ナイジェル・ファラジ、駆けつけ援護(2016年10月10日)

イギリスをBrexitに誘導したUKIPのナイジェル・ファラジとアメリカ大統領候補のドナルド・トランプのスローガン、なんとそっくりなことだろう。

まずは、アメリカ共和党候補ドナルド・トランプのスローガンから。

 

Make America Great Again! もう一度、アメリカを偉大にしよう!

Take Our Country Back 我々の国を取り戻そう

トランプのスローガン

 

そして、イギリスの右翼政党UKIPだったナイジェル・ファラジのBrexitへのスローガンはこれ。

We Want Our Country Back わたしたちの国を取り戻したい −− Vote to Leave (EU)離脱に投票

Brexitのスローガンとファラジの顔を描いたロンドン市内バス

Our Country Back

ナイジェル・ファラジは国民投票でBrexitが決まった途端に、「国が戻ってきたから今度は私の番。普通の生活を取り戻したい」などと言ってUKIP党首をさっさと辞め、EU離脱の重い仕事をほったらかしてしまった。

今日び、Brexitへイギリス国民を導いたファラジを引き合いに出すのは、アメリカ大統領選挙の10月10日の第二回ディベイトへわざわざファラジが出向いているのを知ったという理由からに過ぎないのであるが、これによっていろいろ見えてきたことがある。

駆けつけ援護

ドナルド・トランプの2005年のテープが公開されて以来、アーノルド・シュワルツェネッガー、ジョン・マッケイン、コンドリア・ライスなどの共和党の重要人物たちが、我先にトランプ支持を撤回し始めている。今日はCNNが16人がトランプに背を向けたと報道した。


Robert de Niro(ハリウッドもヒラリー・クリントンに投票か)

フランスの報道では、「有名になれば女はどうにでも好きなようになる」、「キスをすれば磁石のように吸い付いてくる」、「性器を掴む」などの部分が数秒公開されたが、テープはもっと長いものらしい。いわゆる女性蔑視どころか一部のマッチョが使う卑猥な言葉による女性を性的に征服する話なのである。一部のマッチョ、とここでいうのは男性優位をあらわにしたミソジニーの事だ。こうした言葉が女性を傷つけ萎縮させることを改めて言わなければならない。

これに対し駆けつけ援護に現れたファラジは、「typical(典型的)」と言い「alpha male(優位な男)」にありがちな…といい、あまり重要ではないことのように答えた。

悪口と人を貶めることに長けたボリス・ジョンソン(元ロンドン市長、現在メイ内閣の外務大臣)が外務大臣就任直後(2016年6月)にアメリカで記者会見しているが、過去ボリス・ジョンソンは、オバマ大統領を「偽善者」と呼んだり、「ある者は、イギリス王国にとっては、半分ケニア人の大統領は先祖の嫌悪感のシンボル」と言ってみたり、ヒラリー・クリントンに対しては、「ブロンドに染めた髪や青い目、赤い唇は精神病院の虐待看護婦のようだ」などと言っている。これについて謝罪を求めようとしたのか、アメリカの記者たちがボリス・ジョンソンに質問したのだが、当の本人は、反省の意を表するどころか悪口を上乗せして終わったようだ。(上のリンク)

そのボリス・ジョンソンの隣でイギリスをBrexitに導いたファラジにとっては、トランプの2005年のテープの内容は一部のマッチョにありがちな卑猥な話程度、あるいは今までもよく聞いた悪口の延長ぐらいに思えて当たり前かもしれない。同じ穴のムジナといったところか。

ミシェル・オバマは13日、「こうした言葉遣いはちっとも普通ではない。将来の大統領が使う言葉ではない。子供たちが大統領の口からこうした言語が発せられるのを聞いてはいけない。Enough is Enough! 」とパワフルな演説をして満場の喝采を浴びた。(一番下にビデオ)

ファラジのインタビュー

イギリス、ザ・ガーディアン2016年10月10日電子版:https://www.theguardian.com/us-news/2016/oct/10/nigel-farage-fights-donald-trumps-corner-in-post-debate-spin-room

The former Ukip leader compares the ‘alpha male’ candidate to a silverback gorilla as Republican politicians abandon the campaign

•ビデオ:ディベイトで話題に挙げられたシリア戦略について、ドナルド・トランプのアドヴァイザーがインタビューで大統領候補の政策について答えるのを拒否

Almutaz Bur News Network

・ミシェル・オバマのパワフル演説、ヒラリー・クリントン大統領選キャンペーン


First Lady Michelle Obama is live in New Hampshire talking about what’s at stake in this election. Make sure you’re ready: IWillVote.com
Channels : Coverage – CNN – ABC News – Fox News – BBC – CBS – PBS

Vote Your Future What do you care about?

ヒラリー・クリントンはアル・ゴアと環境問題を政策の中心に置くことを約束

グローバリゼーションの中で世界が共通の問題解決へ向けて協力体制をつくり動こうとしているのに対し、私たちは、小さい亀裂にくさびを打ち込むような「わたしたちの国を取り戻そう」「もう一度偉大な国にしよう」というナショナリストを英語圏に見ている。「わたしたちの国を取り戻そう」といってBrexitをさせたナイジェル・ファラジもボリス・ジョンソンもEU離脱が決まった途端に自分たちのついた嘘やBrexitがもたらす問題を放り出して逃げた。(ただし、キャメロン首相の後継を回避したボリス・ジョンソンは、メイ内閣の外務大臣に任命され「少しでも責任をとらされるらしい」と話題を呼んだ。)極右政党の党首だったファラジにおいては、Brexitがもたらす課題や経済問題などの難しい処理はやりたくもなく、さっさと責任を放り出してしまったところなど、エゴイスムの塊のようだ。

イギリスは、アイルランドなどを含め国民の48%がEUに残ることを望んでいたことを忘れてはならない。テリーズ・メイ新首相は、それらの人々を取りまとめて説得しEUからイギリス経済を切り離す難しい事業を成し遂げなくてはならないが、メイ首相の確信に対してEUは、課題が多くなかなか困難と評定している。

さて、日本にも「強い日本を取り戻す」という総理大臣がいて、ここ数年国民を苦しませている。現政権は、軍備にあるだけの血税を注ぎ、外見の格好だけ「強く」なりたいらしい。

事実、グローバリゼーションに関心もなく、パリ協定もその先にこれから出現するだろう近未来の新エネルギー産業の新市場にも目を開かずにいる(パリ協定にアメリカ、中国、インド、南アメリカ、アフリカ諸国、東南アジア諸国合計62カ国が批准。11月4日にはEU28か国がこれに加わる)。すでに日本と関係のないアフリカで自衛隊と小競り合い(⁇)があり殺傷事件があったらしいが、これは戦闘ではないと言っているらしい安倍首相。総体に、ひどく口の悪いナショナリストが自分の仕事の責任を取ったのを見たことがないが、日本の政治家の無責任は他のどの国にも負けないほどだから、問題が手に負えなくなったらみんな即座にファラジになるのだろうな。

(S.H.)