南極のロス海を生物のサンクチュアリに指定、各種の狩猟禁止へ
2016年10月28日、南極海洋生物資源擁護委員会(CCAMLR Commission for the Conservation of Antarctic Marine Living Resources)は委員国25カ国の全会一致で、南極のロス海を生物のサンクチュアリに指定することで合意した。
太平洋に面したロス海は、「最後の大洋」とも呼ばれ、人間活動の影響を受けておらず汚染もなく、漁業もされず、これまで絶滅危惧に至る種が無いため、地球上で海洋のエコシステムがほぼ完全な姿で残る唯一の海とみなされている(上図、濃い青の部分)。
CCAMLRの委員会25カ国は金曜、オーストラリアでこのロス海を世界次第の海洋サンクチュアリにすることで合意した。南極の東に位置するこの海は、250万平方キロメートルの巨大な海で、南極大陸周辺の海を保護する目的で環境団体が長年要求を続けていたもの。
国連自然保護(UICN)によれば、ロス海は、世界のアデリーペンギンの 40% 、3分の1の皇帝ペンギン、3分の1の南極ウミツバメ、数千頭のミンククジラやオルカ、数種のアザラシ、中でもヒョウアザラシの生息地となっている。
海洋保護海域 aire marine protégée (AMP)はCCAMLRによれば、自然資源を完全にあるいは部分的に保護する海域のことを指して言う。したがって、海洋生物種、生物多様性、棲息地、生物の食料供給や繁殖、時によっては自然史博物誌的な対象も含めて保護することを目的としている。
そのためには、漁船の侵入禁止のみならず、サンクチュアリ区域のボーダーを明確化するなどの処置も取られる。今回、ロス海の一部での漁業を二件禁止したことが、今回のサンクチュアリ化の合意へ進むきっかけとなった。
1841年に、イギリスの探検家 James Clark Ross (1800-1862)に発見され、以来、南極探検の出発点として利用されてきたこの海は、今後もエコシステムや地球温暖化などの影響を観測するエコロジストの研究の場となる。
・関連記事「脊椎動物がこの40年で、58%減、地球の危機的状況」http://shigeko-hirakawa.org/blog/?p=11110
リンク:
https://www.ccamlr.org/fr/news/2016/la-ccamlr-crée-la-plus-vaste-aire-marine-protégée-du-monde
(フランス2TV、Le Figaro)