<特集、パッシブハウス>

パッシブハウスとは、1平米あたりのエネルギー消費を最低限に抑えるように技術的な工夫を凝らし、外気の寒暖の大きな変化に影響を受けずしたがって実生活の上で冷暖房器具を必要としないように建てられた家屋のことをいう。…

すでにコンセプトとしては1970年代から実験が始まったが、ドイツや膨大な暖房エネルギーを消費する寒さの厳しいデンマークやスエーデンの研究によって大きな成果が挙げられ、「冷暖房の無い低エネルギー消費家屋」としてこれらの国で一般規格化したものである。

1988年に Bo Adamson博士 (スエーデン、ルンド大学)と Wolfgang Feist 氏(ハウジングと環境のためのインスティテュート)のあいだでパッシブハウスという定義がなされ、ドイツのヘッセン市の協力により4件が建築された。この家屋は、当時の一般家庭のエネルギー消費量の90%を節約して話題を呼んだ。その後も改良が重ねられて1996年には利用される建築材料や窓など空気の入る部分の改善、また保温状態での空調などの研究がすすみ、2000年にはヨーロッパ連合の支援を受けて欧州5カ国が建設に取り組んでいる。

内部の温度が漏れないパッシブハウス  thermogram (ウィキペディア)

http://en.wikipedia.org/wiki/Passive_house

フランスでも公団住宅に実験パッシブハウスを建設。昨年の冬、外気が零下20度という極寒にもかかわらず、部屋の温度は19度から20度という暖かさ。もちろん暖房機の備えは一切無い。「この冬の電気代、いくらでしたか?」というTVの質問に、住民は「2ヶ月で料金1ユーロ(100円そこそこ)でした」。一応フランス電気会社の供給はあるらしいが、屋根にはソーラーパネルが備え付けられ、ほとんど自家発電ですむという。

ドイツPassivhous社の家屋構造の一例。外と内との喚起がキーポイント。温度を逃がさず、またうちにも入れず、つねに一定の温度を保つ。

いやはやこの時代に、どうしてこうした省エネ対策がおきざりにされているのだろうか。(S.H.)