非難の渦中で、JEFTA/ 日本・EU自由交易、締結

世界のGDPの3分の1、世界貿易の40%、6億人の消費者を包有する自由交易協定JEFTA(Japan-EU Free Trade Agreement – 日本・EU経済連携協定)が東京で7月17日、日本とEU代表によって調印された。EUは関税削減により、これまで日本で輸入規制が特に厳しかったチーズ、ワイン、牛肉、医薬品の輸出を増大へ、一方日本は、自動車や部品の輸出拡大へ進むことになる。協約の力はそこに留まらず、カナダとの自由交易CETAと同様、自由交易に向けて「非関税の障壁」となる現行基準や個々の規制の違いを壊すことを眼目としている。4年来の秘密交渉の末、2017年7月に構想が固められたJEFTAは、2019年初頭の施行へ向けて、欧州議会で議決されなければならない。

・関連記事「後戻りのできない協約」À lire aussi >> Accords commerciaux : « On ne pourra plus revenir en arrière »

・NB: ブログタイトル「EUと日本、世界最大の自由貿易へ合意」はPolitisの記事タイトル「L’Europe et le Japon signent le plus gros accord de libre-échange au monde」の翻訳

多国籍企業に優位な契約

欧州連合によれば、国レベルでの購買率は日本もEUもほぼ同じで経済交易全体の15%を占めるという。自由貿易協定ではしたがって、入札は国際的に開かれることを予定しており、地域が地元企業を優先することを禁じ、市場が外国企業へ積極的に解放されることを目的としている。日本はそのために、地域企業が事業を保有できる法律を廃止。EUは日本において鉄道施設に関する市場を開くことができるようになる。

同様にして、日本の87の病院と電気事業における配電も、欧州企業の参入に開放される。欧州委員会はこれを、これまでの地元企業や子会社優先による「不公正な専有」が終焉を迎える、と表明した。しかしながら、現在に見られる細かい基準の規定や法規制の違いなどから起こる問題を解決するために、「規制協調」を推進し基準を単純化させることは、どう見てもロビー活動がしやすいように形作られていくことにほかならない。

戦略的には、WTOによる貿易の世界自由化の失敗を克服することを目指しており、特に、多国籍企業の激しいロビー活動に有利なように構築されている。例えば、これらの自由貿易協定の下で締約国は、法律の立案を協力機関に通知しなければならない。こうした手順一つが、ロビーが新しい取り決めへどう対処し影響を与えるか対策を練る時間を与えることになる。JEFTAはしたがって、調印後も規制へインパクトを与え続ける動く協定なのである。

欧州委員会は、規制調和は制約にはならず、上から「我々の高い基準」に基づいて行わなければならないと主張しているのであるが、JEFTA会議で環境NPOが、CO2削減目標や持続可能な開発へ向けての政策など環境対策や気候対策が全く盛り込まれないまま自由貿易が締結されることに懸念を示し、欧州連合に「予防原則」を突きつける事態も起きた。

気候問題、全くの欠如

EUは日本に向けた食物輸出を180%に増やしたいとしているが、今日、集約農業が原因の健康被害が報告されており、「自由貿易協定は、社会、人間及び環境に関する権利を危機に陥れる」とフードウォッチのNPOが警告。自然と人類のための基金ヴブレン研究所は協定に「気候破壊」を見、「環境危機を悪化させる欧州の貿易政策の短絡」と非難する。

ソーシャルダンピング

JEFTAはまた、賃金をより低くし労働条件を過酷にする国際競争を煽るとして、フランス・アンスミーズの党員が「ソーシャルダンピング(社会的規模でのダンピング/投げ売り)が基盤だ、(…)。だいたい日本は、強制労働や労働差別に関する国際条約に調印していない」とコミュニケに発表した。

CETA(カナダ・EU自由貿易協定)、イタリアが反対?

JEFTAは、非難と不満が渦巻く中で調印された。

同時進行するもう一つの巨大貿易協定であるカナダとの自由貿易協定CETAの批准を7月13日、イタリアの新政府が否定することを明らかにした。CETAは、保護原産地を十分に保護しないという理由からだ。この貿易協定は、27のEU加盟国の同意なしには実施できない。フランス議会は9月に決議しなければならないが、今まで11か国が署名し、12月21日から暫定的に発効している。加盟国の1つが意見を翻して拒否した場合、大きな司法的難問をもたらすことになるだろう。

JEFTAの場合は、もっと容易に軌道に乗せるために、投資構成要素および仲裁裁判所または投資家と国家間の紛争解決メカニズム(ISDS)についての条項を軽減したため、CETAとは少し様子が違う。このため、 EUの運営規定に基づいて加盟国の投票が必要とされている。新しい規制が、投資から期待される利益を損なう場合、多国籍企業は補償を受けるべく国を訴えることが可能となるこれらの仕組みは、引き続き検討中である。これらの仕組みは、貿易、サービスの自由化、規制協力等が投資面での議論によって妨げられないように、二段構えで協議される予定だ。

À lire aussi >> Tous les articles de Politis sur le Ceta

参考資料:

https://www.politis.fr/articles/2018/07/leurope-et-le-japon-signent-le-plus-gros-accord-de-libre-echange-au-monde-39159/

・EU連合サイト、2018年4月18日にまとめられた交易自由化の全容 http://trade.ec.europa.eu/doclib/press/index.cfm?id=1684

 

My opinion: またしても自由という形容詞のついた、企業優先、独占とソーシャルダンピング、多様性の破壊。日本はまた自国の中小企業保護の法律を廃止する方向にあるらしい。