市場法則から脱落する原子エネルギーと核にすがるフランス

11 septembre 2018 à 17:12(ラ・リベラシオン電子版から)

 

 

 

 

2018年原子力産業の状況報告書によると、核は推進力を失ったという。大半の国が再生可能エネルギーへの投資を好んでいるが、フランスは例外だ。 

 

 

下落する一方の「核」

ビュジェ原子力発電所(Bugey, Ain, フランス、アン、2013年撮影 Photo Jeff Pachoud. AFP)

 

核は世界各地で後退の一途であるとした原子力の国際的エキスパート9人がまとめた285ページの«World Nuclear Industry Report Status 2018»報告書が提出された。ところが未だ、電気の71,6%を原子力に頼るフランスはその例外だという。

2017年は、世界の原子力発電量はわずか1%増加したにとどまり、しかもそれは国別に言うと中国のただ一国にとどまった。一方、風力発電は同年、 17%増加。太陽光発電は 35%増加した。中国3基、ロシア2基、パキスタン1基の新しい原子炉が 7GWしか供給を増やさなかったのに対し、再生エネルギーは 157 GW増加させるに至った。

報告書は、「1996年の17.5%に対して、昨年世界で生産された電力のわずか10.3%にしかならない原子力は、再生可能エネルギーに劣る傾向にある。原子力はもはや再生可能エネルギーとの競争力がなく、生産能力は大幅に低下するだろう」 とする。

「国際原子力機関(IAEA)の見通しも同じだ。 IAEAは月曜日に発表した年次調査で、2030年までに世界の原子炉の10%以上が減少すると予測している。また、世界のエネルギーおける原子力の割合は、 2050年には今日の5.7%から2,8 % に落ちるとしている。

70年代後半には234基の原発を建設していたが、今日は世界で50基を建設しているのみだ。2018年初頭において、世界中で稼動中の原子炉が413基あり、363GWを発電している。しかし現在、再生可能エネルギーの発電量は、原子力のそれをはるかに超えた。風力発電は500GW超、太陽光発電は400GWである。資金的には2017年の段階で、世界総計で、新エネルギーに3,000億ドル(2兆590億ユーロ)が投資された。新しい原子炉の開発には100億ドルの投資があったのみだ。ただ、現時点で16基の新原子炉を建設している中国ですら昨年は12億6000万ドルを再生可能エネルギーに投資したようだ。」

過去のエネルギーになる「核」

「再生可能エネルギーは未来のエネルギーであり、原子力は過去のエネルギーとなることは明らかだ。この報告書が『核からの脱出』を掲げフランスのエネルギー政策 PPE に貢献するよう願っている」と、世界原子力産業状況報告書のスポンサーのひとつでドイツのエコロジストの組織であるパリのハインリッヒ・ベール財団のディレクター、ジェンス・アトホフ氏はいう。「今日、誰も原子力に投資しようとする者はいなくなった。市場の法則が、原子力は死んだと言っているんです。フランスはその例外になろうとしつつある」。

果たして二週間前に辞任したニコラ・ユロ環境大臣の後任であるフランソワ・ド・リュジ大臣はどう反応するだろうか。10月下旬に新しいエネルギー政策を提示する大臣は、「宗教戦争」と称して、2035年をめどに原発と再生エネルギーを50%50%にするとした案を推敲しているらしい。反原発と原発推進派のバランスをとりつつ、また強力な原発ロビーと直面しながらの策だ。

こうした政府に苦い顔をするのは ジェラール・マニャンだ。EDFの元幹部で、ヒンクリー・ポイントにおける原子炉の第三世代EPR2基の建設に反対して2016年に辞職したジェラール・マニャンは、「とんでもない、宗教戦争などでは全くない」とし、新エネルギーへ大転換をする時期が到来しているのに、またしてもフランス政府は原子力をかばうのに業を煮やす。2030年に向けた原発50%の目標を達するには、原子炉20基を廃炉にしなければならず、EDFはこれに抵抗するだろうことは明らかで、廃炉をすれば新世代原子炉の建設と引き換えにするに違いないと苦言する。

政府が原子力エネルギー委員会(CEA)の元パトロンであるヤニック・デスカタとローラン・コレット=ビヨンに依頼した最新の報告書によれば、EPR原子炉6基の建設が推進されている。経財相のブリューノ・ルメールと環境省のフランソワ・ド・リュジは、「まずはまだ動かないEPRがちゃんと稼動するところを見せるのが先決だ」と原発ロビーの勢いを先制した。フラマンヴィルで建設中のEPRは当初、2012年に稼動させる予定だったが、その建設工事が延期に延期を重ね、2020年へ持ち越されているのだ。

世界原発産業報告書2018の責任者マイクル・シュナイダーは、「原子力による発電は、1MWhあたり70ユーロを出てしまうが、ソーラーエネルギーは1MWhあたり50ユーロだ。こんなに高い電気は欧州では誰も買わないのは明らかで、フランス電気EDFは、原子力はもう市場の競争に勝てないところまで来ていると、はっきり表明すべきだ」とする。

我々はドイツの例から学ぶ必要があるだろう。ドイツは、「2000年に3%でしかなかった再生可能なエネルギーは、2018年には40%に達した」。フランスが70年代80年代に原発を推進した努力を、今は再生可能なエネルギー開発に向かってやればいいだけのことだ。ドイツはまた石炭の使用も減らすことができた(2010年から2017年の間に原子力発電量は64TWh減り、再生可能エネルギーは113TWh増加し、化石量は28TWh減少した)。

「ドイツ人はロマンチックなのではなく、非常に実利的な政治判断を下したんですよ」。

6700万人の住民のために稼働する57基の原子炉を持つ我が国の将来のエネルギー政策に向け、新内閣のエネルギー移行大臣は報告書が示す世界の傾向を反映させるべき時期にある。

http://www.liberation.fr/france/2018/09/11/la-loi-du-marche-dit-que-le-nucleaire-est-mort-et-la-france-est-en-train-de-devenir-une-exception_1677946?utm_campaign=Echobox&utm_medium=Social&utm_source=Facebook#Echobox=1536680737

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原発、世界で役割縮小の見通し IAEA「30年に容量10%超減少も」

2018年9月11日 12:42 発信地:ウィーン/オーストリア [ オーストリア ヨーロッパ アジア・オセアニア 北米 ]
AFP日本語電子版

引用:「【9月11日 AFP】国際原子力機関(IAEA)は10日、世界全体の原子力発電設備容量は向こう十数年で縮小するとの見通しを示した。原子力産業は老朽化した原子炉の廃炉や競争力の低下に直面する中で難しい状況に陥ると予想している。
IAEAは最新の報告書の中で、最悪のシナリオとして原発設備容量は2030年までに10%超減少する可能性があると指摘。「全体的に見て、原子力発電は世界のエネルギーミックスにおいて現在の位置を維持するのは難しいかもしれない」とみている。
原発設備容量の縮小の要因としては▽天然ガス安▽再生利用可能エネルギーによる電気代への影響▽2011年に発生した東京電力福島第1原発事故──なども挙げている。
ドイツやスイスなどはこれまでに、原発を段階的に廃止する計画を発表。IAEAは、原子力産業は「安全規制の強化による工期の長期化やコストの増大」にも直面していると指摘した。
こうした状況がある上、相当な数の原子炉が2030年ごろ以降、順次廃炉になる予定であることから、IAEAは最も低い見積もりとして、2017年に392ギガワットだった原発発電容量が2030年までに10%余り減ると予想。その場合、欧州と北米では3分の1落ち込むとみている。」
http://www.afpbb.com/articles/-/3189167?pid=20470684