各地で死に始めたサンゴ
11月上旬フランス2TVが、フランス人科学者たちがインド洋周辺の海中に生息するサンゴが死滅しかけているのを発見して救済を始めたという事実を公表したが、今日のル・モンド電子版がやはり、オーストラリアの観光地で知られる世界遺産、グレート・バリア・リーフの巨大なサンゴ礁が、インド洋のサンゴと同じように「白化」し、この数か月で67%が死滅したと伝えた(クイーンズランドのジェームス・クック大学調査)。原因は、地球温暖化による水温の上昇だ。
「サンゴは通常、とても色鮮やかだが、白く白化して死にかけており、死んでしまったサンゴは茶色なっていて、見るからに墓場のようだ」と研究所所長テリィ・ヒューグ。グレート・バリア・リーフの北部が一番やられており、世界から集まった科学者たちの検証では、この地域の75から90%のサンゴが死滅しているという。しかし1年前、北部地域は人間活動から一番離れた場所だったこともあり、サンゴの保護状態が他に比べてむしろ良かったところなのだ。
(グレート・バリア・リーフのサンゴ礁はその中部と南部で、この30年ですでにその半分を消滅させた。人間の農業活動によって排出される汚染水が原因だ。)
エコシステムへ悪影響
海中のサンゴはその周辺で生きている他の生物の住処であり食料供給の場でもある。したがって、サンゴが死滅するとそれら動物たちの住処がなくなる。
研究所所長テリィ・ヒューグによれば、2300kmにわたるグレート・バリア・リーフ北部の海水の温度は、通常の夏より2℃高いという。オーストラリアではすでに、1998年、2002年にもサンゴの白化現象が起きた。科学者たちは地球温暖化による水温の上昇が、サンゴの白化の原因であるとみているが、白化したサンゴがまた元に戻るまで少なくとも10年から15年はかかり、こうした生物再生にかかる長い時間を考えると、加速する地球温暖化の前で悲観的にならざるをえない。
対策への不満
グレート・バリア・リーフのサンゴ礁には、年間200万人の観光客が訪れ、それら観光客が50億ドルを落としていく。観光促進にオーストラリア政府は、サンゴ礁保存のために水をきれいにすることを決め、2025年をめどに20億ドルを費やすことを決めたが、解決策には程遠い。サンゴ礁の最大の敵は水温の上昇であり、地球温暖化である。「化石燃料の利用を早く止めさせること」と声を上げるのは、グリンピース。というのもオーストラリアは、世界第2位の石炭輸出国だからだ。グレート・バリア・リーフは2015年、ユネスコの「消滅危機の遺産」に名を連ねそうになったが、今年は本当にリストに入れられてしまうかもしれない。
- Caroline Taïx (Sydney, correspondance)
Journaliste au Mond