2017年、年始の数字
執行猶予付き8か月禁固刑 違法にフランスに入った移民50人に食事を与えたり助けたりしたという「罪」で、農業経営者セドリック・エルー(37歳)がリヨンで裁判を受け、執行猶予付き8か月の禁固刑を言い渡された。セドリック・エルーは、「見るに見かねて自分の土地を通った人たちを助けた。悪いのは困っている移民に対して何の対策もとらない行政の方だ」と胸を張って裁判に出頭。セドリック・エルーを支援する人たちが300人も裁判所前に集まった。「人を助けて犯罪者扱いされるのはおかしい」。一方訴えた州知事は、「違法滞在者に関わるなどもってのほか」と怒りをあらわにしているという。
アクチュアリティ
世界の政治経済を震撼、国際通貨基金の代表ドミニク・ストロス=カン、婦女暴行容疑で逮捕 - 世界の重要人物から奈落へ転落。ドミニク・ストロス=カン逮捕は、政治経済への大津波を引き起こしている。フランス社会党員として重要な位置を占め、現在国際通貨基金のトップとして世界経済に深くかかわっているドミニク・ストロス=カンが15日、ニューヨーク空港からパリに向けて出発しようとしていたエール・フランス機のなかでニューヨーク警察に逮捕された。容疑は婦女暴行と強姦未遂。タイムズスクエアーのホテル、ソフィテルに宿泊していたドミニク・ストロス=カンが、ホテルの従業員女性32歳に暴力をふるい強姦をしようとしたが、女性が抵抗したためホテルの部屋に監禁したというもの。逃げ出した従業員の女性が警察に届け、出発直前のエール・フランス機内のファーストクラスにいたドミニク・ストロス=カンが逮捕された。 ドミニク・ストロス=カンはアメリカの敏腕弁護士を2人つけて昨日裁判所に出頭したものの、ジャクソン裁判官は弁護士が提案した保釈金百万ドルを却下。「飛行機に乗ってフランスに逃げようとしていた」ことや、「もう一件似たような事件を過去に起こしている(前歴がある)」などを理由に5日間は監獄にとどめおくことを決め、ドミニク・ストロス=カンは留置所へ護送された。 事件の真相はどこに? 暴行された女性は3年前からホテルで働いているプエルトリコ人ともアフリカ系とも言われ、ブロンクスで娘と二人暮らし。まだ報道へ姿を現しておらず、この女性の陳述だけが逮捕の理由となっている。内容は、正午ドミニク・ストロス=カンの部屋へもう誰もいないものと思って入ったところ、ドミニク・ストロス=カンが真っ裸で風呂から出てきて、いきなりこの従業員を襲ったため、抵抗して逃げようとしたところを軟禁されようとしたので力ずくで逃げ出したという。警察は、「この事件直後、ドミニク・ストロス=カンは慌ててチェックアウトをして空港へ逃げ出し、飛行機に飛び乗ったところを捕まえた」。 ところが、フランスの報道の調べでは、ドミニク・ストロス=カンはコロンビア大学にいる娘とマンハッタンで昼食をとるために12時半ごろゆっくりチェックアウトをし、そのあと乗り込んだ飛行機は何日も前からリザーブしてあったエール・フランス機で、翌日ベルリンでドイツ首相のアンゲラ・メルケルとの会談やユーロ圏の経済支援会議を控えており、ドミニク・ストロス=カンにしてみれば予定通りの行動をとっていただけだという。 通常1時にホテルの部屋を清掃しに入る従業員がなぜこの日、12時に部屋に入ったのか。また、すでにほかの従業員が朝食の食器を下げに部屋に入っている形跡があり、暴行されたという女子従業員は1人ではなかったとも見られている。また、ホテルの部屋に忘れたケイタイのことを思い出し、飛行機出発前にホテルへ電話をしたのはドミニク・ストロス=カン自身だった。この電話で警察がドミニク・ストロス=カンの居所を知って逮捕に駆けつけた。警察の顔を見たドミニク・ストロス=カンは、「いったい何のことだ?」と訊いたという。 17日の今日、国際通貨基金の代表ドミニク・ストロス=カンを交えて行われるはずだった欧州経済会議では、巨大な負債をかかえるギリシャを中心にユーロ圏への国際通貨基金の援助が主題となっていたが、すべてが停滞。議員たちは欧州議会の混乱を鎮めることで精一杯だ。 またフランス社会党への事件の衝撃は強烈で、社会党書記長のマルチーヌ・オーブリィは、「雷に打ちのめされたような大ショック。社会党は一丸になってこの困難に立ち向かっていかなければなりません」。実際、国際通貨基金のトップとして精力的にワシントンで仕事をしているドミニク・ストロス=カンは、もともとフランス社会党員の重鎮でもあり、2012年のフランス大統領選に向けての世論調査では、ドミニク・ストロス=カンが出馬すればサルコジやほかの候補者をダントツに抜いて大統領当選確実といわれてきた人物である。これから社会党が決める大統領候補決定会議にむけ、ドミニク・ストロス=カンを交えて将来の予定がたてられていく方向にあった。 アメリカからの手錠姿のドミニク・ストロス=カンや、裁判のテレビ実況中継は、フランスに二度目の大津波を引き起こした。フランスでは、有罪とされるまでは容疑者は無罪とみなされるから、容疑段階での手錠姿をTVで映し出すのは違法であるし、また裁判の放映も許されてはいない。冷静にお国柄の違いを説明しながらも、アメリカの報道スタイルにフランスは震撼。「(手錠姿を見るのは)残酷すぎて耐えられない」と社会党議員。「胃の中に刃物を突っ込まれるような痛みを覚える」とピエール・モスコビシ。「問題なのは、ドミニク・ストロス=カンがまだなにも発言していないことで、真相はまだわれわれに知らされていないことです」。 また近親者たちからは、「一瞬たりとも信じられない」。「罠に嵌められたか」という声も。ニューヨークの裁判で言及された「前歴」とは何なのか、これも明らかにはされていない。ドミニク・ストロス=カンは女性関係がメディアに取りざたされたこともあったが、刑事責任を問われるような前歴はない。「フランスのイメージがかなり落ち込みます」と与党。ちなみに、サルコジ大統領はこの事件には、一切コメントをしていない。 ドミニク・ストロス=カンはすべてを否認。しかし弁護士は、「戦いは始まったばかりです」。婦女暴行や軟禁などの罪で75年の刑が見込まれるという。(フランス2TV、TF1TV、BFMTV、総合翻訳) 18日朝のニュースによれば、CSA(視聴覚高等評議会: Conseil supérieur de l’audiovisuel)のアンケートで、フランス人の57%がDSK ドミニク・ストロス=カン事件を「陰謀」によるものと考えているという。一方、アングロサクソン系(イギリス、アメリカ)の報道は、DSKにたいする厳しい批判が多数を占めている。(フランス2TV、2TVブログ)