久しぶりのフランスのアクチュアリティ。ベビーブームとはいえ、フランスも高年齢層が増え続けている。ヨーロッパの経済恐慌や負債、増税、年金制度の見直しなどを含め、大きな流れは「負」の方向へいく感が否めない今日このごろだ。そのなかで救われるのは、真の男女平等への地道な政策が「女性の権利」省と内閣全体の前向きな姿勢によって進められていることだろう。(S.H.)
フランス2TVのニュースから:フランス経済
[社会保障制度の赤字軽減に、入院の形式を見直し]
手術後の入院形式を変えることによって、50億ユーロもの節約ができることがわかった。手術によっては、朝病院に入り、手術をした日のうちに帰宅する「Hospitalisation ambulatoire」という方法がある。フランスで行われる手術はその日のうちに帰宅できる軽いものが40%をしめているが、デンマークなどでは80%が帰宅するのだそうだ。費用は、手術当日の帰宅形式をとれば一泊入院分の約半分で済み、健康保険制度の負担分も患者の負担分も同時に半分になる。「患者は手術当日は心配で病院に泊まることを望む場合が多いが、実際は自宅に帰ってもいい場合がたくさんある」と病院の外科医。保健の赤字軽減に、「Hospitalisation ambulatoire」の奨励がすすみそうだ。…
[フランスの負債、一秒に3000ユーロ増]
一昨日、フランスは国の負債が2兆ユーロに達すると発表した。2012年度の1兆7000億ユーロから2500億ユーロ増加。これは一秒に3000ユーロが追加されていく計算である。このペースは実はこの6年間変化しておらず、保険制度の見直しなどを含めて国内の節約を推進することも必要だが、現在フランスの一番の支出は、ヨーロッパ連合加盟国の窮地を救うための援助金供出なのである。ギリシャやイタリアなどの国が破産しないようにフランスが援助する金額は年間680億ユーロ。いったんこれらの国が破産してしまうと、ドミノ式にほかの国への影響が懸念されるヨーロッパの経済危機を、何とか救わなければならないために続けられる「輸血」。フランスの体力はどこまで維持できる?
[今日9月21日は、アルツハイマーの日]
[女性が男性と同等になるために、父親の役割の見直しを]女性の権利省製作ビデオ:
Rôle des pères : conciliation vie familiale… par Najat-Belkacem
「女性の権利」大臣のナジャット・ヴァロー=ベルカセムは16日、社会における男女差別を解消するための政策のひとつを改めて披露した。すでに昨年の新政府発足の折、女性の社会差別を解消するためにはこどもの「男の子」と「女の子」を別扱いする教育差別から根本的に見直して解消していかなければならないことを内閣が宣言し、小さいころからの国立教育に新しいビジョンを投入する方向で政府各省が動き出している。
フランスの現在のジャン=マルク・エロー内閣は20の省で構成されているが、大臣の男女比はまったく同等で、男性10人、女性10人と、政府内部の男女平等が保たれている。
現在の内閣、および閣外省の構成(ウィキベディアから)
ビデオ要約:
ナジャット・ヴァロー=ベルカセム、「女性が社会で差別を受ける最大の要因はは、女性が妊娠して子供を生み、そのために長い間仕事を休まなければならず、また子供の世話が女性の肩に一方的にのしかかってくるためで、子供をもうけた後の社会復帰が困難などころか、昇進、責任を持つ役職へのアクセス、昇給などに多大な影響を及ぼしています。産休と産後の子育てを父親と公平に分け合って、父親が産休を取り、母親と同等に家庭に取り組み、母親の過重な犠牲を軽減していくことが必要です」と発言。これに対して、労組、労働状態を監視する協会などの責任者(みな男性)が賛同。「社会の調和を取るべく、男性が父親としての役割を果たすことを奨励し、その代わりに女性が社会でよりよく仕事ができるように、男性労働者を説得していくことがわれわれに課された仕事です」と明快かつ非常に前向きに発言して、真の男女平等に向かって道を切り拓く討論が行われた。