フランス2TV今日のニュースから
土曜の夜に起きたコートダジュールの水害は、マンドリューからカンヌ、アンチーブ、ビオ、ニースまで、アルプ・マリティーム県の海岸線の大半を襲い、多大な被害と犠牲者を出して、住民のみならずフランス中が衝撃を受けている。死亡20人、いまだ2人が行方不明。商店街が浸水したカンヌでは、用心のため夜間に警備員が置かれたものの、オフィスや倉庫が泥棒に入られるなどの被害がおき、現行犯で9人が捕縛された。また、広範囲にわたる被害は各地から集まったボランティアの手伝いで少しずつ片付けられはじめた一方で、水害ですべてを失った家族が悲しみとともに被災地を去るなどしている。オランド大統領は明日、自然災害の認定をし、いち早く被災地補償金を出す手続きをする運び。
アンチーブでは大キャンプ場が水に流され、キャンピングカーに5時間閉じ込められた旅行者が助けられた。ビオの養老院で3人が死亡。マンドリューでは、自宅の地下駐車場から車を救いだそうとした住民が8人、駐車場の天井まで流入した水で溺死。カンヌ駅は未だに閉鎖中。アンチーブ駅は開いたものの、20kmにわたる線路破損で列車は遅滞し、利用客はほかの交通手段を見つけざるを得ない状況だ。
果たして豪雨を伴う熱帯暴風雨は、地球温暖化によるものなのか。「No」だ。というのは今回、あまりに局地的また突発的なゲリラ豪雨であったことが上げられる。しかし、温暖化といえば地中海の海水温度が近年上昇を続けており、2015年の今年は平年より1.4度高い。そのせいで、アフリカから地中海へ向けて吹き上げる風にいつもより多くの湿気が含まれ、激しい雨を伴う雨雲を作り出したとみられる。3日土曜日は、メテオ・フランスはオレンジの「注意報」しか出しておらず、なぜ赤の「警報」を出せなかったのか。今後のテクノロジーの発達で近未来にはもっと綿密な見解を出せるはずであるが、現在の技術では今回のような短時間で発生したものに対してはメテオフランスは「無力」、と発表した。
コートダジュールは住宅地としても人気が高く、過剰な住宅建設や増設による都市化が行われている。果たして宅地造成が被害拡大の原因になってたのだろうか。水があっという間に満杯になって一番多くの犠牲者を出した地下駐車場のある建物は、実は1975年代に洪水危険地域に建てられたものと分かった。マンドリュー市街地の大半が実は洪水危険地域として指定されている。宅地造成は、危険地域の指定を無視して行われ続けたもののようだ。マンドリュー現職市長のアンリ・ルロワ氏は「1975年建設のものは私が在職していた時期ではないので良く分からないが、私が市長になってからは、宅地建設の許可は出していない」としつつ、「すでにエンジニアと提携し、治水計画を進めており、今回のような水位の異常な上昇はこれからも発生する危険性があるので対処していくつもりだ」とつけ加えた。
国土省によると、すでに宅地になっているが、カンヌ市はその30%、ビオは22%が洪水の危険をはらんだ土地として指定されているという。(フランス2TV)