保守野党第一党の、UMP国民運動連合(Union pour un Mouvement Populaire)は2015年5月30日、サルコジ代表が党名変更を提案し、党員投票で8割強の賛成が得られたことをうけて、党名を共和党(きょうわとう、Les Républicains)と改称するに至った。先週土曜、共和党はヴィレットで初の党大会を催した、のであるが、6月1日夜8時のフランス2TVは、「土曜の大会の様子はどの放送局も共和党配信の同じ映像が流れて集会は盛会という印象を焼き付けたが、事実はどうやら彼らの作った映像とだいぶ異なるかんじ・・」と切り出し、フランス2は自局が取材した映像を見せ、集会が露呈した内部状況を報道した。

共和党の「和やかな雰囲気の」映像とは裏腹に、現実は、フランソワ・フィヨンが入場すると会場からは大きなブーイングと口笛の波が沸き起こり、中には立ち上がって悪態をつく人もいる。6ヶ月前に地元のボルドーで同じように怒声を浴びたアラン・ジュッペは、こうしたヒステリックな観客のブーイングの波に向かって、「党内分裂を助長する危惧をもたせる」と注意を促した。演説をするのは党内の重要人物60人で、時間を細分して10分から1分半が各人の手持ち時間。タイマーが秒読みするあいだに、話をしなければならない。時間超過をした議員には係員がカメラの前に立ちふさがる。カメラが回っていても係員の背中しか見えない。

たしかに、83%の党員が改称に賛同したのだが、本当にニコラ・サルコジが主導権を勝ち取ったということなのだろうか? 83%はこの日投票した43%のうちの83%なのであって、投票したのはサルコジ派が大半だったことを鑑みれば、逆に派閥の分裂を示唆するものではないだろうか。

事実、ヴィレットには2万人が集合するはずだったが、現実には半分の1万人を数えただけ。大集会室も午後になると後部座席は数百という空席。集会室に入れない人のために大画面を用意した中庭のテントには誰一人いない。

UMPが与党社会党の党集会が50%の参加率だったことを嘲笑したが、今回の旧UMP、共和党の集会は46%とこれを下回った。「結束の固さを見せ付ける集会」と銘打ったサルコジのスローガンは見事に失敗。内部分裂を露呈した集会そのものも失敗に終わったといえる。

http://www.rtl.fr/actu/politique/les-republicains-un-congres-totalement-rate-analyse-alba-ventura-7778551859

「共和党」への改名について、社会党のマニュエル・ヴァルス首相は「共和国政治の中で、共和党といわれてもですね、右派も左派も共和主義には違いないのでして」と、ちっとも新しくはない新党名「共和党」への懐疑をちらつかせた。(フランス2TV、RTL、20ミニュット)