アクチュアリティ・日本
3.11の福島第一原発事故以後、現在も科学的な分析を続け、多くの情報を掲載し続ける世界のブログの紹介: 現在あわら市金津創作の森企画で行われている、平川滋子展「空気が危ない? 光合成の森」で、アート・コア・ミュージアムの脇に「うちとそと」と題した一角を設けている。その中に、「外からの目」として、フランスを中心とするヨーロッパのブログで、原発事故以降現在も丹念にニュースを拾い、また科学的な分析をベースに情報収拾に余念のないブログを12ほどピックアップして紹介している。 福島第一原発事故当時、日本国内の情報と日本の「外」の情報が、驚愕するほど大きな差異を示し、外国をしてほとんど非科学的とも言わせた日本の閉鎖性が、周辺の国々にまた外国にいる日本人にどれだけジレンマを感じさせたことか。 展覧会では、事故以来今もコンスタントかつ丹念な「外」の目の科学的なモニタリングのようすを紹介し、少しでも今後の日本の支えになればと考える。(S.H.) <ブログ> ・ブログ(フランス・ベース。仏語)福島第一 http://fukushima.over-blog.fr/ 2011.11.19 コリウムの行方、メルト・アウト、地層と地下水 ・ブログ(英語)、福島・デイリィ http://fukushima-diary.com/ 2011.11.20. 3号機から放射線高値、毎時1.6Sv ・IPPNW ( 欧州核戦争を回避するための国際物理学者の会 International Physicians for the Prevention of Nuclear War European affiliates 英語 ) : Fukushima: 2.5 times more radioactive xenon than Chernobyl (2011.10.24. 福島原発事故はチェルノブイリ事故の2.5倍のキセノン放出) ・ブログ(フランス・ベース、仏語)、scoop.it! Fukushima Information Informations sur l’accident à centrale nucléaire de Fukushima et ses conséquenses (福島原発事故およびその後の情報) ・メディアパート (フランス語)東京、原発反対デモにメディアの反応ゼロ 2011.11.20 ・毎日新聞、電子版(日本、日本語)、福島第一原発:3号機で毎時1600ミリシーベルト
アクチュアリティ、フランスにおけるチェルノブイリ原発事故のその後
免訴判決に甲状腺がん患者の会、失意 - 1986年4月26日に起きたチェルノブイリ原発事故の三日後、当時の放射性イオン保護対策センター長、ピエール・ペルラン(Pierre Pellerin, Service central de protection contre les rayonnements ionisants (SCPRI) )がテレビで、フランスにはまったく放射能の影響はないと発表。同日フランス3TVの天気予報も、フランスを被った高気圧が放射能の雲を押し返しすためにフランスには原発事故の影響はまったくないという放送をした。ところが事実は翌4月30日、SCPRIが全国に布いている探知施設が放射能に反応し始め、ピエール・ペルランが3度にわたって調査をしているがこの際も報告書には放射能の影響は僅少、として国民に知らせることを怠り、政府も何もなかったように、ほかの国がしたようなヨウ素剤を配ったり野菜や乳製品を市場から回収するなどの緊急時における国民の保護措置をまったく取らず、そのまま放置した。同年5月12日、フランス日刊紙リベラシオンが、放射能の雲が国境から入らなかったとは真っ赤な嘘で雲はフランスを被って汚染しており、当局は雲の通過路に関して嘘をついた事実をすっぱ抜いた。 数年後、高度の放射能汚染のあったとみられるコルシカ島で甲状腺異常や甲状腺がんが激増し、2001年5月、 フランス甲状腺疾患患者の会 (AFMT)、放射能に関する独自な研究と情報委員会 (Criirad)、および甲状腺がん患者51人が、放射能の拡散を過少視したために甲状腺疾患が増えたとして、「過失傷害罪」で政府を相手に訴訟を起こした。しかし裁判官の オディール・ベルトラ=ジェフロワ は、「放射能とがんには、石綿のようにはっきりがんの原因となるという因果関係はなく、少量の放射能ががん患者を増やしたということは証明できない」と判決をくだした。控訴院はすでに1999年、当時の政府責任者であったシャルル・パスクワ内務大臣Charles Pasqua、アラン・コリニャン環境大臣Alain Carignon、およびミシェル・バルザック健康大臣 Michèle Barzachの3人にはすでに責任を問わないとしていた。 2011年9月7日の裁判はしたがって、 人心を惑わした容疑でもと放射性イオン保護対策センター長、ピエール・ペルラン(現在87歳)一人が訴追の対象。ピエール・ペルランの弁護士は免訴を要求して裁判所は予審が終わらないうちに免訴判決を下した。この決定に対し、フランス甲状腺疾患患者の会 (AFMT)の弁護士ベルナール・フォーは、「予審がきちんと終わる前に免訴判決が出たことで、甲状腺がん患者たちは見捨てられた思いになることは間違いなく、またそうでなくても、世論に事実隠蔽の疑いをもたせることになるでしょう」。(フランス2TV、ル・モンド紙)
La bataille de tchernobyl チェルノブイリの戦い(福島に捧げる)
La bataille de tchernobyl: Un documentaire réalisé par Thomas Johnson (94’) – Année : 2006 「ラ・バタイユ・ド・チェルノビル…チェルノブイリの戦い」 - 1時間34分ドキュメンタリー・TVフィルム、トーマス・ジョンソン監修、2006年。 注記: 以下の文章は、数分前に見た「チェルノブイリの戦い」のなかで気にかかる点をいくつか抜粋したものである。2011年は、チェルノブイリ原発事故から25周年。またこのフィルムの制作された2006年は事故から20年の区切りとなる年で、メルトアウトの危機にたいするゴルバチョフの戦いも含め、当時を振り返りまた現在を検証するフィルムとして出来上がっている。福島第一原発事故のあと、このルポルタージュはフランスで何度か再放送され、われわれの将来に向かって重要な示唆を提供し続けている。…
フランス2TV特番「原子力、すべてを変える災害」
France 2 TV企画 COMPLEMENT D’ENQUETE ” Nucléaire – la catastrophe qui change tout” (ビデオ)、フランス2TV番組、《コンプレマン・ダンケート、「原子力、すべてを変える災害」》、長さ1時間55分、2011年4月18日放送。ビデオ掲載(下) 注記: フランス2テレビ企画、《コンプレマン・ダンケート(「調査の補完」の意)》は、社会問題、政治問題、事件などの深奥を調査し公表することを目的に制作されているフランスのテレビ・ルポルタージュで、敏腕ジャーナリストとして知られるBenoit Duquesne(ブノワ・デュケンヌ)が現場の責任者のインタビューや取材映像をまとめ、問題の中心に迫る司会をする。90分番組。カナダのケベック(フランス語圏)でも再放送される。特番「原子力、すべてを変える災害」は1時間55分といつもより長く、フランス国民の関心の高さを繁栄。ちなみに、原発問題に関するこの番組は、現在フランス2TV のビデオの再生回数でトップにランクされている。…
アクチュアリティ・日本
福島原発事故、フランス2TV、フランスBFMTV、iTele、TF1TVの総合要約 - 3月23日、福島原発の放射能を含んだ大気がフランスへ回ってくるため、フランス国民がだいぶ神経を立てていたが、今のところまったく放射能は検出されておらず、一安心。大量の大気に薄められて、放射能の塵は効力を失ったものとみられる。きょう採取した雑草などの精密検査の結果は、三日後に発表される。今後も、地域の科学者やフランス放射能安全対策インスティテュートIRSNが全国100箇所以上で大気や雑草などを採取し放射能検査を続けていくことになっている。 福島原発の事故はチェルノブイリ惨事とはまったく異なる。チェルノブイリの場合、核燃料自体が爆発して核の粉塵が高い大気中にばら撒かれて、ヨーロッパ大陸を覆うという惨事を招いた。福島原発の場合、メルトダウンをしているものの核燃料の爆発にはいたっておらず、破壊された炉心から原発の外に放出される放射能は低空にとどまり、むしろ原発の周辺地域を中心に汚染しているものと見られる。 先週金曜からの努力が実り、電気回路が復活して核を制御する希望が持てる段階に入ったものの、第3号機からの灰色の煙は上がり続け、それに伴い高い放射能が外部に拡散しているもよう。原発で仕事をしていた職員は放射能を避けて退避した。まだ油断はならない。 東京では放射能による水道汚染を確認。乳幼児の許容限界を超えたという。東京都は瓶詰めの水を配給。そのほか、福島産の生鮮食品、特にカリフラワー、ほうれん草などの野菜11種が汚染されていると見られている。 フランスへの影響: プジョー・シトロエンの自動車産業に大幅な影響。日立が日本で生産していた車の部品供給がストップし、プジョーの車、207、308、またシトロエンのC3が生産休止。全体で25%の減産となった。また、昨年からバクテリアの増大で大きな被害を出しているフランスの牡蠣の養殖業を救うため、バクテリアに強い仙台産の養殖牡蠣を導入しようとしていた矢先の東北大震災と津波で、フランス養殖業が希望を失った。海のバクテリアの突然の増加で、太平洋側のフランスの養殖牡蠣が60から70%死滅するという大被害がでていたため、昨年仙台へ出向して買い付けを決めていたもの。牡蠣産業はほかの活路を見つけなければならない。一方、日本の食料品の放射能汚染にともない、日本から輸入される食品で特に生鮮食品は厳重に放射能の値を検査することになった。 IRSNの科学者はきょう「これからも日本から放射能の塵を含んだ大気が回ってくるが、現在のような放射能の放出の仕方だとフランスへはほとんど実害はない」と発表した。 ヨーロッパへの心理的かつ政治的影響: ドイツでは原発を3ヶ月停止。イタリアは原発開発への討議を12ヶ月見合わせることにした。イスラエルも同様。フランスではエコロジストが論争を活発化させるなどし、また、昨年政府が後退させていた太陽エネルギー開発に再びてこ入れをする方向へ動きはじめている。