Rainbow of Humanity Project とは、人間が天に向かって虹の橋をかけるプロジェクトだ。
旧約聖書黎明期に、神が架ける虹の話が書かれている。この虹は、神が、地球上のすべての生き物を人間が生きて発展していくために人間の手にゆだねることを宣言したおりに現れたという。
しかし現在、人間は委ねられたこの世界を好き勝手にしすぎたために後戻りができないほど破壊してしまった。
Rainbow of Humanity Project は、今度は人間が、地球に向かって、失ってきたものを悔悟しこれからは神が与えた権利を地球のそれぞれの生き物に返して共存のために尽力をするという誓約を、この虹にこめて地面から空へうちたてようというプロジェクトである。
メゾン・デ・ザール文化センター 企画
平川滋子個展のためのプロジェクト。
2010年10月7日から二ヶ月。
フランス、アントニー市
・Rainbow of Humanity Project ビデオ
Video: Rainbow of Humanity / Arc-en-ciel de l’humanité,
人間の虹、高さ12m、直径2.7m、特殊繊維 2010
Copyright Shigeko Hirakawa
Rainbow of Humanity Project/ Arc-en-ciel de l’humanité/ 人間の虹、アントニー市メゾン・デ・ザール・アート・センター
虹はひとつの気象現象で、空気中に水が浮遊し太陽光線がいい角度にかかったときに出現して目に見える。この現象は、その大きさと美しさ、また不思議さのために、太古の昔から民族によって、また見る人によって、実にさまざまな解釈がなされてきた。アントニー市の虹は、したがって私固有の「解釈」をかたちにしたものなのである。
バイブルの黎明期の虹は、「神が人間に対して契約を行った徴」に出現したものだといわれている。神のいう契約には、地球のあらゆる生物の命を自由にする権利も人間に譲りわたすという意味があるという。自由を与えらたこのとき以来、人間は地上のものを濫用し、多くのものを絶滅に追い込んだ。危機に瀕する地球のために、バイブルの黎明期の文章をそのまま利用し、こんどは「人間が地球に対して新たな契約を結ぶ徴」として虹を出現させようという提案をアントニー市に提出した。今まで濫用してきた自由を返上し、地球を主体に考え直しましょう、というわけだ。
私の解釈によるアントニーの虹は、水の中から立ち上がり、一番下の緑色は地球の緑を象徴。一番上の青は空の色を象徴して、地球から空に向けてプリズムの色を変化させていく、地上と天を結ぶ虹となっている。(S.H.)
もう一つの解釈: インスタレーションの作業を手伝った企業の黒人の一人が、あらゆる色(人種の・・・)を一つに統一する虹をみて、「これは私たちの虹」と発言。
アントニーに住む老婦人は、「そうよ!神様が自分の過ちを認めなきゃいけないわよね、自分が間違ってたって・・・」。