4月26日夜フランス2TVで、大統領候補2人が時間をずらして選挙公約およびその内容についてジャーナリストと討論した。

[両候補の選挙公約]

移民の受け入れ方:

UMPのサルコジ現職候補の運命は、極右フロンナショナルの票獲得の如何が決定する方向にあるといっても過言ではない。すでに他のメディアで、「フロンナショナルは共和国政治と適合しうる」などといった票獲得を目的に極右と足並みをそろえるような発言をしており、TV討論でのサルコジ候補の話題は、フロンナショナルの主眼でもある移民の削減対策からはじまった。すでに公約の中で発表されているとおり、サルコジ候補はこれまでの外国人の正規受け入れ人数を半分に減らすこと、またEUのシェンゲン条約の見直しと、ヨーロッパ周辺からの移民の流入にかんしてEUがもっと厳しくすべきことなどを提案し、この提案にEUが快い回答をしない場合は、シェンゲン条約から脱退することも辞さないと明言した。…

一方オーランド候補は、外国人移民の受け入れにかんし、フランス入国の義務には全国同じ基準を設けて(地方によって受け入れ方法や必要条項に落差がある現状を是正するという意味)受け入れていく、とした。「(右派は)フランスには移民が多すぎるといいますが、オーランド候補は移民が多いと思いますか」というジャーナリストの質問に、オーランド候補は「移民が多すぎるとはどういう意味ですか? 言外にどういう意味を含んでいっているのか、そこが問題です」と答え、違法滞在者の大量受け入れはしないが、ケースバイケースで処理し、義務的書類を充足しているものには滞在を許可していくことを明らかにした。また季節労働者や経済移民としてフランスに入る外国人には人数の規制を設けざるを得ないと付け加えた。

中核に置かれる政策:

オーランド候補が公約の中心におくのは国の教育で、初等中等教育に60000人の教員ポストを増やす。またフランス文化の特殊性を強調し、フランス共和国のイメージを回復する、と公言した。また、日に日にひどくなるフランスの失業対策については、企業が若者を一人雇用した段階で、退職間近の雇用人の社会保障費を棒引きにするなどして解雇を防ぐなどの策を提案。

一方、サルコジ候補は現在の経済恐慌から抜け出し、2016年までに国の負債を「0」にすると公言。国内の失業者には「本物の職業」を提言して、新しい技術を身につける職業講座を設けるなどを提案。「本物の職業の本物とはどういう意味ですか」というジャーナリストの質問に、「本物といったのはまずかった」と反省。現況のシステムを批判して新しいシステム導入を追及するという。

[決選投票予想]

世論調査大手3社の総合結果では、オーランド候補 55%、サルコジ候補 45%。

My opinion: サルコジ候補がいう「現況のシステムを批判して新しいシステム導入を追及」は、サルコジ候補は自分の政権が過去5年にわたって作り上げたシステムを批判し、新しいシステムを作りたいということらしいが、毎回こうした矛盾をサルコジ候補が発言するにつけ、反対派は「なぜ、今までやらなかったか」と反論している。高額所得者たちを擁護してきた政権だから、特定の支持層があることは予想がつくが、矛盾だらけのサルコジ公約を45%ほどの有権者が支持するなどということは、どうも不思議な現象である。(S.H.)