トランプ公約の悪夢
その1、パイプラインと原油汚染
トランプがこの3月、多くの反対を押し切って発効した化石燃料エネルギー推進の一環、カナダから北アメリカ大陸を南へ縦断するパイプラインの設置。そのパイプラインの通る南ダコタで、21万ガロン(約800トン)の原油漏れが発見された。原油は毒性が強く、環境汚染や人間の健康被害が強く懸念されていた。
その2、野生動物の危機
トランプ政権は今日、アメリカ人が狩猟して殺した象の頭や象牙をアフリカ(ジンバブエとザンビア)から戦利品(ハンティング・トロフィー)としてアメリカへ持ち帰ることを許可する条例を出した。動物保護のためにオバマ政権が禁止した輸入をトランプが解禁したもの。ジンバブエではここ数年で6%の象が減少。象牙のために、15分に一頭が殺されている計算だという。
アメリカ魚と野生動物サービスのスポークスマンは、アフリカ象が激減して保護が必要な時に、なぜ狩猟を促すような発表をするのかわからない、と怒りをあらわにしている。
また、アラスカの野生動物を保護するためにオバマ時代に成立した法律を排除し、法律内容の変更を州に委ねて緩和させたため、新しい狩猟の場を与えてしまうことになりそうだ。16の地区で冬眠中の熊や今まで保護地区で生息していた狼などを狩猟することが許されることになる。
砂漠は、オセロやジャガー、狼などを含む100種以上の野生動物の重要なエコシステムだ。メキシコとアメリカのボーダーに大きな壁を作ることもトランプ公約の大きな課題となっているが、壁を作ることで、野生動物の移動を妨げ、住処を破壊することが懸念されている。
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My opinion: アフリカ象を殺して象牙や頭をアメリカに持ち帰ってはいけないとしたオバマ政権の禁止条例を排除した途端に、あちこちから解禁に対する大きな反発が表面化している。誰が象の頭や象牙をアメリカに持って帰ってきたかったのか?このブログの写真の象の尻尾を持って微笑むトランプ・ジュニア以外にないでしょう。家族ファースト、金持ちファースト。世界の生態系が危機に瀕しようが、オバマケアがなくなって治療のできなくなる重症患者が何百人何千人いようが、同じ共和党議員にタックス・カットは(国費の)強盗だと言われようが、トランプは自分が大統領である限り、公約を推進していくつもりなのだろう。世界レベルで犠牲が大きくならないうちに、ロシア方面の捜査をどんどん進めていただきたい。(S.H.)