・[外資参入に侃侃諤諤]

フランスのアルストム(Alstom、 おおもとは Als-Thom、 Alsthom、Alsthom Atlantique、Gec-Alsthomと変遷し、1998年に現在のAlstomとなる)は交通輸送関係、主に鉄道生産(メトロ、電車、トラム)やエネルギー産業系統(発電所、風車など)の大手として有名だが、会社の不振と昨年の1300人の人員カット以来、会社の売出しを検討。シーメンスかアメリカのジェネラル・エレクトリックかとささやかれていたが、この2、3日で事態は急転直下、アルストム・パワーとアルストム・グリッドを対象にジェネラル・エレクトリックが123,5億ユーロを提案してオーランド大統領もまたアルストム社長パトリック・クロンもこのオファーに好意を示した。

ジェネラル・エレクトリック(以後省略してGE)はすでに19世紀半ばに電気機関車が普及し始めた折からアルストムと提携して仕事をするなどし、また、フランス国内にもベルフォールにGEの工場がアルストムと隣りあわせで生産に取り組んでおり、今回のGEの大型参入はそれほど驚くには値しないように思われるが、巨額のオファーをした4月29日から30日にかけて、政府の受け入れもまたアルストム社長クロン氏の対応も好意的かつ迅速にすぎ、これに対する一般市民側の懸念が噴出している。

フランス2TVの夜8時のニュースにGE社長、ジェフリィ・エメルト氏が招待され、最初から厳しい質問がとんだ。「GEはフランスを食いつぶす脅威になるのではないですか?」

これに対しGE社長は、「フランスとは今までも世界各国で協調してやってきました。フランス国内に参入するからといって、そうした協調が壊れることは考えにくい」。

GE参入で懸念されているのは、更なる人員削減だ。「アルストムの従業員をそのまま引き受け、職場を温存しますか?」失業率の高いフランスは再就職が難しい土壌を変革できずにおり、経営がGEに移ることでアルストムの従業員を失業させないのは譲渡条件のひとつなのである。「すでにフランスにはGEの工場があり、フランスの就業システムも分かっています」。人員カットは果たして食い止められるのか。

アメリカ企業特有のキャラクターがひとつの不安を生み出してもいる。「ベルフォールのアルストムの職員は、オープンにGEの工場との付き合いなどを話すわりに、GE勤めのフランス人職員はまるで上から禁止でもされているかのように、まったくノーコメント。口を開かない」と閉鎖性を指摘した。

1800年代にアルザス地方から出発したアルストムは現在すでに多国籍企業として世界中に35万人の就業者がいる。GEの巨額のオファーが受け入れられたというニュースが伝わった4月30日の株価は12%急上昇した。その一方で、フランス財務大臣は、「まだまだ検討の余地あり」としてGE参入に躊躇、どうやら孤軍奮闘の模様。

・[地中海クラブ]

1970年代一大ブームだった地中海クラブはいまや経済的にも低迷。中国のFOSUNグループが21%の株を買収することになった。すでにFOSUNグループは10%の株主だったが、これで株主総会での発言権が拡大。「今までの地中海クラブの様子から大きく一変しそうです」と担当者。