上院議員選挙、左派歴史的な勝利 - “Le gauche frappe un grand coup”(左派、大一撃)。9月25日、上院議員選挙が行われ、第五共和制史上はじめて社会党野党連合が与党に2議席上回って勝利した。上院の過半数を左派が占めて野党の進出が裏付けられ、与党の敗退は来年の大統領選挙にむけて大きな障碍となると予想される。 新しい議席数は、左派177、中道22、右派与党148。与野党の過半数転覆のインパクトは政府構成に影響して一部の内閣改造があり、今日スポーツ大臣にダヴィッド・ドゥイエ(元柔道家)が任命された。 #拡大鏡# 議席を伸ばした左派のうち、ヨーロップ・エコロジー・レ・ヴェール(EELV)は4議席から10議席へ。中でも特筆すべきはソウルで生まれてフランスの家庭に育てられフランスへ帰化した43歳のジャン=ヴァンサン・プラセが上院に初当選。共産党古参のロベール・ユー(63歳)、社会党のセルジュ・ダソーが最高年齢の86歳で再選されたほか、上院における社会党グループの議長に、ジャン=ピエール・ベル(59歳)が抜擢された。 与野党の議席数転覆で、ニコラ・サルコジが憲法に導入しようとしていた「黄金率」と銘打った予算組み立て再考法案は規定の5分の3議席が取れなくなり、自動的に流産した。(フランス2ブログ、ル・メトロ) 教育 - 14000人の教員削減が予定されている2012年度に予想される教育条件の悪化を訴えて、現場の教職員の25%(教員組合の把握では50%)が27日に全国デモをおこなう。すでに出産率の増加で小・中学生生徒が激増して教員不足。たとえば小学校では、ハンディキャップを負った子供や落ちこぼれの補修などの専門的な知識を備えた教員が普通教員の補佐をして従来の授業時間のやりくりができていたが、教員削減はこれらの専門教師の職を奪うことが必定となリ生徒側の要求にもこたえられなくなっていくのは明白であるという。 2007年から2010年にかけてサルコジ政権下ですでに5万人の教員削減が行われており、教育の現場ではその対応に追われてきた。これ以上の大量削減は、教室の合併や補習授業の削減などの実質的な支障に拍車をかけることになる。教員の養成に努め教育の質の向上をめざすドイツと比較しても、近年フランスの子供の学業成績は低下の傾向。 サウジアラビアの革命的法改正 - 昨日サウジアラビア国王アブダラが、女性の投票権ならびに地方選挙への参政を承認。(選挙は地方選挙のみ存在する。)この国の歴史上はじめて女性が政治に参画できることになった。女性は運転禁止、手術をしたり旅行をするのも家庭の男性の許しがなければできない。地球上のウルトラ保守の国もようやく近代化へ。(フランス2TV) My opinion: フランス中心のフランスが大きく変化していく。ヨーロップ・エコロジー・レ・ヴェール(EELV)には、フランスで生まれてドイツ国籍を持ちフランスとドイツの両方からヨーロッパ議員に選ばれているダニエル・コン=ベンディット、ノルウエーのオスロで生まれてフランスでキャリアを積み、2012年のフランスの大統領候補としてEELVから出馬するエヴァ・ジョリィ、そしてこのフランス国籍を持つソウル生まれの生粋の韓国人ジャン=ヴァンサン・プラセと、インターフロンティアのメンバーの躍進が目覚しい。国籍だの血統だのなんだかんだの常識がどんどん急速度で覆っていくのを見ることができるのは、こうした「地球全体」を考える時代の寵児のおかげだと言って過言ではないだろう。(S.H.)