2010年4月23日現在、話題の社会問題:

ブルカ - サルコジ大統領の懸案で、イスラム教の女性が身にまとうブルカやニカブをフランス国内の公共の場での着用を禁止する法案を立てることを内閣が決定した。
ブルカとは、頭からすっぽりかぶる黒や青い幅広の布のことで、体のみならずまったく顔が隠れてしまう。イスラム教のいわば宗教的お仕着せの女性の着衣のことである。顔が隠れて本人かどうかの確認や表情の確認ができないため、いままで学校や職場では着用を禁止されていたが、これを道路やスーパーなどいたるところで禁止しようという法案である。
サルコジ大統領およびフィヨン首相は、「ブルカは宗教的に女性差別を強要するもので、フランス国内で男女の平等を確立するために女性の顔を隠さない法律を建てる」と主張している。しかし、無理やり宗教の伝統を剥ぎ取ることは、即座に宗教や表現の自由を認める人権擁護に反することになるもので、立法をつかさどる最高機関コンセイユ・デタ(国務院)とサルコジ大統領の衝突が予想されている。
与野党を問わず、また国民からもこの懸案への非難は多く、ほかにもっと大きな問題(年金、税制、医療、農業援助、経済恐慌に伴う失業増加など)がいくらもあるのに、どうして今ブルカの全面禁止を法案化しなくてはならないのかと納得がいかない。このまま懸案が国会で議論されると、秋一番の問題となるはずの年金制度の見直しが後回しになる見込みだ。ちなみにブルカを着用している女性は、フランス全土で2000人程度しかいない。
My opinion:フランスにはイスラム教徒が多く、ブルカやニカブのほかに髪の毛が見えないように頭を隠すスカーフだけをかぶる女性が多数を占める。すでに1988年、パリの中学校で教師がスカーフをかぶった女子生徒三人を教室から締め出し、スカーフを取らなければ授業を受けさせないと強要する事件が起きた。この事件はほかの生徒へも悪影響を及ぼし、イスラム教の女子学生のいじめが頻出した。この国では、イスラム教徒の衣装はそれほど「問題」にみえるらしい。
男女平等かはたまた宗教の自由か、というが、お仕着せの衣装を脱いだだけで男女平等が成立してしまうのならそんなに楽なことはない。ブルカやニカブ(目の部分だけがみえる)を着用している女性たちは、かえってこの懸案に大迷惑をしているのだから、イスラム教徒の女性への思いやりなどでもさらさらありえない。フランス国内で明らかに異教とわかるブルカ着用を廃止することは、今までのサルコジ政治の大勢から見れば宗教弾圧にみえて仕方がないが、国務院との衝突が予想されているというからには、すでにサルコジの「男女平等」が理屈として通らないことを物語っているだろう。
男女平等を引き合いに出すのなら、最近、働く女性が妊娠したときに職場でハラスメントを受けたり、無謀に解雇されて退職金すらもらえなかったという事例が2000件ちかくあったとTV報道があった。(最近のテレビ局の傾向であるが、社会の底辺で頻繁に起こる問題でありながら、なかなか解決されない重要な問題をルポルタージュしたり統計をとり発表をしたりして世論に問う番組が増えた。)サルコジ政府はもっと足元の現実を見てものをいわない限り、人気は下降の一途を辿るばかりだろう。