フランス、猛暑到来、各地で40度を越す
2003年の忌まわしい過ち(猛暑で数千人が死亡し国の対応の遅れに非難が募った)を繰り返さないように、昨日から社会福祉健康大臣のマリソル・トゥーレーヌが病院や養老施設などに、メディアを利用して猛暑対策を促した。あちこち空調を設備するなどの配慮がなされ始めてはいるが、特に病院や養護施設など、また自宅にこもるお年寄りや乳幼児に、努めて水の補給をするように呼びかけている。 8月18日土曜の今日は、ノルマンディーやクレルモンフェラン、アンドルなどを含め全国7つの町で摂氏40度を超えた。アンドル地域では最高の42度。パリはちなみに38.4度で、観光客などがトロカデロの噴水に体ごと浸かるなどし暑さに大はしゃぎ。あすは、全国30県以上に気温上昇で注意報発令。この暑さは来週水曜日まで続く予定で、熱中症や脱水症にならないようにTVなどが呼びかけ続けている。(BFMTV, TF1TV) リヨン市では、予め登録したお年寄りに社会福祉課が一軒一軒電話をして、健康状態を確認した。元気にしているという返事があっても声の調子で状況判断を欠かさず、また電話が通じない場合は隣人へ連絡をして状況を調べるなどし、念を入れて必ず本人確認をしてチェックをしていく。…
アクチュアリティ
ヨーロッパ市場暴落、ブラックサーズディ - 7月18日木曜、ヨーロッパ市場、軒並み暴落。パリ、フランクフルトは-5%、ミラノ、-6%、ロンドン、-4%。翌19日も下落進行。ヨーロッパの負債に上乗せしてアメリカの景気後退が大きく影響しているもよう。欧州連合の負債国救済策で、返済不履行にあえぐ銀行の倒産がますます危ぶまれている。フランスの銀行も軒並み株価下落。すでに土台が脆弱化しているという醜聞がひろがったソシエテ・ジェネラル銀行が最悪の-12.34%を記録した。 フランス南部、猛暑 - フランスの南半分が南からの大きな高気圧に覆われ、今日は、最低気温20度、最高気温40度を越す地域が出ている。このウィークエンドはバカンス帰りであちこち渋滞。高速での熱波に注意。(フランス2TV) My opinion: 6月の猛暑、7月は冷夏で自動の暖房が入るほどの低温となり、また昨日から温度が上がり始めて今日は40度。一週間ほど前、アメリカの野外コンサート用大テントがコンサート中に暴雨風雨で吹き飛ばされ、また昨日はベルギーで同じように突然嵐が襲い野外コンサートの鉄のストラクチャーが逃げ惑う観客の頭上に落ちて死傷者が出た。フランス語で、鎖(くさり、chaîne)という単語を使って、物に脈絡をつけることをenchaîner (ひとつひとつの輪をつなげて鎖にすること)という単語を使うが、いちどつけられた脈絡がばらばらになることをdéchaînerといい、翻って、爆発するとか荒れ狂う、という意味になる。まさしく、経済も、天候もこのdéchainerに当てはまる世界の状況だ。ちなみに異常気象は、des déchaînements climatiques。鎖が切れた地球はどこへ行くのやら。人間の運命は地球が救えるかどうかにかかっている。(S.H.)
アクチュアリティ
サルコジ大統領、支持率21% - きのうのフランス2テレビ発表の国民アンケートによると、就任3年目で、サルコジ大統領の支持率が大幅に落ち込み、21%の最低を記録した。「信頼できない」という国民は71%にものぼる。2007年の大統領選出のとき65%だった支持率は一年後に半減。3年後の今日は、はっきりした不満の声が大勢を占めている。これにたいしEUの政治批評家たちは、大きな負債を抱えたEUのリーダーシップを執るべき主要国の大統領が国民の信頼を欠いていることに大きな不安を感じる、と口をそろえて表明した。 猛暑 - フランス全体を高気圧が覆い、気温が上昇中。きのうは全国いっせいに30度を越した。きょうは、パリで33度、ストラスブール34度、ボルドー37度。今週末はさらに上昇するもよう。フランスの2003年の酷暑で15000人が死亡(きのうのフランス2テレビが数字を引用した)していらい、フランスは酷暑レベルを設定し、危険度が上がると各病院や養老院施設などで特に暑さに弱い病人やお年寄りに特別対策をとるよう指示をくだすことにしている。早速、健康省のロズィーヌ・バシュロ大臣が酷暑対策に乗り出す姿勢をみせている。 My opinion - 2003年の夏と2010年の夏を比べると、フランスは社会のようすががすっかり変化した。かんかん照りでも石の建物の中に入れば涼しく過ごせたフランスは、2003年以前はクーラーや扇風機はおろか、扇子ですら「存在しなかった」。「存在しなかった」とここでかぎ括弧をしたのは、フランスのマーケットのことを指したいがためである。日本から来た日本人が「西日がひどいので扇風機を買いたいのですが、どこで売ってますか?」と訊きに来たことがあったが、残念ながら「どこにも売ってませんが、注意していれば見つかることがあるかも・・・」とこたえたことがあった。20世紀までのフランスでは夏に対してこれだけ鷹揚でいられたのだ。突然の猛暑が訪れた2003年は、40度を越すアパートの中で、空調をすることも知らない人たちがたくさん死んでいった。信じられないことだがこうして亡くなった人の数15000人。気温の上昇のみならず、必要の無かったものが突然必要になったときの社会と人間の習慣のずれが桁違いだったことが、この思いもよらない惨事のもうひとつの大きな要因であったと私は考えている。さすがにこの経験で、翌年からフランスのマーケットへ扇風機が導入され、現在ではクーラーもあちこちで買えるようになったから、いまや2003年のような驚くべき数字とは縁が切れたはずであるが、はたして地球の温暖化はこれからどのような災害をもたらすのやら。予測のつけようもない。(S.H.)