文化の冒涜 - 「Outrage at Sarkozy’s Versailles Choice、サルコジのベルサイユ選択の理不尽」とはイギリス、ロンドン発行のThe Art News Papaer (フランスの芸術専門新聞Le Journal des Arts系統)の記事の表現。ベルサイユ宮殿および博物館国立管理局(日本語訳仮称: L’Établissement public du château, du musée et du domaine national de Versailles (EPV))のディレクター職を2007年から勤めてきたジャン=ジャック・アヤゴンのあとを、ジャーナリスト出身のカトリーヌ・ぺガールが引き継ぐことになった。

ジャン=ジャック・アヤゴン(Jean-Jacques Aillagon)はポンピドーセンターのプレジデントを6年勤めたあと2002年から2004年まで文化大臣を務め、2007年から同ディレクターとして、現代アートをベルサイユ宮殿に入れる試みをして、ジェフ・クーンズや村上隆などの展覧会を開催してきた。元大臣グザビエ・ダルコが、現代美術を推進して戦う(実際、これらの現代美術展を開催するにあたって訴訟問題があり裁判で戦ってきた)姿勢を続けて欲しいとして、契約切れの2011年以降、3年の契約更新が内定していたが、この内約に反してフランスの「定年65歳」が適用されることになったという。

10月2日付けで就任するカトリーヌ・ぺガール(Catherine Pégard)は、フランスのLe Point誌の政治ジャーナリストを経て、サルコジ政権樹立後、国会付の政治顧問となり政治に関するメディアを采配してきた。政府のジャーナリズムの取り込みようは、2007年のインタビューで政治とジャーナリズムメディアにかんしへラルド・トリビューンの記者ジョン・ヴァイノウカーが「政府とジャーナリストの共謀は行きすぎ・・・」と発言したほど。30年政治一点張りで、一切文化関係の経歴を持たないカトリーヌ・ぺガールのベルサイユ宮殿および博物館国立管理局ディレクターへの指名は文化関係者たちに大きな波紋を及ぼし、8月5日付けのル・モンドも、「ベルサイユ宮殿に[専制君主]は真っ平ごめん」([専制君主]はこの場合、サルコジ政権)と激しく糾弾した。

職員1000人、年間参観者350万人、バジェット8000万ユーロという機構の複雑なベルサイユの采配能力が問われるぺガールのノミネーションは、フランスのみならずイギリスのThe Art News Paperに見るようにあちこちで大きな非難の的となっている。( The Art News Papaer、カトリーヌ・ぺガールWikipedia)