昨日の政府発表によると、コロナウィルスが原因で人工呼吸器を取り付けられているフランスの重篤患者数は 7148人に上るという。これらの人々は全身麻酔で人工的に昏睡状態に置かれ、肺に管を通して四六時中空気を送られている。この状態が2週間以上続くことがあるらしいが、患者の肉体的負担は大きく、心臓や腎臓などの臓器を弱めるという。人工呼吸器を装備したベッドはフランス全国に 5000あるというが、ここ数日は増加数が少しずつ減ってきたとはいうものの、4月2日の 6000人から8日の 7000人以上へと昏睡状態の重篤患者が1週間で1000人増加し、満床の飽和状態をとっくに超えたフランスの医療状況は想像を絶するものがある。

毎日定時に変動と所見をTV発表するジェローム・サロモン(フランス連帯保健省保健局長、4月8日付)によれば、昨日新たに 3881人の感染者が見つかり、Covid-19の症例数は総計、82048人へ。またこの24時間で 541人が亡くなり、「感染はまだ非常に活発」と指摘した。数字の伸び率が少なくなっても増加は増加。いわゆる「ピーク」はまだ見えない状態なのである。

「家にいて何もしないことは、消極的な立場に自分を置くということではなく、感染予防のための最大の積極行動をとる、ということなのです」とジェローム・サロモン。 毎日の数字の発表は内容が厳しいものであってもマンネリになりそうなものだが、この人の所見や公衆への呼びかけはいつも理路整然と説得力があり耳を傾けずにはおかない。

実際、本来は復活祭の祭日であり学校の休日でもある4月上旬、政府によって移動禁止令が全国に向けて出されていたこともあって、天気の良かった4月5日日曜に、ほとんど普段と変わらないような人の波が街に出現した。特に感染率の高いイル・ド・フランスでのこの様子は、政府を震撼させることになり、新たな罰則を設けさせた。パリ市においては10時から19時の間、ジョギングなどの野外スポーツを禁止。すでに3月から公園や植物園なども閉鎖している。

3月1日から4月9日までのフランスの病院及び他の施設等で亡くなった人の集計による死亡者数は、12210人。コロナウィルスは猛威を振るっている。

予見される第二次世界大戦以来の経済大恐慌

休業を強いられた45万の中小企業がすでに最初の週に補償金の申請をしているが、2020年上四半期のフランスの国民生産GDPは 6%落ち込んだ。これは1945年第二次世界大戦以来の記録的な数字となる。

4月9日朝、欧州中央銀行総裁のクリスチーヌ・ラギャルドが、ラジオ、フランス・アンテールに招待され展望を語った。

「非常に突然の、また一時的な危機ではありますが、私たちの経済に相当ダメージを与えます。特定の分野ではかなり深刻なものとなるでしょう。2008年の恐慌からの回復には非常に時間がかかりましたが、今回で大事なのは、リバウンドにかかる時間と、景気を回復状態に保つために私たちが取る措置です。予算レベルと通貨レベルの両方で、私たちが現在検討しているのはその全体です」。

また、ラギャルド総裁は、外出禁止は必要なだけ続けるべきだとしながら、「どれだけ我慢できるかとか我慢しなければならないとかということではなく、もし外出禁止を2ヶ月続けなければならないなら、休業中の雇用者をその分支援しなければならないし、企業は2ヶ月分の資金を補償されなければならない。すでに部分的には保護されているものですがさらにこの経済を保護しなければならない。ワクチンができるでしょうし、国ごとに少しずつ規制が解かれていくでしょうが、そのとき世界は、今と同じ世界ではなくなっているでしょう。今の世界がずっとこのままだと思ってはなりません…」。(france inter)

 

COVID-19とWHO

ビル・ゲイツやトゥイッターのCEOに始まり世界のセレブが COVID-19との戦いに向けて多額の出資を表明しているこの数日、アメリカのトランプ大統領が世界保健機関 WHOのCOVID-19対策費を出さない、と言い始めた。言い分は、「WHOは、中国中心」だからだ、という。トランプ発言に対し、WHOの最高責任者テドロス・アダノム・ゲブレイェソスは、「世界が協力し合わなければならないときに、コロナウイルスを政治化しないように」と警告した。

事務局長は、「私たちはできる限りのことをしてきました。私たちはこれまでと同じように昼夜を問わず仕事をし、間違いから学び、前進したいと考えています。今はこのウイルスとの戦いに焦点を当て、国々の団結が必要な時です。…もし他の国との対立を持ち込んで政治化していけばもっと多くの棺桶が必要になります」と表明し、ウィルスとの戦いを政治から隔離するよう要請した。

米国は、2018年から2019年までの間、世界保健機関の予算のほぼ5分の1の資金を提供している。(euronews)

 

アメリカ、危機的「海賊行為」

4月1日(現地時間2日)、中国の飛行場からフランスに向けて発送直前のマスクの荷が横取りされた。マスクはフランスのプロヴァンス・コート・ダ・ジュール州が注文しすでに支払いを済ませたものだったが、空港で3倍の値をつけて現金で払ったアメリカ人に買収されていったという。US buyers waving wads of cash managed to wrest control of a consignment of masks

グラン・テストの県知事は「普通は一枚 31サンチームのメディカルウエアが5、6ドルの値段になっているのもこうした海賊的な値段の吊り上げによる」という。州知事は「発注先との信頼関係を強くしないとこれからもこういうことがありうる、まったく遺憾だ」と苦言している。

マスクの横取りは翌日の3日も続いた。ドイツに向けて中国から発送されたN95マスク 20万枚がタイのトランジットの最中に流失した。ベルリンの警察から発注されたものだった。… (independent.uk, RMC)

 

・ジェローム・サロモン(フランス連帯保健省保健局長、4月9日 発表の一部)

LeHuffPost

「Covid-19は、過去最大の勢いで死亡者を増やしています・・・」


・RMC

Une scène digne d’un scénario de film ! Sur le tarmac d’un aéroport chinois, une cargaison de masques est prête à quitter la Chine pour rejoindre la France mais c’est finalement vers les États-Unis qu’elle s’envolera;中国の空港からフランスへ向かうはずのマスクの荷がアメリカへ。2020年4月1日


参考:

 https://www.franceinter.fr/emissions/l-invite-de-8h20-le-grand-entretien/l-invite-de-8h20-le-grand-entretien-09-avril-2020?fbclid=IwAR164xBH5GitRMACWNCjo61iIoZ-Wm68wmh1ihlo0r_9JlCDTFPe_t2hZQ0

https://www.euronews.com/2020/04/08/who-chief-to-trump-there-ll-be-more-body-bags-if-you-politicise-coronavirus-crisis?fbclid=IwAR0PvihtZBhYpEmM92ywgFyiHjRVSEnsJwXtRTPUBDEzGQpHq0C2d9RwvuI

Stealing masks and stockpiling hydroxychloroquine — what America has become during this epidemic is deeply worrying

https://www.independent.co.uk/voices/coronavirus-us-masks-trump-hydroxychloroquine-covid-19-drug-a9450261.html?

https://www.lesechos.fr/economie-france/social/coronavirus-lepidemie-decelere-les-entrees-en-reanimation-se-poursuivent-1192243