クリスマス明けの26日の今日。フランスや欧州のメディアが一斉に日本の捕鯨の商業化を取り上げ、「やりすぎ、不必要、なぜ激減しているクジラ保護を目指す世界の意向と歩調を合わせられないのか」という批判を投げかけている。去年日本は、禁止海域で保護種も含めて600頭を捕獲した。

・ユーロニュース:日本、おおっぴらに捕鯨の商業化

日本はIWC(国際捕鯨委員会)から一方的に脱退し、公海で商業捕鯨を始める。欧州のみならず世界各国からの非難は大きい。オーストラリアは「まったく失望した」、ニュージーランドは「いきすぎ。不要な捕鯨をなぜ」と怒りを隠さない。

IWC(国際捕鯨委員会)から脱退

ANNnewsCH/  le 25 déc. 2018

ル・モンド「日本はなぜ捕鯨を続けるか」

Le Monde / le 21 sept. 2018

ル・モンド制作のビデオ要約:

どうして日本は捕鯨をやめないか。実際の消費量は非常に少ないのに。例えば、2012年調査によると、この年一年間、国民の88.8%がクジラを口にしていない。2015年には、4、5千トンが市場に流れたが、国民一人につき年間40gの消費という計算になる。1000年にわたる捕鯨の「国民の誇り」とはなんだろう?

第二次世界大戦直後、敗戦の国民は生き延びるためにクジラを食べた。1947年から1949年にかけて、消費された肉の45%はクジラだった。この食材は1970年代まで引き継がれた。このクジラがなぜ、「国粋主義の象徴」になったのか。

2014年3月31日、国際司法裁判所が日本に捕鯨禁止を言い渡した。(注記:日本はクジラの国際保護海域で「研究のための捕獲」と称して捕鯨を重ねていたが、捕獲したクジラはすべて市場で売られ商品化されていたことが問題視され、「研究」を口実に国際法を違反したとみなされた。)

国際司法裁判所の厳しい採択に対して、当時の林芳正農林大臣が「日本の文化を侵害」するものとして反駁、クジラ保護地区での捕鯨を続けた。

捕鯨は親子代々の職業で、九州から南本州にかけてクジラ漁の伝統がある。現役の安倍首相は山口県下関の出身。また今も閣僚の林芳正氏も同じ山口県下関市の出身で捕鯨の本拠地だ。このことを見ると、国際司法裁判所の禁止言い渡しや他の国の強い批判にもかかわらず、どうして日本が捕鯨にこだわるかわかるような気がする。

捕鯨を続けたい 日本の一部の党。国際的な批判など一切介せず政府外郭団体のクジラ研究所では「科学者」たちがクジラを食べる会を催しているが、好評の様子でもない。(注記:「政府のクジラ研究所の科学者たち」というフランス語に反して、「日本捕鯨協会」「恵比寿祭」などの日本語が見える。3:14あたり)

他に捕鯨を続ける国は、ノルウエー、グリンランド、アイスランドである。(注記:これらの国は、商業海域として認められたところだけで捕鯨をし捕獲の数も決められた制限を下回っているために、国際法には抵触していない。)

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My opinion: ル・モンドのルポルタージュのおかげで、捕鯨を「文化」と呼んだのは林大臣だったことがわかってなるほどと思った。伝統というならまだしも、捕鯨は文化ではありえない、と思ったのは私だけではないだろう。伝統は型を守ることに重きをおくものかもしれないが、文化は時代によって動き生き物のように新しい細胞を作り出し続け、時代の変容を包含していく大きな生き物だ。

他に捕鯨をする国について、昨年ノルウエーは許された捕獲数の半数以下の400頭強、アイスランドは200頭の捕獲を許可されているが6頭しか捕獲していない。日本は許可捕鯨数を超える600頭を捕獲し、中には妊娠したクジラや保護対象の種もあった。地球は、脊椎生物をこの40年で60%も失い、海洋は温暖化で酸化が進んで死海が現れ、プラスチックが充満して海洋生物の居場所がさらに激減している今日、日本は、食としてもほとんど必要の無くなったクジラを、なぜ殺し続けなければならないのか。

排他と利己主義が表裏一体の安倍首相のクジラ漁は「国粋主義の象徴」とは言い得て妙。ル・モンドのルポルタージュは慧眼だ。文化の国フランスは捕鯨を文化とは決して呼ばない。

(S.H.)(ル・モンドのビデオ内容要約、及び挿入した注記:S.H.)

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「もう日本は捕鯨を隠さない」L’Obs

「…環境団体はすぐに反応し、そのニュースを強く非難。 「日本政府がこ年末に便乗して穏やかに発表して国際メディアの注目をそらそうとしているが、世界は騙されない。日本の決定は国際社会から外れており、私たちょの海や生物を守る緊急な必要性を無視している。」

・ル・モンド:日本、捕鯨を公式に商業化

- IWC国際鯨委員会 https://iwc.int/iwcmain-fr

- 日本鯨研究所 https://www.icrwhale.org/eng-index.html