・FNの歴史的躍進

・女性の州議会議員数、男女同数に限りなく近く

2015年12月13日の統一地方選挙の結果、極右政党フロンナショナルFNは排除されて一人も州知事にはならなかったが、内実はFNの歴史的な躍進を記録した地方選挙となった。

12月6日第一回投票で、総合で600万票を獲得したFNは、決選投票で80万票を伸ばして680万票を獲得。FN獲得票数の過去最高を記録した。(フランス2TV)

FNの投票数記録更新の推移

  • 2010年統一地方選挙、220万票
  • 2012年大統領選挙で、マリーヌ・ルペンが640万票
  • 2014年欧州議会選挙、470万票
  • 2015年県議会選挙、510万票
  • 2015年12月統一地方選挙、680万票

FN議員数の増強

例えば、ラングドック・ルシオン・ミディ・ピレネでは、第一回投票から決選投票でFNへの票が175450票増加。マリオン・マレシャル=ルペン(26歳)が立ったプロヴァンス・コート・ダジュールでは決選投票に166401票の伸びを見せた。

結局今回の選挙で、FNの州議会議員数はこれまでの117人から、358人へ、3倍の議席を獲得するに至っている。

  • 州議会議員、117から358へ*
  • 県議会議員、62
  • 欧州議会議員、24
  • 市長、11
  • 国民議会議員、2
  • 上院議員、3
*FN州議会議員数358人は、社会党議員の355人を抜いた。
社会党にエコロジスト、共産党、極左などの左派連合を加えると、左派の州議会議員総数は677となる。ちなみに共和党は493議席を獲得した。

社会党の犠牲を強いたFNストップ策

第一回投票で40%以上の票をとったマリオン・マレシャル=ルペン(FN、26歳)の立ったプロヴァンス・コート・ダジュール・PACA選挙区と、マリーヌ・ルペンがやはり勝利の勢いに乗っていたノール・パドカレ・ピカルディでは、3位につけた社会党候補を引かせて、それぞれ当選確率の高い共和党候補者へ社会党支持者も投票するように呼びかけ、結果、両地区はFNの党首を退けて共和党右派連合が勝利した。一方で、候補を取り下げた社会党は厳しい代価を払った。州議会議員を一人も出せず、両地区では社会党議員の参画はゼロなのである。社会党のいない州議会は、これから右派と極右に牛耳られることになる。

女性の州知事は3人

17州のうちの3州で女性の知事が当選。ブルゴーニュ・フランシュ・コンテでMarie-Guite Dufay (PS マリー=ギット・デュフェ、社会党)、ラングドック・ルシオン・ミディ・ピレネでCarole Delga (PS キャロル・デルガ、社会党)、イル・ド・フランスでValérie Pécresse (LR ヴァレリー・ペクレス、共和党)。

古参のキャロル・デルガ(社会党)は、オランド大統領と電話で話し、今回の選挙の難しさを伝えたという。一方で首都パリを含む州であるイル・ド・フランスで勝利したヴァレリー・ペクレスは共和党で、17年間の社会党のテリトリーを奪取した形だ。ヴァレリー・ペクレスと闘った社会党のクロード・バルトローヌは国民議会の議長。議長辞任も視野に入る、社会党苦渋の大敗となった。

女性の州議会議員、47.8%、ほぼ前回(48%)と同じ男女同議席数

男女同数に限りなく近いのは、プロヴァンス・コート・ダジュールは、49.59 %。 イル・ド・フランス、49.28 %。コルシカ、49.02%。一方で、ラングドック・ルシオン・ミディ・ピレネは州知事が女性だが、女性議員数は44.94 %とほかより女性の占める率が低い。

http://www.lemonde.fr/les-decodeurs/article/2015/12/14/une-parite-hommes-femmes-relative-dans-les-nouveaux-conseils-regionaux_4831937_4355770.html#JKPOoYJifPKHUO7P.99

 

FN支持者の増加を見る

極右FNフロンナショナルの支持者の増加を色分けした地図(下)は、マリンブルー(濃紺=FN色)の濃淡で、支持者の増加の程度を表している。支持が減ったのは、イル・ド・フランス(-10%)、とコルシカのみ。一番濃い青の部分は、26%もの支持率増加を示す(francetvinfoから)。

極右FNの増加を色分けする 2015