フランスから―環境とアートのブログ

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フランスは、福島第一原発の汚染水問題をどう報じているか

[フランスが報道する福島第一原発の汚染水 たとえば日刊ル・モンドは?] フランスが福島第一の現況をどう伝えているかを少し紹介したい。汚染水処理と漏洩の状況把握について、ル・モンド紙が分かりやすく簡略なビデオ(下に紹介)を作成し、一般人がみても理解できるようにして本日オンラインした。今や誰もが抜本的かつ核心的な対策を日本が採ることを望んでいるのだ。(この記事は9月7日23時現在、2000以上のシェア。S.H.) ・ル・モンド 2013年9月7日、Le Monde オフィシャル・サイト掲載 「2分で分かる福島の状況」 Comprendre la situation à Fukushima en deux minutes Le Monde.fr | 07.09.2013 à 13h48 • Mis à jour le 07.09.2013 à 17h16 | Par Donald Walther et Audrey Garric (ビデオの最初にコマーシャルが入ります。コマーシャルを消したい場合は右上に出る×印をクリックしてください。) Comprendre la situation à Fukushima en deux… par lemondefr 要約: 2011年3月11日。地震および津波で福島第一原発は破壊された。このときメルトダウンした炉心を冷やすために放水した水はどこへ行ったのか。その水は一号機二号機三号機の地下へ9万トンたまっている。東電は、解け落ちた炉心の温度を50度以下に保つために毎日、350トンの水を使わなければならないが、この水は地下にたまっているこの汚染水を毎日750トン吸い上げ、そのうちの350トンを浄化して利用する。残りの400トンは、貯水槽を作ってストックしていく。こうして34万トンの汚染水が現在、貯水槽の中に貯められている。つまり、オリンピックプール100個分だ。汚染水をためる貯水槽は60時間で一個の割合で造らなければならない。貯水槽を作っている間に、ほかの貯水槽から汚染水が漏洩し始め、現場で仕事をする3000人の作業員を危険に晒しはじめた。海もそうだ。これから先の海への影響は計り知れない。毎日、300トンが海へ流れ出しているからだ。このまま何の手も打たず同じ方法で冷却を続けるとすると、2015年には貯水槽の量は二倍となる。このビデオの最初からこの話が終わるまでに(つまり2分間で)、約500リットルの汚染水が海へ流れ出た計算だ。(「2分で分かる福島の状況」)

2012年、大統領選挙の大きな焦点

政治の焦点、「原子力発電」- 2012年大統領選挙に向けて、社会党とヨーロップ・エコロジー・レ・ヴェール(EELV)が、野党連合が勝利したときの原子力発電の将来について、現在フランスにある58の原子炉のうち24を廃炉にすることでようやく合意に達した。EELVが原子力発電を完全に廃止する意向を示したのに対し、社会党候補のフランソワ・オーランドが原子力の抑制に明確な態度を示さなかったことで、両党のあいだに大きな溝ができていた。 ル・モンド紙の別冊特集11月号は、福島原発事故を大きな契機として、2012年大統領選挙が原発政策の行方に大きく左右されることになるだろうとして、原子力エネルギーの行方を追っている。 サルコジ大統領はこの11月25日、ドローム県のトリスカスタン原子力発電所で、エネルギー政策について長い演説をした。「蝋燭の時代に誰が戻れますか?発展することに背を向けた国になれますか?・・・われわれの次の世代により近代的な社会を残すのが私の意志です」と、サルコジ大統領は、いまだに「安い原発」、「雇用を生む原発」、「清潔なエネルギー」を盾に、原発推進政策への姿勢を変えるつもりはない。 EELVヨーロップ・エコロジーのセシル・デュフロは、「原発をやめると雇用がなくなるなんていうのは、愚論です。閉鎖される原発周辺の雇用が減るのは当たり前ですが、新しい自然エネルギー開発のために雇用が格段に増加することが予想されており、その数は現在の原発雇用を上回る計算です」、と雇用減少に大反論。「安い原発」については、「核廃棄物処理代、原発管理代、そして何十年も掛かる原発解体作業などの、膨大な費用はまったく計算に入れておられず、原発が安いというのは大嘘です」と理路整然だ。 福島原発事故で原子力発電の世界的な見直しがなされる中、フランスの2012年の大統領選挙は、サルコジ大統領を代表とするUMP与党の親原発派と、原発全面廃止へむけて国政の流れを変えたい野党連合との対決となることは明らかだ。 ドイツ最後の核廃棄物を運ぶ貨物車に押し寄せる核反対派 - ドイツが出した核廃棄物がフランスのラ・アーグ核廃棄物処理場で処理され、そのうち処理できない究極の廃棄物がドイツに返される。ドイツは2022年までに、全ドイツの原子力発電所を廃炉にする。ドイツ「最後」の廃棄物運送列車と名づけられたこの列車は2011年11月18日、ラ・アーグからドイツの核廃棄物貯蔵所のあるゴルレーベンへ向けて出発したが、現在もグリンピースや核反対派のデモに阻まれ、ゴルレーベンにはまだ程遠いドイツ国境あたりの線路で滞留している。 今回列車運送される核廃棄物は、ドイツが1年半の核処理で出したもので、アレバの工場で301本のガラスの円柱筒に詰め込まれ、その量総計14トン。高濃度のきわめて危険な放射物質といわれる。長さ7m直径3mのワゴン数両にふり分けて収納され、核廃棄物を積んだ列車は通常の電車が走るレールを利用してドイツまで行く。現在ドイツ国内をゆっくりゴルレーベンに向かっているが、ゴルレーベンまで一万人以上の核反対派が線路脇で待ち受けているもよう。 My opinion: 廃棄物や危険物は、それを出した国が責任を持たなければならないことになっている。だからドイツが出した核廃棄物は、処理できなければドイツへ戻ることになっている。ドイツの原子力発電の炉数は19基といわれている。19基の原子炉が1年半に出す処理できない核廃棄物が14トンとすれば、単純計算でフランスの58基は43トン、日本の53基は39トンという処理不可能な高レベルの放射性廃棄物を出す計算である。フランスの1年半分の43トン、日本の39トンは、いったいどこへ格納されているのだろうか。ドイツとフランスの共同TVチャンネルであるアルテが、こうした核廃棄物の貯蔵について大きなルポルタージュをしたが、フランスは、広大なシベリアの土地まで持って行き野外に廃棄物のコンテナをむき出しで並べて放置して知らん顔をしているらしい。それでは日本はいったいどこへ貯蔵をしているのだろうか。誰も不思議に思わないとすれば、それこそ、これほど不思議なことはない。福島原発は1968年に基礎を置いた。日本の原発の歴史は長い。廃棄物の量は原発の歴史とその量に比例して多いはずなのだ。(S.H.)
ベルサイユに専制君主、文化の冒涜

ベルサイユに専制君主、文化の冒涜

文化の冒涜 - 「Outrage at Sarkozy’s Versailles Choice、サルコジのベルサイユ選択の理不尽」とはイギリス、ロンドン発行のThe Art News Papaer (フランスの芸術専門新聞Le Journal des Arts系統)の記事の表現。ベルサイユ宮殿および博物館国立管理局(日本語訳仮称: L’Établissement public du château, du musée et du domaine national de Versailles (EPV))のディレクター職を2007年から勤めてきたジャン=ジャック・アヤゴンのあとを、ジャーナリスト出身のカトリーヌ・ぺガールが引き継ぐことになった。…

アクチュアリティ、放火

車の放火 - 三が日が終わっても車の放火件数が発表されないという異例の事態に、メディアが積極的に反応。今日はラジオ情報チャンネルのフランス・アンフォが明日発刊される日刊紙ル・モンドの内容を先取りして、車の放火に関する数字を発表した。1990年代からストラスブール郊外で始まった車の放火は次第に全国に伝染し、フランスの都市周辺の危険性を示すシンボルのようになっている。以来毎年、大晦日やキャトルズジュイエに大方の放火が集中しているが、実際の数字を県ごとに集計していった結果、2010年一年間で、全国で総計4万2千台の車が放火されているという結果が出た。フランスでは放火による犯罪で、一日平均115台の車が破壊されている計算だ。国立犯罪調査局によると、警察に届けだされる放火件数は実際の事件件数の5分の一という推測も出ている。(フランス・アンフォ・ラジオ)