公金横領のパターンに見る政治家の図々しさ
フランス国民戦線マリーヌ・ルペンの場合 ヨーロッパ議会は2017年4月、フランスの極右政党国民戦線(FN、フロン・ナショナル)議員らが欧州連合の公金から500万ユーロを横領したことを受けて、マリーヌ・ルペン欧州議員(フランス国民戦線党首)の議員特権を取り上げることを決めた。 国民戦線は、2015年4月から議員につけるアシスタントを架空に雇用して給料分を横領したことが明るみに出、当時欧州議会の被害額は190万ユーロと推定されていたが、今年に入って調査が進み499万ユーロであることがわかった。ヨーロッパ議会にはマリーヌ・ルペンを入れて17人のフロン・ナショナルの議員がおり(各議員がアシスタント雇用の権利を持つ)、「アシスタントは現実に仕事をしている」と主張し、欧州議会の公金使い込みの容疑を否定し続けている。
アクチュアリティ、チェルノブイリの石棺
チェルノブイリ原発事故から25年、放射能が漏れ続ける「石棺」- キエフでG8 : 2011年4月19日、キエフでG8と欧州連合によるチェルノブイリ・シェルター・ファンド(Chernobyl Shelter Fund、1997年設立)のためのサミットが行われた。 1986年4月に事故が起きたチェルノブイリ原発第4号機の核燃料および放射性廃棄物90トンを封じ込めるためにつくられた「石棺」にヒビがみつかり、また、石棺が4号機から少しずれて設置されていたことが検証されたことで、再び放射能漏れの拡大がヨーロッパ諸国に懸念されていた。石棺は耐久年、約30年を見込んで作られたものだが、老朽化が急速に進んでいる。古い石棺の外にさらにもう一つの石棺を建造する計画が立ちあがり、2007年欧州銀行の管理の下でフランスのブイグ社とヴァンスィ社が共同で新しい石棺建設を引き受けることが決定したが、建設費用の15億ユーロ蒐集に長いあいだ手間取っていたもの。事故25周年にあたり、今日キエフの世界各国約50名の代表を集めた大会議で、欠如していた建設費用の7億5千万ユーロのうち5億7千5百万ユーロの基金を集めることに成功した旨を会議の副議長を務めたフランソワ・フィヨン(仏首相)が発表、寄付金の目標達成に満足の意を表した。 チェルノブイリ第4号機の新しい石棺建設に、欧州連合は1億1千万ユーロを供出。フランスは最低で4千7百万ユーロを当てる予定だ。また欧州連合は、ウクライナに対しほかの4つの原発の安全対策強化を促進させるために4千8百万ユーロを寄与することが決定した。 新しい石棺はかまぼこ型で、高さ108m、重さ2万トン。4号機の脇で建設したあとスライドさせて4号機をすっぽり包む構造。建設はすでに2010年末から開始し、2015年の竣工予定。チェルノブイリの最後の炉心は2000年に閉鎖されている。 チェルノブイリ原発事故: ・人災。 ・1986年4月26日、稼働中の第4号機で操作を誤り、炉心が爆発。ウクライナ、白ロシア、ロシアを汚染。放射能の雲がヨーロッパのほぼ全域を覆った。 ・公の発表では、4号機の爆発で31人が死亡。 ・リキダター(粛清屋、あるいは片付け屋)と呼ばれる事故の収束のために原発で働いた人は、60万人。最初に到着したリキダターたちは、90秒しか現場にいられないほどの激しい放射線の中で軽微な作業服を身にまとい、建物の外へ飛び散った瓦礫をスコップでかき集めた。 ・放出した放射能で大勢の人々が病気になり死亡しているはずだが、チェルノブイリ事故が及ぼした健康への実害は25年後の今日も論議の的となっている。 ・周辺の農家の家畜は、奇形児を生んだり死産が続出。 ・チェルノブイリ原発から半径30km圏内は、放射能が土に浸み込み、現在も立ち入り禁止。 ・炉心を包むコンクリートの石棺に発見されたヒビは、現在合計100平米の大きさに広がっている。 ・原発の周辺の無人の村には、タンクやショベルカーなど、事故当時に使われた重機がいまだに高度の放射線を放ちながら打ち捨てられている。 (フランス2TV、フランス2TVブログ、Le Monde/ ル・モンド紙、フランス・アンフォ)