フランスから―環境とアートのブログ

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環境

アクチュアリティ

雪、雪、雪、雪また雪 - 11月下旬から断続的に降り続いている雪はいつ止むのかわからない。メテオフランスの情報どおり週末からまた全国的に雪が降りはじめた。空の足は先週末から大混乱を極め、予想以上の積雪があった日曜から月曜にかけてすでに飛行機の発着が混乱し、パリ近郊のロワシー空港までたどり着いた人たち約3000人がそのまま動くこともできず、いつ発つかわからない飛行機を待って空港の床で寝るなどして一夜を明かすという事態に陥った。「近辺のホテルは満員だし、もう少し遠くまで行こうと思っても雪でバスも出ないというから仕方ないです」、「一番ひどいのは、誰も何の情報もくれないことで、自分の飛行機が出るのか出ないのかもさっぱりわからない」とロワシー空港の旅客たち。 故郷や自宅で聖夜を過ごそうとする人たちでごったがえす12月23日からきょう24日にかけて、列車はかなりな遅れがあるものの何とか運行しているが、 空港の混乱は続いており、15分毎に流れる「空港においでのお客様は、このままお家にお帰りください」という構内アナウンスに、「冗談じゃない、うちに帰るためにここにいるんだ」と旅客の怒りも爆発。「こうやって待っているのに、まったく何の案内も情報も無いのが一番つらいですね」。空港の電光掲示板は電気を切られて役に立たず、あいかわらずの情報欠如でカウンターで待つ人たちの行列が続いている。24日は、オルリー空港、ロワシー空港で35%から50%の飛行機が運航中止。 不凍液不足 - いったん飛行機に搭乗したが何時間たっても離陸せず、5時間閉じ込められたあと飛行機から下ろされた、という旅客がいっぱい。不凍液が無くなり、飛行機の翼が凍結しないように不凍液をふりかける作業ができなくなったためで、新しい不凍液を運んでくるアメリカやイタリアなどのカーゴ到着を待つことになった。この事態で離陸不可能になった飛行機が続出し、23日夜も空港側から配布された簡易ベッドと毛布に包まって、約2000人がロワシー空港で夜を明かした。 12月24日の今日は東フランスを中心に、アルザス・ロレーヌ、ローヌ・アルプ、サントル、ロード、タルヌなどの地方、約20県で積雪注意報。アルデンヌでは昨夜から40cmの積雪があり、地域の道路は通行不能となっている。ナルボンヌは強風注意報。 メテオフランスは過去20年間で今年の冬が一番寒いと発表。「すでに数年前、ロシアやアメリカの科学者が地球温暖化説のなかで、温暖化が進むと北半球に寒波が訪れるという説を発表しているが、その通りの現象が起きている。これは、大雑把に言うと暖かい空気と冷たい空気が入れ替わるためで、北極を暖めている大きな停滞高気圧を旋回して北極の湿気を含んだ寒気がヨーロッパや北アメリカへ下りてくることが原因となっている」(フランスTV)。 寒波のあとはいったい何が起きるのだろうか。

サステイナブル・ディブロプメント、理想の一つとの出会い

サステイナブル・ディブロプメントの理想型: 突如として地面にたたきつけるような雨が降る。フランスにもモンスーンがあるのかといって最初は笑ったが、野外の仕事が多くなってからは真剣な問題のひとつとなった。傘をさしてはいられないから合羽を着て作業をする。雨が上がるのを待っているほどいつも時間の余裕はない。 ボルドーから120キロほど南に下ったところにあるモン・ド・マルサンという町との出会いは、1997年に遡る。モン・ド・マルサンはランド県の県庁所在地で人口3万人ほどの小都市である。松ノ木がテーマになるという展覧会のため現地の下見に招聘されたとき、ボルドーから車で走ったモン・ド・マルサンまでのアスファルトの長い道はびっしりと生えた人工植林の松林を掻き分けてまっすぐ敷かれていた。延々と切れ目もなく続く松林はもともと、森林産業のために植えられたものではなかった。中世は、膝まで埋まる泥の湿地帯で時折巡礼者が通るだけの無人の土地であったらしい。この荒れた自然を人間の知恵(後にそれがナポレオンであったことを知ることになるのだが)が大きく変えた。海岸松を植えることで松ノ木が地中のおびただしい水をポンプのように吸い上げ、結果この広大な地面を乾かすことに成功したのである。…

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  強迫観念、「雪」 - 先週の大雪で数万人が雪の道路で立ち往生して車の中で夜を明かすなどして大混乱がおき、適切な処置をとらず市民に迷惑をかけたとして政府の責任が問われて以来、メテオフランスの積雪注意報は強迫観念のように当局や国民に取り付いてしまった。各地域の責任者は雪が降る前から準備万端。先週の混乱を二度と繰り返さないように、軍隊や機動隊のトラックまで各地で巡回して警備に当たった。昨日はアルザス、ローヌ・アルプ地方など内陸部で大雪。陸送トラックは一番に犠牲者となり、あちこちで数百台が足止め。アルプスのスキー場では積雪30cm、ブルターニュのフジェールでは20cm以上の積雪で雪かき。「年々、積雪がひどくなって、雪かきにも慣れてきましたね」とフジェール市民。イル・ド・フランスではようやく昨日の夜から雪がちらついているが、積雪は3cm程度となっている。月曜まで、全国35県に積雪注意報。 年末年始のバカンス、きょうから - 今週末は年末年始のバカンスに入る。大雪で旅行に出る人たちの足が混乱。(フランスTV)

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引き続き今週末も大雪 - 先週大きな交通マヒを引き起こした雪であるが、また木曜あたりから今週末まで降りだすもよう。メテオフランスは要警戒を呼びかけている。すでにオーベルニュなどの地方で積雪。あちこちで零下7度から8度を記録している。

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大雪 - 先週から全国各地で断続的に降り続いていた雪であるが、12月8日午後13時あたりから本格的にフランスの北、国土の4分の一にあたる地域に降りだし、あっという間に15cmほど積雪して大交通マヒを引き起こした。この日、メテオフランス(フランス気象庁)は積雪3cmという発表をしており、オルトフー内務大臣がTVで「雪による混乱はありえないから心配は要らない」と公言したばかりで、まったく当局の準備がなされていなかった。雪が降り出して3時間後の午後4時には市街地ばかりではなく高速や自動車道が混乱し、特にパリ西部のポン・ド・セーブルからベルサイユ方向に出ている国道118が動けなくなった車でいっぱいになった。国道118はパリの出口から大きな坂道を上らなければならず、あちこち高低が大きい。ポン・ド・セーブルから7km先のショッピングセンター、ヴェリズィ・ドゥー、またベルサイユの先数kmは動けなくなった数千台の車で埋まって交通止め。運転者たちは車の中で一夜を明かすはめになった。国道沿いにあるショッピング・センター、ヴェリズィ・ドゥーは車を乗り捨てて非難した人々が7000人にもなり、緊急避難所に変貌。パリ近郊で最悪の「遭難者」をだした。遭難者たちは「自動車道なのに、道路管理者による塩撒きもなければ、誰も助けに来ない」と憤慨。「オルトフー大臣の、混乱は無い、ってのは何なんだったんですかね」と政府を皮肉る人も。 ちなみに積雪による大量の遭難者を出したのは、2003年1月4、5日以来のことという。地上の交通のみならず、ロワシーやオルリーの飛行機発着も滞り、航空便は大半が運休して、旅客者は航空周辺のホテルに宿泊するか、ホテルが取れなかった人たちは空港の床に寝るなどの事態となった。国道や空港以外の郊外地の通行の難儀は言うに及ばない。 翌9日、フィヨン首相はフランス気象庁にたいし予報が間違っていたことを指摘して気象庁に矛先を向けたが、気象庁はこれを突き放し、市民や組合は、積雪に対して行われなけばならなかった当局の対応がまったく欠如していたことが市民に大きな迷惑をかけたとして、政府に引責を促す態度をとっている。 いまだに雪は解凍せず、道路が凍って各所で危険地帯が発生している。(フランスTV)

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寒波 - フランス全土に寒波来襲。先週のローヌ・アルプ県の積雪に引き続き、一昨日からコート・ダルモール(英仏海峡近県〕で大雪。積雪が70cmを超えた。雪は全国的に降っており、北フランスは零下2度から3度を記録。今週末は若干温度が緩むものの、来週もまた寒くなるという。高速や地域では陸送トラックがあちこちで足止め。現在28県に積雪注意報が発令されている。(フランスTV) この寒波はフランスだけではなくヨーロッパ大陸全体を覆っており、中央ヨーロッパ、特にポーランドなどを中心に死者60人を出した。バルカン半島で洪水、また、イタリア、ベニスでは海水が異常に上昇して通常の水位を140cm越し、市内に浸水している。 My opinion: 以前、「地球温暖化が進むとヨーロッパは寒くなる」、という学者の報告書が出て笑ったことがあった。この積雪と寒波。温暖化による空気中の水分の量の変化と気流の変化による異常な寒波の発生によってこの学説がうらづけられたということか。おかしなことが現実になるにつけ、あたふたとそれに対応しなければならない。パリはきょうも厚い雪雲に覆われ雪が降り続いている。 12月5日夜、異常な積雪があったコート・ダルモールの中でもシェルブールが、気温が緩んで雪が融け、1949年以来の大洪水に見舞われた。

走るチェルノブイリィ

フランスのバース・ノルマンディー地域に位置するラ・アーグ(La Hague)市の放射性物質再処理場で処理不可能の放射性廃棄物154トンが、11月5日、特別編成の貨物車でドイツのゴルレーベン(Gorleben)にある放射性物質貯蔵庫に向けて出発した。特別編成の貨物車のうち3台のワゴンは軍隊が占め、路程はフランスおよびドイツ側で約3万人の警察や軍隊に厳重に見守られている。出発直後にカンで抗議団体に阻まれ、貨物車は一時ストップ。ドイツに向けて再出発した貨物車で運ばれている廃棄物は、チェルノブリィの原子炉事故でばら撒かれた放射性物質の2倍に近い量といわれており、「貨物車で運ぶ史上最大の放射性物質」とみなされ*、2万人近いドイツのエコロジストやグリン・ピースが8日まで抗議運動を展開する予定だ。フランスでは、バローニュ、カン、ルーアン、アミアン、ナンシー、ストラスブールで抗議集会。グリン・ピースは、危険なため列車の運行を妨げないよう呼びかけている。 フランスTF1 TV ウエブページ *2008年にも同じようにラ・アーグからドイツまで放射性廃棄物を積載した貨物列車が走ったが、このときの廃棄物のほうが放射性は高かったという。 貨物列車が積んでいるのはドイツの原子力発電所が出した廃棄物をフランスの再処理工場が再利用できるプルトニウムとウラニウムを抽出し、最終的にのこった残留物を厳重にコンテナに包んだもので、ドイツの廃棄物はドイツへ戻るという契約の一環となっている。この最終残留物は放射性が高く、貨物車をサーモ・スキャナーでスキャンしたグリン・ピースの一員はPCをみながら、「ワゴンの外側がすでに32度という温度を指していることから、コンテナ内部の温度は相当に高いことが推測されます」。 ノルマンディーのラ・アーグの再処理工場は、主にドイツ、オランダ、イタリア の廃棄物を処理している。最終残留物は数万年放射能を出し続けるというが、ちなみに、ヨーロッパにある148基の原子炉が出す最終残留物の量は、年間約7000立方メートルといわれている。(フランスTV)

ハンガリー、緊急事態

大量の廃棄水による汚染 - ブタペストの西150kmのアルミニウム工場の廃棄水プールが決壊し、百万立方メーター以上の赤い汚染水が三県にまたがる地域に洪水のように流れ出した。汚染水はアルミニウムや鉛を含む毒性の強い赤い泥水で、火傷や呼吸困難を引き起こす。住宅地に流れ出した赤泥汚染水で4人が死亡123人が怪我、多くの住宅が被害を受けている。すでに汚染水は地面に浸透して広範囲の地域の動植物が殲滅、4、5日でドナウ川に流れ込む見込み。ハンガリー当局は、緊急事態を発令した。(フランスTV) 人災による環境汚染は悪化する一方のように思える。(S.H.)

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フランスのきょうのニュースで取り上げられている世界のニュース: パキスタン - モンスーンによる災害で6百万人が家を失い路頭に迷うという最悪の事態になった。洪水発生以来2週間をすぎ、食糧もなく、コレラが発生し、パキスタン政府は巨大な被害に手をつかねるままで、アメリカの救援を待っている。 アメリカ - メキシコ湾に原油が見当たらず、オバマ大統領が水泳をしてみせるなどして世間を喜ばせたのもつかの間、大量の原油が混じった全長35km深さ1000mというの海水の層が発見された。バクテリアが原油を食べるのを待つという方法論が主体に協議されているようだが、どのくらいの期間かかるか見当もつかない。アメリカの海洋学者たちの意見では、流出した原油の80%は回収されていないという。BPによる壊れたパイプのボトム・キルもまだ完全に終了していないもようだ。

アクチュアリティ、環境異変と被害

フランスのニュースに、ここ数日毎日取り上げられている話題: ロシア - 130年ぶりという毎日40度を越す酷暑が一ヶ月続き、あちこちで火災発生。消し止めてはまた発火を繰り返し現在国中で300箇所が燃え続けている。今までに焼失した森林や村など、合わせて50万ヘクタール以上。国レベルの緊急事態と化した。モスクワは数日前から近隣の火災で煙が充満し、燃焼物の臭気が町中に漂っている。 パキスタン - モンスーンが原因の洪水で1500人以上が死亡、300万人が家を失う大被害が出ている。コレラなど伝染病が発生し、国家的緊急事態に外国からの援助がはじまった。アジアの洪水はそのほかインド、中国などで大きな被害を出している。 アメリカ - 原油流出事故で汚染が進んでいたメキシコ湾の海底油田の壊れた給油パイプをセメントで埋めるトップ・キル作戦が再びBPによって開始され、良好な見通しに、オバマ大統領は流出終了の演説を行った。BPがトップ・キルのためセメント流入を続け、最後の最後まで徹底的に油田を壊滅させるボトム・キルが終了するまで、10日かかるという。事故発生から今日まで流出した原油の量、80万トン。大量の原油が海中のみならず地面に吸い取られ、汚染の状況把握はこれから。また海面の原油分解薬など大量の薬品が同時に海に撒かれていることから来る今後のエコシステムへの影響なども調査が始まるもよう。 フランス - きのうから全国46県(フランスの県は96県、したがって約半分)に干ばつ警報が発せられ、あらゆる地区で使用水量制限が進められている。あちこちで川が干上がり、すでにとうもろこしや麦などにおおきな被害が出ているほか、放牧中の乳牛の食用草まで日照りで枯れて激減している。

Day 80 -原油汚染

メキシコ湾原油汚染。責任は誰に? Who’s to blame ? msnbc, us news : http://www.msnbc.msn.com/id/21134540/vp/38157093#38155995

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酷暑警報発令 - フランスはきょう、全国的に猛暑に見舞われ、アキテーヌ、ピレネ、イル・ド・フランス、ローヌ・アルプ、およびアルザス地方を中心に、合計9県で酷暑警報が発令された。パリは日陰で35度、リヨン36度、日向で40度を記録。ボルドーでは朝方すでに30度、昼間はやはり40度で最高を記録した。南仏をキャンピングカーで移動するツーリストの車の中の寒暖計が48度を指すほど、道路は異常に温度が上がっている。 アキテーヌ地方は今夜、集中豪雨に見舞われるもよう。夜も23度あり、酷暑度「2」という判断が下された。メテオ・フランスの予報では、今週日曜まで温度が上昇し続ける。熱中症や脱水症を避けるため、一日2リットルの水を飲むようにテレビで呼びかけている。 My opinion - 二ヶ月前の5月は10度以下で山地では降雪のあった寒い初夏から、6月末から好天が続いて35度以上の厳しい暑さがフランス全体を襲っている。数年前まで、夏でもその日のうちに急に温度が下がるので、用心のために暑くてもフランス人は必ず長袖のセーターや上着を抱えて外出したものだが、昨今は暑さが建物や空気に浸透して夜でも暑く、したがって上着を小脇に抱えている人などほとんど見かけることはなくなってしまった。センスをばたばたさせる人も見かけるようになり、激しい気温の上昇は、フランス人の生活様式を変化させつつあるようだ。それにしても冬向けに密封されて作られた郊外線地下鉄の電車内の蒸し暑さはかなわない。TGVは空調が完備しているが、地下鉄はまだまだ冷房車の出現まで時間がかかりそうだ。

Day 79、メキシコ湾原油汚染

広がる汚染へのりアクション、対策は?MSNBC us news playlist: http://www.msnbc.msn.com/id/21134540/vp/38137327#38115125

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サルコジ大統領、支持率21% - きのうのフランス2テレビ発表の国民アンケートによると、就任3年目で、サルコジ大統領の支持率が大幅に落ち込み、21%の最低を記録した。「信頼できない」という国民は71%にものぼる。2007年の大統領選出のとき65%だった支持率は一年後に半減。3年後の今日は、はっきりした不満の声が大勢を占めている。これにたいしEUの政治批評家たちは、大きな負債を抱えたEUのリーダーシップを執るべき主要国の大統領が国民の信頼を欠いていることに大きな不安を感じる、と口をそろえて表明した。 猛暑 - フランス全体を高気圧が覆い、気温が上昇中。きのうは全国いっせいに30度を越した。きょうは、パリで33度、ストラスブール34度、ボルドー37度。今週末はさらに上昇するもよう。フランスの2003年の酷暑で15000人が死亡(きのうのフランス2テレビが数字を引用した)していらい、フランスは酷暑レベルを設定し、危険度が上がると各病院や養老院施設などで特に暑さに弱い病人やお年寄りに特別対策をとるよう指示をくだすことにしている。早速、健康省のロズィーヌ・バシュロ大臣が酷暑対策に乗り出す姿勢をみせている。 My opinion - 2003年の夏と2010年の夏を比べると、フランスは社会のようすががすっかり変化した。かんかん照りでも石の建物の中に入れば涼しく過ごせたフランスは、2003年以前はクーラーや扇風機はおろか、扇子ですら「存在しなかった」。「存在しなかった」とここでかぎ括弧をしたのは、フランスのマーケットのことを指したいがためである。日本から来た日本人が「西日がひどいので扇風機を買いたいのですが、どこで売ってますか?」と訊きに来たことがあったが、残念ながら「どこにも売ってませんが、注意していれば見つかることがあるかも・・・」とこたえたことがあった。20世紀までのフランスでは夏に対してこれだけ鷹揚でいられたのだ。突然の猛暑が訪れた2003年は、40度を越すアパートの中で、空調をすることも知らない人たちがたくさん死んでいった。信じられないことだがこうして亡くなった人の数15000人。気温の上昇のみならず、必要の無かったものが突然必要になったときの社会と人間の習慣のずれが桁違いだったことが、この思いもよらない惨事のもうひとつの大きな要因であったと私は考えている。さすがにこの経験で、翌年からフランスのマーケットへ扇風機が導入され、現在ではクーラーもあちこちで買えるようになったから、いまや2003年のような驚くべき数字とは縁が切れたはずであるが、はたして地球の温暖化はこれからどのような災害をもたらすのやら。予測のつけようもない。(S.H.)