2018年5月10日の東京電力の定例会見で、福島第一原子力発電所からセシウム137が毎日20億ベクレル海に流出している問題について今後の方針を問われた東電は「現状のやり方で放置する」と回答した

2011年3月の事故をきっかけに太平洋への大量放射能流出が始まり、2018年5月現在、毎日推定300トンの汚染水が太平洋に流出し続けている。放射能の量は推定セシウム137のみで「毎日20億ベクレル」という。

2014年時点で80億ベクレル、という記録があるが、これには「毎日、ストロンチウム90が50億ベクレル、セシウム137が20億ベクレル、トリチウムが10億ベクレル」(当時の東電定例会見ビデオを参照)とあるから、今も出て行くセシウム137の量は全く減っていないということになる。ようやく昨年から大枚の資産をかけた凍土壁ができてだいぶ流出量を抑えたというが、完全を期したわけではない装置はやはり気休めに近いまま、海洋への汚染水の流出はとどまるところを知らないということができる。

セシウム137は放射性崩壊に時間がかかり、半減期は30年(30年をかけて放射性が半分になる)とされる。10分の1になるには41年かかる。2011年に放出したセシウム137はまだまだその時期ではない。その後の太平洋汚染はどのようにモニタリングされているのだろうか、気になるところである。

他の放射性同位体の半減期を引用しておこう。半減期は半分の効力を失うというだけで消滅はしない。

  • トリチウム 12.3年
  • ストロンチウム90 29年
  • プルトニウム240 6561年
  • ウラン235 7億年
  • ウラン238 45億年

 

さてここから、2011年3月の数回の爆発後、太平洋に向かって流出した大量の放射能に関する海水と大気の汚染状況をシミュレーションしたビデオを見ることにしたい。汚染は「水(海洋)」と「空気(大気)」を伝わる汚染シミュレーションは、地球を包み、太平洋全体に関わっていることを明確に見せてくれるがのだが、これは事故当時の放射能放出のみを解析したもので、それ以降今日に至る毎日の汚染水流出は含まれていないことを明らかにしておかねばならない。
Fukushima Radioactive Aerosol Dispersion 

福島第一事故から出た地球レベルの放射能の大気汚染シミュレーション

タイムラプスの期間は、2011年3月から4月12日のほぼ一ヶ月間

In this dataset, the simulation from NOAA’s HYSPLIT model shows a continuous release of tracer particles from 12-31 March at a rate of 100 per hour representing the Cesium-137 emitted from Fukushima Daiichi. Each change in particle color represents a decrease in radioactivity by a factor of 10. Radioactivity decreases due to removal by rainfall and gravitational settling. Decay is not a factor for Cesium in this short duration simulation compared to its 30 year long-half life. The air concentration would be computed from the particle density so it is only partially related to the color scale. The released particles are followed through the end of April using meteorological data from the 1-degree resolution NOAA global analyses.
http://sos.noaa.gov

 

放射能の太平洋汚染に関するシミュレーションは、事故当日から1938日後までの約5年4カ月

福島第一原発事故から出た放射能汚染、太平洋のシミュレーション 92日目

事故後数週間は非常に高い濃度の放射能が海に流れ出た。これらのシミュレーションは事故直後の汚染が海流に乗って水を汚染し、太平洋全体に回る5年を想定している。しかし、2011年から7年経つ今日も、セシウム137は毎日20億ベクレル流れだし続けている。したがって、1938日目の汚染予想図以上に太平洋は汚染されていると考えられる。

福島第一原発事故から出た放射能汚染、太平洋のシミュレーション 1938日目

福島第一原発事故のあと数週間は非常に高い濃度の汚染水が数週間で続けたという。このシミュレーションは2012年に作られ発表された。

発表者:Erik Behrens1, Franziska U Schwarzkopf1, Joke F Lübbecke2 and Claus W Böning1

リンク:http://iopscience.iop.org/article/10.1088/1748-9326/7/3/034004/meta

 

その他の参考資料:

http://iopscience.iop.org

https://www.youtube.com/user/scienceonasphere/videos

https://www.pmel.noaa.gov

https://youtu.be/O8a2zcZ27t4

http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-3870.html

https://iwj.co.jp/wj/open/archives/420501