土に浸み込み、現在も立ち入り禁止。 ・炉心を包むコンクリートの石棺に発見されたヒビは、現在合計100平米の大きさに広がっている。 ・原発の周辺の無人の村には、タンクやショベルカーなど、事故当時に使われた重機がいまだに高度の放射線を放ちながら打ち捨てられている。 (フランス2TV、フランス2TVブログ、Le Monde/ ル・モンド紙、フランス・アンフォ)