2015年地方選挙の約束
2015年末地方選挙で、ヴァレリー・ペクレスはその選挙公約に文化バジェットを取り上げ、「文化への志を再び」と銘打って20%の予算増額を約束した。
http://cultureveille.fr/budget-culture-ile-de-france-securite/
ヴァレリー・ペクレスのイル・ド・フランス週選挙公約(上)。20%予算増加。「政府の文化後退へ一投石するために。クリエーションを支援するために。地域の振興を糊塗するために。イル・ド・フランス独自の文化を鼓舞するために。」
現実は、11%減
しかし、2016年の文化バジェットは8880万ユーロ。2015年度文化予算の9980万ユーロに比べ、11%少ないことが分かった。
選挙公約で見込まれていた20%の増額を計算すると1億2000万ユーロとなるはずだ。したがって、現実の予算と比較すると、差し引き3000万ユーロもの減額があったことになる。これまで、社会党ジャン=ポール・ユション知事時代のイル・ド・フランス州の文化バジェットは、増加の一途であった(2011年の8940万ユーロから2015年9940万ユーロへ。平均毎年2.8%の増加)ことを考えると、この減額は文化へ背を向けたも等しい。
2016年文化予算減額、クリエーションや建築など減少
まず第一に、この文化予算減額で一番影響を被っているのは、文化施設の建設である。2015年には美術館、メディアテック、文化会館などへ2180万ユーロが当てられていたのに対し、2016年は890万ユーロに減った。つまり、約60%という大きな減少である。
地域はまた、映像や映画製作へ800万ユーロの基金を創設したというが、一方でこれまで映画・オーディオヴィジュエル産業と製作支援へ当てられていた予算が1440万ユーロから540万ユーロへ、900万ユーロ(60%)も減らされていることをみれば、800万ユーロの基金創設ではまったく不足を満たしていないことになる。
クリエーション一般はどうかというと、衰退の危機に晒されているといっていい。制作支援、デジタル普及などは40%の減額で、420万ユーロから240万ユーロへ。工房支援は、270万ユーロから40万ユーロへがた落ちした。
これらの多大な予算減額については、SNSP (Syndicat National des Scènes Publiques), dans une lettre à la présidente de la commission Culture やARCADIから苦情が寄せられている。
文化予算減額で、得をするのはセキュリティと大学とスポーツ?
現実にはイル・ド・フランス州の予算全体が2015年より少なくなっている。47億ユーロから40億ユーロへ、14%の減額だ。
この中で特筆すべき予算増額は44%増のセキュリティ(テロなどへの対策)で、1430万ユーロから2050万ユーロへ飛躍した。
スポーツや娯楽も25% と36%増。4570万ユーロから1億0290万ユーロへ.
透明性の無い数字を利用する政治
(以下の表は、イル・ド・フランス州が掲げる文化バジェットの用途と内容)