フランスから―環境とアートのブログ

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フランス2TV特番「原子力、すべてを変える災害」

France 2 TV企画 COMPLEMENT D’ENQUETE ” Nucléaire – la catastrophe qui change tout” (ビデオ)、フランス2TV番組、《コンプレマン・ダンケート、「原子力、すべてを変える災害」》、長さ1時間55分、2011年4月18日放送。ビデオ掲載(下) 注記: フランス2テレビ企画、《コンプレマン・ダンケート(「調査の補完」の意)》は、社会問題、政治問題、事件などの深奥を調査し公表することを目的に制作されているフランスのテレビ・ルポルタージュで、敏腕ジャーナリストとして知られるBenoit Duquesne(ブノワ・デュケンヌ)が現場の責任者のインタビューや取材映像をまとめ、問題の中心に迫る司会をする。90分番組。カナダのケベック(フランス語圏)でも再放送される。特番「原子力、すべてを変える災害」は1時間55分といつもより長く、フランス国民の関心の高さを繁栄。ちなみに、原発問題に関するこの番組は、現在フランス2TV のビデオの再生回数でトップにランクされている。…

食い違い・・・

先月3月25日から26日ころ、福島原発事故にかんし、日本がフランスへ技術救済を求めてきたことをだいぶラジオやTVが報道している。「とうとう日本が、フランスの原子力技術で助けてほしいといってきた」とフランス・アンフォ・ラジオは一日中繰り返し、日本の窮状にフランスが関与するかどうかEDFが検討開始した、といったことを報道し続けた。協力をするにしてもまだ人材を送るわけには行かない、などといった話だったのが、24時間も経つと、「EDFフランス電気、AREVAアレヴァ株式会社、Commissariat de l’énergie atomique(CEA)フランス原子力庁の三箇所が協議し日本へ協力する方向へ」ということで、フランスの三つの機構が協力体制を組んで援助をすることが決定した旨、国内で大きく報道されることになった。 そうこうしているうちに、どういうわけか急にサルコジ大統領が日本へ行くという報が伝えられ、3月29日、AREVA社のディレクター、アンヌ・ロベルジョンと来日し、サルコジ大統領が日本で救済に向け演説をした。 さて、それからだ。よく分からないことに、日本の一部の報道で、日本が頼んだからというよりは、フランスが率先して技術援助を申し出て、突然サルコジ大統領が来日した、というはなしが聞こえてきたから耳を傾けないわけにはいかなくなった。これにさらに輪をかけ、フランスの大統領がわざわざ来日までして援助を申し出たのは、「原発事故の構造が知りたいのではないか(技術的好奇心?)」とか、「フランスの原子力開発にほかの国のような原発反対運動でストップがかからないための国策保護」、といったような勘繰りともつかない憶測を民放のTV局がして、提供される援助をありがたがる雰囲気でもないのに少々驚いた。前の週、フランスでは日本が援助を求めてきたのでフランスはそれに快く回答したことになっているのに、このメディアの食い違いはいったいどういうことだろう。 それより少し前、フランスが援助物資を送る段階で、核燃料の冷却水を100トン送るとTVで専門家が言ったとき、「100トンとは少なすぎませんか?」とアナウンサーが質問したが、これに対し専門家は、「この数量は、日本側からの要請に従ったものです」と答えて会話が閉じた。あれやこれや思い出しても、 事実と周辺の憶測の入り乱れは、話や行動の一番最初のきっかけとなるものが第三者にきちんと知らされていないと、自然に見方が歪曲されていってしまうことを指してやまない。 原発そのものがすでに大きな見えない部分をかかえている。情報のありようが大きく問われる震災でもある。(S.H.)

アクチュアリティ・日本

福島原発事故、フランス2TV、フランスBFMTV、iTele、TF1TVの総合要約 - 3月23日、福島原発の放射能を含んだ大気がフランスへ回ってくるため、フランス国民がだいぶ神経を立てていたが、今のところまったく放射能は検出されておらず、一安心。大量の大気に薄められて、放射能の塵は効力を失ったものとみられる。きょう採取した雑草などの精密検査の結果は、三日後に発表される。今後も、地域の科学者やフランス放射能安全対策インスティテュートIRSNが全国100箇所以上で大気や雑草などを採取し放射能検査を続けていくことになっている。 福島原発の事故はチェルノブイリ惨事とはまったく異なる。チェルノブイリの場合、核燃料自体が爆発して核の粉塵が高い大気中にばら撒かれて、ヨーロッパ大陸を覆うという惨事を招いた。福島原発の場合、メルトダウンをしているものの核燃料の爆発にはいたっておらず、破壊された炉心から原発の外に放出される放射能は低空にとどまり、むしろ原発の周辺地域を中心に汚染しているものと見られる。 先週金曜からの努力が実り、電気回路が復活して核を制御する希望が持てる段階に入ったものの、第3号機からの灰色の煙は上がり続け、それに伴い高い放射能が外部に拡散しているもよう。原発で仕事をしていた職員は放射能を避けて退避した。まだ油断はならない。 東京では放射能による水道汚染を確認。乳幼児の許容限界を超えたという。東京都は瓶詰めの水を配給。そのほか、福島産の生鮮食品、特にカリフラワー、ほうれん草などの野菜11種が汚染されていると見られている。 フランスへの影響: プジョー・シトロエンの自動車産業に大幅な影響。日立が日本で生産していた車の部品供給がストップし、プジョーの車、207、308、またシトロエンのC3が生産休止。全体で25%の減産となった。また、昨年からバクテリアの増大で大きな被害を出しているフランスの牡蠣の養殖業を救うため、バクテリアに強い仙台産の養殖牡蠣を導入しようとしていた矢先の東北大震災と津波で、フランス養殖業が希望を失った。海のバクテリアの突然の増加で、太平洋側のフランスの養殖牡蠣が60から70%死滅するという大被害がでていたため、昨年仙台へ出向して買い付けを決めていたもの。牡蠣産業はほかの活路を見つけなければならない。一方、日本の食料品の放射能汚染にともない、日本から輸入される食品で特に生鮮食品は厳重に放射能の値を検査することになった。 IRSNの科学者はきょう「これからも日本から放射能の塵を含んだ大気が回ってくるが、現在のような放射能の放出の仕方だとフランスへはほとんど実害はない」と発表した。 ヨーロッパへの心理的かつ政治的影響: ドイツでは原発を3ヶ月停止。イタリアは原発開発への討議を12ヶ月見合わせることにした。イスラエルも同様。フランスではエコロジストが論争を活発化させるなどし、また、昨年政府が後退させていた太陽エネルギー開発に再びてこ入れをする方向へ動きはじめている。