Jeff Koons(ジェフ・クーンズ、本名Jeffrey Koons)の回顧展がパリ、ポンピドー・センター国立近代美術館で行われている。1955年アメリカ、ペンシルバニア生まれ。1980年代初頭にネオ・ポップの旗手として流星のように現れた、という記憶がある。ポップアートはもともと60年代、大衆の生活や大量生産社会を描いて時代を浮き彫りにした大きなムーブメントであったが、70年代の抑制的なミニマリズムやコンセプチュアル・アートを経て、80年代初頭ジェフ・クーンズによって再び日常社会をモチーフに、手に取るものをすべてアートにしてしまう楽観性と自由を享受する新しいアートとして出現する。自分の表現についてクーンズは、「私の作品にはポップ・アートに対して皆が考えるような世間への皮肉や作品に隠された意味などはまったく存在しない。意味があるとすれば、作品をはじめて見た人が感じるものと、作品のあいだになんの溝も存在しないことだ」。