フランス2TV 2013日6月11日夜のニュースから:
・[一般市民の買い控え、60年ぶりの消費後退]
INSEE(Institut national de la statistique et des études économiques、フランス国立統計経済研究所:インセ)が公表したところによるとフランス一般家庭の購買率が1949年以来はじめてマイナスになった。経済危機が続いているフランスで、戦後初めて0.4%の消費率の減退をみせ、必需品だけに絞って生活を切り詰める姿が浮き彫りになった。
一番買い控えが激しいのは、車で、-9.5%。次に服飾産業、-2.3%。本はー1.5%。また消費率が増えているのは食料品で、+0.7%。一番目立った買い物はスマートフォンで66%増という結果が出ている。
・[電気、ガス料金見直し]
電気代ガス代が高騰する中で、家庭の消費量格差が激しいことから、基本料金を見直すか、基本料金そのものを無くす方向で検討がなされている。
・[ギリシャ、3つの公営TV放送局の放送が突然中断し画面真っ暗に、TV関係者の怒り]
昨夜半、ギリシャの公営テレビ局3局が放送の真っ只中を同時に放送中断。画面が真っ暗になったまま終了しTV関係者や視聴者の怒りをかっている。当局が経済政策のために、何の前触れもなく放送を一斉に中断したもので、「ギリシャの独裁政権のときにさえなかったことですよ」と番組放映中だった女性のTV司会者は集まった報道陣へ向かって叫んだ。ほかの私営放送も公共放送へ連帯して放送を中断する意向。数千人のTV関係者が失職の危機か。
6月12日、BFMTV: ギリシャの公共放送はテレビもラジオも停止させられ、従業者2565人が一斉解雇となった。金を湯水のように使っている国営放送はいらない、という政府判断だという。国民は、「ファッショですね」。「人権や報道の自由や基本的な人間の権利を無視しています」と、一様に突然のメディア排除に、怒り心頭。
・[パリ郊外線RER-D、3月の事件の後を追跡取材]
電車の中で暴行されたり窃盗事件に巻き込まれる数は、年間40万人にのぼる。フランス2TVは、今年の3月にRER-D線で起きた15歳から17歳の少年グループによる乗客への窃盗騒ぎを受けて、同じ線で3時間の密着取材を行った。
「同じワゴンの中の乗客全部が窃盗にあったような事件でなくても、日常茶飯に、ぶつかったり悪態をつかれることはよくありますよね」、「私の場合二度、目の前で暴力を見ました。ネックレスをひきちぎられた人がいた」と女性の乗客二人。「バッグの中に常に催涙ガスを持ってます」、「使ったことはありますか?」、「まだありません」。3月の事件以来、電車内に、SNCFは鉄道警察を増やし、またメディアターと呼ばれる私服の相談員を二倍に増やして犯罪防止に努めているおかげで、幸い今のところ目だった事件は起きていない。
・[交通違反、ヨーロッパ共通策で合意。実施は今夏から]
フランスのハイウエーでレーダーに引っかかる交通違反車のうち25%は捕まらないまま、という統計が出ている。特に外国から来る車がスピード違反をする例が多く、たとえばペルピニャンでは交通違反車の2分の一が外国から来る車だ。ハイウエーでは交通警官が覆面車にレーダーを搭載して走り、スピード違反車を捕縛。捕縛された車の運転手はその場で罰金を支払わされ、免許証を没収される。免許を没収された運転者は、誰かが迎えに来てくれるまで待たなければならない。
これまでフランスは、交通違反車取締りにベルギー、ルクサンブール、スイスの3国と連携体制をとっており、たとえばフランスで違反を起こしたベルギー車の情報は即座にベルギーへ伝えられる。昨年ベルギー警察はこうして、フランスで起きた14万件にのぼる違反情報を受け取っている。これまでこうした交通違反情報の共有を行っていなかったデンマーク、アイルランド、イギリスについても、今夏から共通策をとることになった。いずれにせよフランスは、外国から来た違反車に関してはそれがどの国に限らず違反情報をその国の当局へ送りつける用意がある。
・[第7番目の大陸、プラスチック]
太平洋北部に漂う巨大な大陸。7番目の大陸と呼ばれるプラスチックのゴミだ。その面積はフランスの6倍とも言われる。太平洋の大きな潮流が次第に集めたプラスチックのゴミは、時がたつにつれて小さいかけらとなり、魚に食べられる。プラスチックを食べ続けている魚は有毒化する。プラスチックの集中がひどい場所になるとプランクトンの量の5倍の量があるという。毎年人間社会は1億トンのプラスチックを製造するが、その10%は大洋へ流れ出しているという悲惨な状況だ。
・[中国人現代アーティスト]
http://shigeko-hirakawa.org/blog/?p=7568
My opinion: 太平洋の誰にも目の届かないところへたまる人間のゴミ。どこかに大きなツケを残しながら生きていく人間が生んだ7番目の大陸のはなしは、フランスは毎年TVが報道している。昨年5月のTF1TVは、日本の津波で流された瓦礫がこの環境汚染に輪をかけた、と報道した。
さて、この11日の報道で注目すべきは、中国人アーティストLiu Bolin の話を、中国の有人ロケットの話より先に丁寧に取材をしていたことではないだろうか。国営放送の20時のニュースで、現代アートの話をロケット打ち上げより優先する。こういう順番のつけ方がまさに文化国家の特徴だ。なんだかんだいって「文化国家フランス」はまだ生きていた! (S.H.)