フランスから―環境とアートのブログ

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フランス国籍取得、政策転換

2012年10月18日、内務大臣マニュエル・ヴァルスは、フランス国籍取得に関する政策を大きく転換し門戸を開くと発表。旧サルコジ政権が取得条件を規制して厳しくし、国籍取得者を大幅に減少させていく方向へあった締め付けへ大きなメスを入れることになる。 マニュエル・ヴァルス内務大臣は、「人々の国への密着度を強め、より一層の国への貢献を目指し」、国籍取得条件を緩和するとして昨日、みずから新たな国籍取得者への書類手渡しを行った。旧サルコジ政権は、フランス国籍を取得する外国人が多すぎるという右派の見解に基づき、10年以上フランスに在住して定職に就いている人のみを対象にし、フランスの文化に対する知識テスト(ブリジット・バルドーは何をした人か?、や、エッフェル塔はどういう機会に建てられたか?、などを選択方式で回答していく)をパスするなどの条件を満たさなければならなかったため、2011年は、66000人が国籍を取得して、前年度から30%の大幅減少を記録していた。 この政策を大きく覆すことを念頭にマニュエル・ヴァルス内務相は、今後毎年100000人へ国籍取得者の増加を目標とすることを公言し、取得条件における各細則を改める。目立つところでは、1.定職についていなくても日常生活に支障の無い程度の最低賃金を確保できること、2.文化テストの廃止、などで、新しい細則に関する通達が各関係部署に配布される。

二つの射殺事件

7月17日と18日にフランスの二つの町で二つの事件が起きた。7月17日はグルノーブルの近郊都市ビルヌーヴで、カジノを襲った数人の若い強盗団が警官隊とぶつかり、27歳の強盗の1人が撃ち殺された。逃走した仲間のグループは翌日夜、仕返しに市内に停められていた車60台に火をかけて燃やし、警察と保安機動隊をめがけて拳銃で発砲した。これら若者グループを制圧すべく、機動隊は150人を投入。追撃は明け方5時まで続き、若者5、6人が検挙された。過去、研究文化の都市といわれてきたグルノーブルであるが、近年その周辺都市が犯罪の巣窟化した現状がこの事件でクローズアップされることになった。 もうひとつの事件は、 ロワール・エ・シェール県(県庁所在地はブロワ)のサン・テニャン市で起きた。7月18日、保安機動隊のバリケードを破ろうとした22歳の若者がその場で機動隊員に射殺された。やはり翌日、殺された若者の仲間が仕返しに車5台に火をつけ、公共の建物の入り口を壊したり並木を切り倒したりするなどの暴動に近い行動に出た。事件後事情徴集を受けた殺された若者の兄は、「機動隊のバリケードを破ろうとなどしなかった。私たちはそばを通りかかっただけなのに、発砲されて弟が犠牲になった」と、機動隊の届出とはまったく食い違う陳述をした。この兄弟はいわゆる「旅行を専門とする人々」と呼ばれる放浪者たちで、強盗をしたわけでもなくまた銃器などもまったく所持していなかった。この事件で、ヨーロッパをキャンピングカーで渡り歩く「旅行を専門とする人々」のあり方が問われ始めることになった。…