フランスから―環境とアートのブログ

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Posts tagged "甲状腺がん"

アクチュアリティ・日本、311

平成28年3月13日。原発事故から5年目。この間私は、非科学、非人道、不当の政府の対策に憤りと嘆きを抱き続けてきた。技術の進歩と平等の概念、培われてきたはずの叡智はどこへ。これまでの原発事故、特にヨーロッパを汚染したチェルノブイリ原発事故がのこした教訓はあろうことか為政者の逃避と詭弁に利用されることが目立ち、人を救うためには使われない。多発する子供のがんを目の当たりにして、事故当時チェルノブイリへ入ったリキダター(清算人)と呼ばれた放射能の始末屋たちが、「子供を一番先に避難させるべきだった」とのちのち悔いたのを思い出す。日本の被災地の5年目は原発事故の汚染地区と大きく重なり、甲状腺がんの多発に見る人への害は端緒を開いたばかりだという。がんを患うことで自由な未来を奪われて生きる供たち。放射能汚染地区へ子どもを縛り付け、極限の不安の中で生きることを強いる為政者の罪は計り知れなく重い。 2016年3月11日の報道ステーション。この番組を見られた方が多いと思うが、問題点を詳らかにする一つの機会としてこのブログにアップしたいと思う。

アクチュアリティ・日本 日本の緑の党、福島の子供に甲状腺がん見つかる

[大阪毎日放送の「たね蒔きジャーナル」9月11日放送の完全版。53分] [ようやく日本の緑の党発足!] ・沖縄の怒り満面の号外「オスプレイ拒否」。日本政府がオスプレイの安全性を確保する、という陳腐。オスプレイは日本の上空を7航路自在に飛び回るという。 ・岩手、福島、宮城、3県で予定されていた避難者の仮設住宅建設は2万7千戸。震災から1年半を迎えた今日、建設された仮設住宅はたったの12戸しかない。着工されているのは216戸だというが、とてもとても、34万人という避難者を救済するまでには至らない。仮設住宅にも入れずに大変な生活を強いられ続けているこれらの避難者たちはどうなるのか。政府の「無為」が浮き彫り。 ・南相馬の非難区域解除。下水はおろか水道も通っておらず、人間生活が営めない地域の現実。瓦礫は未処理のまま、公共インフラは破壊されたままの町の避難区域解除の無意味。…
アクチュアリティ、フランス日常へ

アクチュアリティ、フランス日常へ

ロンドンオリンピックが終わり、フランスも日常へ。8月、14日15日のニュース。 [アミアンで暴動]

アクチュアリティ、フランスにおけるチェルノブイリ原発事故のその後

免訴判決に甲状腺がん患者の会、失意 - 1986年4月26日に起きたチェルノブイリ原発事故の三日後、当時の放射性イオン保護対策センター長、ピエール・ペルラン(Pierre Pellerin,  Service central de protection contre les rayonnements ionisants (SCPRI) )がテレビで、フランスにはまったく放射能の影響はないと発表。同日フランス3TVの天気予報も、フランスを被った高気圧が放射能の雲を押し返しすためにフランスには原発事故の影響はまったくないという放送をした。ところが事実は翌4月30日、SCPRIが全国に布いている探知施設が放射能に反応し始め、ピエール・ペルランが3度にわたって調査をしているがこの際も報告書には放射能の影響は僅少、として国民に知らせることを怠り、政府も何もなかったように、ほかの国がしたようなヨウ素剤を配ったり野菜や乳製品を市場から回収するなどの緊急時における国民の保護措置をまったく取らず、そのまま放置した。同年5月12日、フランス日刊紙リベラシオンが、放射能の雲が国境から入らなかったとは真っ赤な嘘で雲はフランスを被って汚染しており、当局は雲の通過路に関して嘘をついた事実をすっぱ抜いた。 数年後、高度の放射能汚染のあったとみられるコルシカ島で甲状腺異常や甲状腺がんが激増し、2001年5月、 フランス甲状腺疾患患者の会 (AFMT)、放射能に関する独自な研究と情報委員会 (Criirad)、および甲状腺がん患者51人が、放射能の拡散を過少視したために甲状腺疾患が増えたとして、「過失傷害罪」で政府を相手に訴訟を起こした。しかし裁判官の オディール・ベルトラ=ジェフロワ は、「放射能とがんには、石綿のようにはっきりがんの原因となるという因果関係はなく、少量の放射能ががん患者を増やしたということは証明できない」と判決をくだした。控訴院はすでに1999年、当時の政府責任者であったシャルル・パスクワ内務大臣Charles Pasqua、アラン・コリニャン環境大臣Alain Carignon、およびミシェル・バルザック健康大臣 Michèle Barzachの3人にはすでに責任を問わないとしていた。 2011年9月7日の裁判はしたがって、 人心を惑わした容疑でもと放射性イオン保護対策センター長、ピエール・ペルラン(現在87歳)一人が訴追の対象。ピエール・ペルランの弁護士は免訴を要求して裁判所は予審が終わらないうちに免訴判決を下した。この決定に対し、フランス甲状腺疾患患者の会 (AFMT)の弁護士ベルナール・フォーは、「予審がきちんと終わる前に免訴判決が出たことで、甲状腺がん患者たちは見捨てられた思いになることは間違いなく、またそうでなくても、世論に事実隠蔽の疑いをもたせることになるでしょう」。(フランス2TV、ル・モンド紙)

La bataille de tchernobyl チェルノブイリの戦い(福島に捧げる)

La bataille de tchernobyl: Un documentaire réalisé par Thomas Johnson (94’) – Année : 2006 「ラ・バタイユ・ド・チェルノビル…チェルノブイリの戦い」 - 1時間34分ドキュメンタリー・TVフィルム、トーマス・ジョンソン監修、2006年。 注記: 以下の文章は、数分前に見た「チェルノブイリの戦い」のなかで気にかかる点をいくつか抜粋したものである。2011年は、チェルノブイリ原発事故から25周年。またこのフィルムの制作された2006年は事故から20年の区切りとなる年で、メルトアウトの危機にたいするゴルバチョフの戦いも含め、当時を振り返りまた現在を検証するフィルムとして出来上がっている。福島第一原発事故のあと、このルポルタージュはフランスで何度か再放送され、われわれの将来に向かって重要な示唆を提供し続けている。…

アクチュアリティ、チェルノブイリ原発事故、25周年

チェルノブイリ原発事故、25周年 - チェルノブイリ原発第4号機は、夜中の1時23分に爆発した。25年後の4月25日夜、ウクライナのチェルノブイリ原発の石棺近くに約300人が集い、事故で亡くなった人たちの慰霊祭を開いた。当時、事故収束のために働いたリキダター(片付け屋)も参加し、「あれから仲間のうち61人が亡くなった」、「当時は自分の身を守るより、ほかの人たちの安全のために働くほうが先だった」と回顧した。チェルノブイリ原発で仕事をしたリキダターは、83万人。うち12万人が死亡。石棺の中にはいずれはすべて廃棄しなくてはならない200トンもの核燃料が放射線を出し続けている。石棺の周辺の居住禁止区域では、現在も50倍から100倍の放射線量が測定できる。 フランス政府は何故、「放射能の雲は国境を越えてフランスには入ってこなかった」と嘘をついて、ヨーロッパのほかの国が行ったように放射能から国民を守るための対策をまったく取らなかったのか、あのときの政府の嘘はいまだに理解ができない。現実には放射能の雲はフランスを覆い、特にコルシカ島やドローム県(ローヌ・アルプ地域)方面などを汚染した。25年経った今、フランスの病理統計では甲状腺がんが4倍に増えている。当時ドローム県で薬草栽培を生業にしていたある女性はチェルノブイリ原発事故後、庭のタイムが2300ベクレルという高濃度の放射線に汚染されていることをCRIIRAD(Commission de recherche et d’information indépendantes sur la radioactivité: 放射能に関する自主研究と情報委員会。チェルノブイリ事故後に創設した)から突然手紙で知らされたという。また、甲状腺がん患者の女性は、「あの時庭に自家栽培していた野菜を食べていましたから、そのせいじゃあないかと・・・」と放射能に対する疑いをぬぐいきれない。問題は、がんの原因について、放射能だけが原因だと言い切れないことだ。ある医師は、「いろんなファクターがあり、農薬とか殺虫剤とか、ホルモンの関係とか。放射能は可能性の一つとして考えられるだけ」ともいう。チェルノブイリ事故直後CRIIRADを創設し現在ヨーロッパ議会議員となったミシェル・リヴァズィは、当時の政府の嘘を糾弾して、「子供とがんと、それからヨウ素の関係をちゃんとつかんで、取るべき処置を政府がちゃんと取らなければならなかったんですよ。放射能の雲が国境を越えなかったなんて、がんも国境を越えなかったというんですか!」(フランスTF1 TV昼のニュース) フランス政府に対し、甲状腺がん患者たちが協会を結成して、損害賠償を求める動きが高まっている。(フランスTF1 TV夜のニュース) My opinion: 1986年4月は、社会党が全国地方選挙で雪崩のように大敗し、社会党のミッテランを大統領に、内閣はシラク首相以下保守一色となって保革共存政権が確立したばかりで、シラク内閣は、それまでの社会党政治をストップさせて保守色に塗り替えようとしていた時期。 注記:TF1 TVとほかのフランスTVなどで引用されるチェルノブイリ関係の数字に若干差があるが、そのときどきの放送の内容に忠実に翻訳することにしている。(S.H.)