世界のトップクラスから遠いフランスの大学
大学の世界順位が発表され、フランスの大学の順位が浮き彫りにされた。エコール・ノルマルは66位、ポリテクニックは116位、医学部で有名なマリー・キュリー大学は121位と振るわない。
今年は例年トップの上海の大学やアメリカの有数の大学をしのいで、ロンドンのオックスフォード大学が世界一の栄誉に浴した。その理由はいったい何なのだろう。
世界の大学ランクを発表したタイムズ・ハイヤー・エデュケーションの編集長は、「アメリカの大学ではなくてヨーロッパの大学が世界一になるのは、このオックスフォードが初めてです」という。インペリアル・カレッジやケンブリッジも含め、イギリスの3大学が上位健闘している。
ヘミングウェイ、エリザベス・テーラー、マーガレット・サッチャー、オスカー・ワイルド、ホーキンスなどなど、オックスフォード出身の有名人は過去大勢いる。オックスフォードに受け入れられるには、大学の試験を通らなければならないことは言うまでもないが、個人個人の調査を重要視していて、同時に、「学生の家」と呼ばれるカレッジの人格審査を受けなければならない。あるカレッジの人格審査に落ちた人の中には、ビル・クリントンやドニー・ブレアがいるという。(結局は二人ともほかのカレッジが受け入れたのではあるが。)
教授陣は秀逸で、55人ものノーベル賞受賞者を抱える。ほかの私立大学より給料は安い(月給8000ユーロ)が、「研究環境が非常に良く、また集まる学生も程度が非常に高いので、気概も高い」と副学長。
研究室には最高の施設が揃う。「私の研究室には、20人ほどの学生がいますが、国籍の違いも同じくらいの数です。ですから単純計算でも、20倍の異なったアイデアが出てくるので、研究も勢い大変リッチになり、良い結果がでます」と担当教諭が言う。
大学とカレッジのダブル・スタンスで、学生たちは学部や専門を超えて学生としての日常生活の中で、常時交流を育むことができる。
オックスフォードで歴史を勉強するフランス人の学生は、「先日、イギリスの銀行からの就職勧誘の手紙がきました」という。「銀行ですか⁈ でも歴史専攻なのに?」、「はい、びっくりしますよね」。
このプレスティージュな大学の資金源にも影が。Brexitで、今までEUから来ていた援助が12%もカットされる予定だ。
(フランス2TVのルポルタージュから)
フランス2TVは、「イギリスの大学制度は、元々はフランスの大学に学んで作られたもの。12世紀にイギリス国王がフランスのソルボンヌに子供達を送り込み勉強をさせたという歴史的逸話もある」と、少々負け惜しみ的なコメントを挿入していた。(S.H.)