集団的自衛権容認を7月1日には閣議決定する勢いの安倍政権。私は当初から「解釈」変更には大反対の立場だ。解釈を変えることそのものが違憲であると考えている。 例えば多国間の条約等は、その当事国が条約内容を同じように解釈するから条約が成立するのである。つまり、条約締結をした国がそれぞれ勝手に条約の意味を解釈して行動をしてしまうと、条約そのものが成り立たなくなるのは当然のことだ。したがって、国際世界においては勝手な法の解釈やおおもとの解釈の変更は決して許されないのである。例えばヨーロッパ連合の場合、ヨーロッパ議会の制度がEU参加国にきちんと同じように理解され、同じように施行されているかどうか、各国の施行状態と「解釈」の程度を監視する組織がある。例えば人権に関して、フランスが人権を守るのと同様にイギリスもドイツも人権を守っているかを、微細に監視している。一国の政府より上の立場から、総括的かつ概念的にその政府の動向を監視し修正するこうした機関が日本にも必要なのではないかと考えるが、EUのような他国と足並みをそろえていかなければならない大きな国際圏がない日本はどうすればいいのだろうか。 個人的にも、法的知識は学部の学生程度のものが残っていれば良いほうだと思う筆者だが、基本的人権、恒久平和、民主主義の三原則をいただく日本国憲法には、フランスの人権宣言にも匹敵するすばらしい憲章のごとき格調の高さを感じている。この格調高い日本国憲法を変えて軍需産業へ向かいたいのか、憲法改憲の手続きである憲法代96条の変更を提起しておいて、これが難しいと思うと、一足飛びに集団的自衛権の話に飛んで改憲をはぐらかし、「解釈」変更という、これ事態が違憲と思われる方向へ論議を押し流した。閣議決定などという国民の手から大きく離れたところで決定することも「違憲」。違憲だらけの集団的自衛権論議。国会議員衆議院475人、参議院は242人いる中で、ようやく正当な論理で反対を申し立てる議員が一人現われた。…