アクチュアリティ、バイオレンス
・ヨーロッパ、財政緊縮政策に反対する数カ国連動デモ: 2012年11月14日、経済危機にあるEUの厳しい緊縮政策へ反発して、マドリッド(スペイン)、リスボン(ポルトガル)、ローマ(イタリア)、アテネ(ギリシャ)の4大都市で大々的なデモが行われた。 スペインは、カディックス、ヴィゴ、ビルバオなどでも大きな集会が開かれ、首都マドリッドでは数万人のデモ隊たちが警官隊と衝突し、催涙弾や石などが飛び交って30人が負傷、80人あまりが逮捕された。スペインは4人に一人が失業。政治に満足しているというのは国民の7%のみ。「銀行が搾取しているんだ」という人々。アパートを銀行に借金のかたに取られ、自宅を没収される直前に思い余って自殺をする人が今年になって4人続出した。現実に、同じような状況で銀行の手に渡った一般市民の宅地の数は50000軒に上るという。…
アクチュアリティ、ユーロ圏はどうなる?
経済: ブラッセル、ユーロ圏救済特別サミット - GDPの150%に上る3500億ユーロもの負債をかかえるギリシャを救済をするために、ニコラ・サルコジ仏大統領は昨日ドイツのアンゲラ・メルケル首相と事前協議をするためベルリン入りをし、きょう17か国のEU代表が集まるブラッセルの欧州特別審議会で仏独共同策を提示した。今日中にEUが救済介入を決定しなければギリシャが倒産する。ギリシャの後ろには同様に経済危機をかかえるポルトガル、スペイン、それに加えてイタリアの低迷が足を引っ張リ、ギリシャが倒産すればユーロ圏崩壊を招くことは必定だ。こうしたユーロ体制の危機に際し、何を犠牲にしてもギリシャを救済するというサルコジ大統領と、自国内の金融体制には一切影響を及ぼさないことを前提に救済策を決定したい意向のメルケル首相との会議は7時間にわたって行われた。きょう13時から現在行われているブラッセルのEU特別審議会は、ギリシャは負債の全額を返済する必要はないというEU統合はじまって以来前代未聞の提言をしてギリシャの破産を食い止めようとしているが、負債の返済を一部回避できるとなればギリシャに貸借している銀行が困窮に陥る可能性がある。ギリシャ国内は、VAT消費税の高騰、ゼネスト、賃金引下げ不払いが相次ぎ混乱は収まらない。救済策として返済見過ごしを導入するのは、事実上暫定策でしかないという見方が大勢だ。 経済: EU緊急特別審議会、ギリシャを救う姿勢強く見せつける - (上記の続き)10時間以上に及ぶ審議のすえ、EUは3500億ユーロの負債をかかえる破産寸前のギリシャにたいし、1580億ユーロの救済金を捻出することを決定した。予想されていた額より多く、うち、3分の2はEU17カ国が負担し、3分の1は銀行が利息を減らしまた負債の一部を帳消しにするなどの処置で負担する方針。ギリシャを救済することで、EU諸国がEU圏の保持に全力を努める姿勢を強く打ち出し、ユーロ圏崩壊を食い止める体勢を世界に誇示したことになる。 破産は食い止められるもののギリシャ国民は悲観的で、「今回の処置はほかの国にしわ寄せが行くだけで、国内生産をあげるよう国が努力しなければ、元の木阿弥だ」。(フランス2TV) 社会党フランソワ・オーランド、メディアの行き過ぎに激怒 - DSK、ドミニク・ストロス=カンのニューヨークの婦女暴行事件が一転二転。DSKがニューヨークで自由になったとたんに、フランスでは2003年にDSKに強姦されそうになったというトリスタンヌ・ボノンという女性がDSKを訴えでた。2003年、DSKは社会党政府の経済大臣で有力者。トリスタンヌ・ボノンは暴行された当時、友人や家族などの周囲におしとどめられて沈黙していたのだという。トリスタンヌ・ボノン事件に関し、検察が事情聴取をすることを決め、社会党の大統領候補で有力視されているフランソワ・オーランドが参考人として召還されることになった。問題は、『ル・フィガロ』日刊紙の一面に、トリスタンヌ・ボノンとフランソワ・オーランドの2人の合成写真が大きく取り上げられており、またしても社会党が汚名を着せられたような印象を与えたことだ。「私は事件にはなんら関係がなく、また第三者以外の何者でもない。いいかげんに、細工(報道の?)を止めないと、法廷に引き出す用意がある」とフランソワ・オーランドは激怒。検察は9月にでも事情聴取をといったが、9月は社会党の大統領候補を決定する大事な時期に入る。「事情聴取をするなら今すぐやってくれ」と答えて、早速昨日召還を受け、「周辺の人たちの一人として知らされた覚えはあるが、自分はまったく事件とはかかわりがなく、これ以上の情報はまったく無い」と強調したという。 社会党書記長も、この日「人を貶めようと裏工作やら小細工が横行しすぎている。政治はもっと大きなビジョンや政策の問題を前面にしてやっていくものではないですか」と、DSK事件を発端として、社会党の人気落しが裏工作され続けていることに業を煮やした発言をした。 エネルギー - EDFフランス電気会社が30億ユーロの予算で建設中の新型炉心を備えるフラマンビル原子力発電所建設(バース・ノルマンディー)がさらに遅れ、2016年を完成めどとすることにした。このために建設費用は二倍に膨れ上がり60億ユーロになるという。2010年を目指して建築中であったが二度の大事故ですでに大幅に遅滞していたもの。福島原発事故なども影響して、原発炉心構造のさらなる安全性が求められており、建築予算は雲をつく勢いで増加。世界中で同種の炉心建設計画が10箇所あるが、うちアブダビやイタリアは建設を中止した。 (フランス2TV、BFMTV)
アクチュアリティ、環境…
バクテリアによる経済的被害甚大 - ドイツのハンブルグを中心に広まったバクテリアによる食中毒で死者は25人となった。ヨーロッパ諸国12カ国に広がったばかりではなく、アメリカでもやはりドイツに旅行をした人が一人中毒症状をだしている。バクテリア感染源として濡れ衣を着せられた生野菜、特にキュウリの生産者の被害は甚大で、スペイン、フランスなどでは収穫したキュウリを毎日捨てる作業が行われ、倒産寸前の農家も出始めている。EUは被害を受けている生産者に対し、1億5千万ユーロの援助金捻出を決定したが、実際農家は毎週2億ユーロ相当の損失をだしており、援助は焼け石に水状態だ。一方、バクテリアのほうはいまだに感染源がつかめず、各国の研究所は検査の範囲を広げ原因究明を急いでいる。(フランス2TV、フランスTF1TV、) 旱魃と異常気象 -フランスの特に北部では好天気続きで暑さが夏並み。旱魃により、現在全国62県が節水体制を取っている。一方で先週および今週はじめ、南仏やヴァル・ディゼールで大嵐や大粒の雹が降り農作物に大きな被害を与えた。りんごやナシが全滅の農家も。また先週は、アルプスやピレネー山脈の一部で雪が降り、30cmから50cmの積雪を記録した。300頭の羊が凍え死ぬなどしている。 福島原発事故、マグマ状になった核燃料が流出 - すでに津波の直後に福島第一原子力発電所の一号機から3号機までの炉心3基で、核燃料がメルトダウンしてマグマ状になり、壊れた格納容器から一部外へ出ていた可能性のあることをようやくTEPCOが発表した。原発事故から3ヶ月たっても放射能の流出を止められずにいるTEPCOは、国際原子力機関(International Atomic Energy Agency:IAEA)への正確な報告を迫られ、これまでの不透明で煮え切らない部分を正してようやく内容を明らかにする姿勢を示したことになる。(フランスTF1TV) My opinion: 4月下旬あたり、イギリスのウィリアム王子とケイト・ミドルトンの結婚式直前あたりから、福島原発事故のニュースがほとんど表面から消え、各国際放送のビデオではなくブログなどで言及する程度だったが、再びこの二日ばかり、フランスのTF1が取り上げている。状況が最悪の状況であることがはっきりしたからだろう。核燃料がマグマ状になって壊れた格納容器から外へ出る、という最悪のシナリオは、フランスではすでに3月中旬に原発が爆発した時点で何度もTVで言及していたが、日本側は「建屋の水素爆発のみ」という表現で、核燃料には一切触れていなかった。
アクチュアリティ、バクテリアの謎
ヨーロッパに広まるバクテリアの脅威 - 生野菜が感染源といわれてきた食中毒の原因となるバクテリアの正体がほぼ判明したという。菌は二つの株のハイブリッドで抗生物質が効かず、潜伏期間は10日あまり。感染すると激しい症状を伴う。ドイツのハンブルグから始まり、スエーデン、フランス、イギリスで発病者が出ているが、いずれもドイツへ行った人ばかり。現在発病者はドイツを中心に2000人。ドイツ、ハンブルグで18人の死者。スエーデンで一人死亡となっている。最初はスペイン産のキュウリが感染源といわれていたが、キュウリを食べていない人に多数の発病者が出たため、トマトやサラダ菜などへ波及してフランス、ドイツなどの研究所が検査していた。しかし、感染源は生野菜といわれてきたにもかかわらず、本当に野菜が原因なのかまったく確証が得られておらず、どこで発生したバクテリアのか、またどれだけ波及していくのかなども何もわかってはいない。各国市場では、スペイン産の野菜が嫌がられ、フランスだけで80%の売り上げ減となった。スペイン産の野菜は95%が販売不可能となり、多大な損失を出している。一人の感染者も出していない上に、感染源の濡れ衣を着せられたスペイン政府は、ドイツへ損害賠償を請求。ドイツはこれに対し、「スペイン産の野菜が原因だなどとは言っていない。市場から感染源と思われる野菜を回収するよう指示しただけだ」と答えた。野菜の容疑が晴れてもすでに遅し。フランス国内でも、「スペイン産は絶対買いません」という消費者が激増している。 ロシアは即座にヨーロッパからの野菜の輸入を全面禁止。モスクワの人たちは、「ヨーロッパは自分で作った野菜で自家中毒をしていればいいのよ」となかなか冷たい。EUはロシアに向け、直ちに輸入禁止を解くよう勧告した。 フランス2TVの食品専門家は、「野菜が原因なのだけが判明しているが、よく手を洗って、野菜も皮を剝いたり火を通したものを食べるように。また女性が感染しやすい。3歳以下の子供に肉を食べさせるときはよく火を通して・・・」。 (フランス2TV、昼のニュース、BFMTV) My opinion: TVの食品専門家が、「野菜が原因」と言ったあとで、「肉にはよく火を通して」と言うのが、よく分からない。むかし、牛肉の処理を誤って腸を裂き、腸内のバクテリアが肉に混入して重い感染症を引き起こして問題になったことがあったが、今回のバクテリアは肉から来るものとはまた別物という。そうした説明の口の先から、また野菜と肉をごちゃまぜにするところをみると、原因がまだ不明なだけに、この人自身にも疑いが拭いきれないのだろう。とまれ、こうした放送でヨーロッパがどれだけ混乱しているかがよくわかる。(S.H.)