フランスから―環境とアートのブログ

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Posts tagged "強制追放"

アクチュアリティ、フランス国籍

フランス国籍剥奪に関する法律、批准 - 7月のグルノーブルでの大統領演説が発端の、外国人のフランス国籍剥奪案に政府結論。 外国人でフランス国籍を取得しているものがある種の犯罪を犯した場合にフランス国籍を剥奪するという提案をした大統領の演説から2ヵ月半経った今日、細則を決めた国籍抹消法案が過半数可決で国会を通過した。「与党議員が100%国籍抹消法案に賛成投票しなかったのは多少心外だが、法案は多数決で通った。当たり前だ」と移民大臣のエリック・ベソンの言。一方、これに対立する野党側は早速、国務院に再審を求める方針を決めた。 またフランスは、外国人、ヨーロッパ人に限らず、フランス滞在が違法か否かはフランス当局が判断することであり、他国の関与は認められないとし、現在の強制国外追放政策は緩めず続ける態度を明らかにしたという。 ブラッセルのヨーロッパ議会は、ヨーロッパ連合の規約で自由通行が許されるヨーロッパ人がフランスで国外強制追放になること(ここではロムの問題)に遺憾の意を強め、フランスを攻撃する姿勢をみせている。こうしたヨーロッパとフランスとの溝が深まる中で、「こんな国にいるのが恥ずかしい」と発言したのはフランス系ヨーロッパ議員。 国籍剥奪に関する法律の批准、国外追放の強化によって、フランスはヨーロッパの中でも外国人政策が一番厳しい国の一つとなった。 (フランスTV、アルジャズィラTV、スカイ・ニューズ)

アクチュアリティ、ロム

ストラスブール - 欧州議会が、フランス政府のロム(日本語ではロマと訳されている)の強制追放に反対する議員投票を行った。大多数のヨーロッパ議員がフランスの人種差別による強硬手段に怒りを表明。強制追放の即刻中止をフランスに要求して、満場の議員から大拍手が巻き起こった。しかしこれに対し、ルーマニアを訪問中のフランスの移民大臣、エリック・ベソンは「欧州議会のおしつけがましい決断には従わない。追放は続行する」と発言。 議員投票の重大性を認識する欧州議会記者は、「無謀な強制追放の敢行で、欧州のなかのフランスの信頼が大きく揺らいでいる。フランスは欧州議会の意向を尊重すべき」、と述べている。 医療費 - 医療費の払い戻しが目減りし、フランス人の16.5%が歯科や長期の医療など、高価な治療費が必要な病気治療を先送りにしているという事実が判明した。この数字は30年前の4倍にのぼるという。 UMP党会議室捜索 - ロレアルの後継者で億万長者のリリアンヌ・ベタンクールに、レジオン・ドヌール勲章を贈るよう裏工作をした疑いで、UMP党会議室が当局の捜索を受けた。UMP(現在の与党)は、リリアンヌ・ベタンクールから2007年、サルコジの大統領選挙の政治献金を受けたり、ベタンクールの数億に上る脱税に関与したりスイス銀行の預金を見逃したり、この春以来、億万長者と政府のあきれた関係が次々と暴露され疑惑が拡大し続けている。なかでも現労働大臣エリック・ヴァートとその妻が、闇の金銭関係に大きく関与している疑いがもたれている。 ベルサイユ宮殿で村上隆展 -2010年9月14日から、ベルサイユ宮殿で村上隆展が開催される。漫画を主題にキッチュな立体や絵画やビデオなど、作品22点が荘厳なベルサイユ宮殿に展示されるが、この展覧会に際し、フランスでは、インターネットで反対署名運動が展開した。反対署名者の数はなんと10万人にのぼったという。 「クラシック音楽の中でロックを聴いて何が面白いか、ってことですよね。展覧会はナンセンスです」という批評家の意見。元文化大臣のジャン=ジャック・アヤゴンは、「マリー・アントワネットの当時も、新しいものを追い求め続けていたんです。そうした空間に、いまの時代の新しいものを持って来てもまったくおかしくはない」。当の村上隆は、「漫画は現代の風潮です。セザンヌがサント・ヴィクトワール山を描いたように、私も現代を描いています。・・・。今までベルサイユで行われたジェフ・クーンズなどの作品からイメージを得て、作品を展示しました」。フランス人が「カルチャー・ショック」と形容するベルサイユ宮殿を現場にした村上隆の展覧会は、開催前からすでに大きな論争を呼んでいる。

政府の「安全対策」に反対する、全国デモ

国家の安全を口実に、政府が行う外国人追放、特にロム(ヨーロッパを放浪して歩くルーマニア人など)の強制追放や集中的な迫害に対し、きょう9月4日、ジェーン・バーキンなどの歌手、俳優、野党政治家たち、人種差別やサンパピエに関連する何十という協会や市民が全国で集い、反対デモを行った。 ルーマニアの放浪者たちロムが、フランスでの滞在を不法とみなされ、警察にキャンピングカーや私物を没収されて、ショワズィ・ル・ロワ市の体育館に数週間収容されていたが、いよいよ着の身着のままで強制追放となったのを契機に、外国人を嫌って阻害したり一つの民族を集中して迫害しつづける政府の態度を糾弾するデモが、全国規模で大々的に行われた。パリではその数、5万人(当局の発表では1万2千人)、トゥールーズでは1500人から3000人、全国で総勢10万人が反対デモに参加したといわれる。 「ロムといってもルーマニア人に変わりはなく、ルーマニアは欧州連合の一員で、フランス人と同じ立派なヨーロッパ人です。それをフランスから追い出すなんて、とんでもない。人道に悖る」とジョゼ・ボーべがテレビカメラの前で発言。 フランスの外国人嫌いとロム追放は国連が批難するまでになっているが、今回パリに連動してイタリアでも、イタリア人やフランス関係者をまじえたデモ隊がローマのフランス大使館を取り巻き、フランス政府の外国人政策を批難した。(S.H.)