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アクチュアリティ・日本、北半球を回る放射能、福島原発

北半球を回る放射能、福島原発 - フランス2TV、昼夜のニュースから: フランス放射能安全対策インスティテュートInstitut de Radioprotection et de Sûreté Nucléaire (IRSN)が、福島原発から放出される放射能の拡散シミュレーションを3月20日に制作、ユーチューブにオンラインした。以下はそのビデオ。福島からの放射能が偏西風に乗り、薄められて北半球を覆っているのがわかる。 (注記: UN国連特別委員会も同じシミュレーションを制作。UNのビデオをフランスではTF1 TVが放映している。) 現在北アメリカのキャリフォルニアに到達し、今週水曜日には最初の放射能がフランスに到達する計算である。フランスに来るときはすでに放射能はかなり薄められて、0.01ベクレルとまったく健康には害がない量となっているので心配の必要はない。問題は福島原発が事故を制御しおおせず、放射能放出が長引く場合で、放射能を含んだ大気が濃度を増しながら地球を何回も回ることになるのが懸念される。グリンピースやエコロジストは、人体に影響がないほど薄い放射能というフランス当局の発表に対し、「’薄い’というだけで、どういった成分の放射能がどの程度の割合でヨーロッパに飛んでくるのかまったく何の説明もされていないですね。私たちは今週、大気中の放射能を分析して内容を発表するつもりです」と積極的な対応をする姿勢を示した。 一方、日本の福島原発では先週末予定されていた通り、400ボルトの電気ケーブルを6つの炉心のうち4つの炉心の冷却装置につなぐことに成功。まだ建物がしっかりしている第5と第6号機は、水蒸気の圧力増加による爆発を防ぐため、屋根に穴をあけて水蒸気を逃がすなどの対策を実行。一番破損状態がひどく、かつまた酸化ウラニウムとプルトニウムといった危険物質が貯蔵されている第3号機は、冷却のため昨夜は休ます約2000トンの水が放水され続けた。電気接続が成功し、また水蒸気が事故以来はじめてストップするという今後の見通しに明るみが見えはじめたのもつかの間、第3号機から煙があがった。今度は水蒸気のような白い煙ではなく灰色また時々黒い煙があがり、内部で火災が発生したとみられられる。発煙と同時に仕事をしていた職員は全員緊急退避。 第3号機の発煙にかんしてフランス放射能安全対策インスティテュートIRSN代表は、「私からみると、状況はあまり進歩していないと考えられます」。 My opinion: 先週週末発刊のル・フィガロ日刊紙もIRSNが作った放射能拡散シミュレーションと、UNの世界への拡散シミュレーションの図入りで放射能の行くへを説明を記載している。放射能の量はもちろん色分けでわかりやすくなっている。放射能の量が一番多いのは、毎回の爆発時だ。そうすると、この21日の黒煙も放射能を濃く含んで風に乗って運ばれているはず。現地の人間の退避はもちろんのこと、風向きや放射線探知機で、どの地方が危ないかくらい、日本の科学技術で予想を即座に立てて知らせるくらいのことはできるのではないか。(S.H.) その他のニュース: ・3月20日、フランス全国統一選挙。棄権率史上最高の56%。社会党とフロン・ナショナルが前進。 ・連合軍、リビアのカダフィーを攻撃。フランスが連合軍のイニシアチブを取る。

アクチュアリティ・日本

日本の危機、福島原発 - 原発の現況悪化とその危険を重視し、アメリカとイギリスは、福島原発から現在の直径30kmから直径80kmに範囲をひろげて住民を退避させるよう示唆した。不安を満面に浮かべた福島県知事佐藤雄平氏は昨日記者会見で、放射線の危険を早く回避できるよう、やはり80km圏内の住民の避難を政府に訴え、地震から一週間にもなりながらいまだに十分な援助がとどかず、避難をした人々の飲料水や食料が欠乏した状態が続いていることもふくめ、県民は見放された思いで政府の不十分な対応に苦汁を飲んでいるとつけ加えた。 最後の望みを託して、福島原発第3号機と第4号機を冷却するためにヘリコプターで水を投下する作業が行われている。第4号機は核貯蔵プールの水が減り、核が外気に触れているため、過熱がすすみ激烈な放射線が出ているもよう。水がどれだけ減っているのかはわかっていない。アメリカの専門家はほとんど水が残っていない状態を懸念。水がある限りは核の安定と鎮火の希望を持てると考えられており、外気に触れている加熱状態の核が核融合を起こさないように、必死の水の投下と地上からの放水が昼夜を分かたず行われている状況だ。 日本側は金曜日に、原発の電気を回復させて冷却装置を稼動させたい方針だ。ただし、第3、第4号機ともにかなり破損がひどいので、はたして稼動するかどうか、疑問なのではないか。 フランス政府とEDFフランス電気およびAREVA社は、日本の要請に応えて炉心の冷却剤100トン、また原発作業用の特別作業服・手袋・マスクなど一式を数万部日本へ送ることを決定した。また、東京周辺にいるフランス人3000人に甲状腺のための安定ヨウ素剤を送る。 放射能の危険を回避するために 、在日フランス人の本国送還をフランス政府が無料チャーター機で行っており、毎日運行して送還を急いでいる。現在、日本にいた9000人のフランス人のうち半数ほどが帰国したもよう。「職場の同僚を見捨てて帰ってきたことが辛いです。フランス政府が無料で飛行機を手配すると言ってきてくれたので、飛行機に乗ってしまいました」とパリ空港に到着したフランス人がもらした。 アメリカ人も同様、アメリカ政府の意向が強く続々と日本を離陸。またイギリス議会は、在日イギリス人のみならず、在韓のイギリス人もイギリスへ戻すよう討議した。 津波の災害を中心に外国のレスキュー隊が救済活動を続けているが、寒さと雪、瓦礫のなかで困難を極めている。イギリスのレスキュー隊は、放射能の危険を早めに察知するため、各人がガイガーカウンターを携帯して救助活動を続行中だ。仙台で救助活動をしていたフランスレスキュー隊100人は北上し、津波でいまだに陸の孤島となっている村へ向かうことになっている。「何百キロ平米というはてしのない瓦礫の平野に胸が詰まる」とフランスレキュー隊。 日本人も小さい子供を持つ母親は、大阪方面へ疎開している。フランスのメディア・ジャーナリストも福島から240kmしか離れていない危険な東京を逃れ、大阪へ移動した。 対応の知識について: ちなみに被爆を早めに察知し、ぬるま湯のシャワーを浴びて放射能を洗い落とす場合、体をこすったりせず、また髪などももみ洗いをせずお湯を流すだけにとどめることが肝要。きちんと洗浄すれば約80%の放射能を落とすことができるという。 また、甲状腺は特に4歳以下の子供が非常に脆弱で、はやく子供を放射線の危険から遠ざけなければならない。 (フランスTV、BBC、Skynews、フランスアンフォ・ラジオ) My opinion: フランスTVやBBCは、今回の津波の災害で避難した人たちが、雪解け水で手を「久しぶりに」洗い、また片方では「6日も髪を洗っていなくて気持ちが悪い」という若い男性を映し出していたが、少し前まで経済大国で何でもあり、また何でもできると思っていた日本が、歴史的な大災害とはいえ、一週間たった今もこれだけ対処ができずにいるかと思うと情けない気持ちになった。アメリカのブッシュ大統領が暴風雨カタリナの災害時に対処が遅れてずいぶん非難されたが、人のことは言えない。ことに、食料・水といった最低限の物資供給や、原発の危機から住民を非難させることもかなり後手になっていると思うのは私だけだろうか。必要物資の大量収集、大量運搬のための手段や人間の収集といった連携をとることに時間がかかりすぎている。こうした大災害に際して、国を挙げてあちこちに気を配って動かなければならないときに肝心の手段が即座に利用できないでいる政府をみると、もう国がイニシアチブを取れないほど小さくなりすぎてしまったのではないか、と思ったりせざるを得ない。 一番気になるのは原発周辺の住民の行方だ。1986年のチェルノブリイ事故のとき、激烈な放射能のなかで作業をしたヒーローをリキダター(粛清屋)と呼んだ。そのリキダターを指揮した人がまだ生きている。「あの事故で今一番後悔しているのは、子供たちの避難をさせず、36時間もそのまま何もしないで放っておいたことだ」と悔悟していた。被爆した子供はみな白血病やガンなどを発病している。 政府は手遅れにならないうちに早く救える人を救わなければ。(S.H.)