TF1 TV の2011年3月16日昼のニュースの内容から: Le 13 heures du 16 mars 2011 福島原発第4号機の核貯蔵プールの水が激減し、核が水面から出て外気に触れている危急の状態となったため大量の放射能が放射されはじめ、急務に当たっていた職員は全員退避せざるを得なくなった。第4号機の加熱を抑えるためヘリコプターで空から水を投下する準備がされたが、放射能が激烈なため中止。現在地上から放水が行われている。昨日二回の爆発で第2号機の核貯蔵庫が破損。密閉状態を保てなくなり放射能が流出している。フランス放射能保護インスティテュートの専門家は「特に第4号機は現在誰も制御をしていない状態。ますます悲観的な方向へ進んでいる」と状況説明をした。 この24時間で、福島から東京にかけて、日常の300倍の放射能が検出された。「 人体への影響はない」といわれているが、これは短期的にみた判断でしかなく、長期的には病気発生の確率を高める量となっている。 自然の放射線で年間人体が受ける放射線量は1から2.4ミリシーベルトといわれている。現在福島近辺で、一時間の被爆量16ミリシーベルト。水道の放射能汚染が確認されている。原発で作業をしていた職員の被爆量は、一時間で400ミリシーベルトと予想される。 以下放射線量の目安(日本の目安とは多少異なるもよう)。 平常の一年の数値: 1から2.4ミリシーベルト。 胸部レントゲン一回:  0.1ミリシーベルト。 全身CTスキャン: 10ミリシーベルト。 福島近辺、一時間: 16ミリシーベルト。 福島原発職員の一時間: 400ミリシーベルト。 ヨーロッパ1ラジオ: 太平洋のフランス領ポリネシアの人々のためにフランス本国から安定ヨウ素剤が緊急事態に備え大量空輸される。 フランス2TV: 加熱が進んで一番危険な状態にあるのは、第4号機と第3号機。水がある限りは希望がある。第2号機はメルトダウンしているものの、現在温度が安定。いったん退避した原発の職員たちは現場に戻ったもよう。フランスのレスキュー隊が仙台に100人ほど派遣されて救助作業をしているが、フランス側ではサテライトで撮った現場の写真を見ながら遭難者が流されそうな地域を推定して、フランスレスキュー隊に情報を送っている。現地では、「原発の緊急時にかんして、どのように対処するのかなどまったく日本側からの指示は来ていない」と救助隊の一人がもらした。雪と寒さ、危険な環境で作業は困難を極めている。「天皇が国民に向かって演説したのは、事態がそれだけ深刻であることを物語っている」とレポーター。 My opinion: フランスTF1テレビのみならず、フランス国営チャンネルが津波の後の原発事故の進展を追いかけ、毎回のニュースで進展を詳細に説明しようと懸命になっている一方で、日本の日本人の反応が冷静すぎてかえって世界の心配をかきたてている。「日本国内の日本人は本当にちゃんとした情報を得ているの?」というのが大半の疑問とするところだ。フランスのTVニュースでは、在日外国人や政府の情報に不信感を持っている日本人は外国放送をインターネットでキャッチしているということも報告された。昨日の段階でフランスの放射能安全委員会は福島原発事故をレベル6に指定しているが、どうしたら核の暴走を食い止められるのか。それにしても命を懸けて仕事をしている原発職員の勇気には頭が下がる。世界のメディアが「ヒーロー」と形容している。その職員たちも退避するような状況で、われわれはいったい何をすればいいのだろう。フランスTVの司会者に「チェルノブリイ事故以上の惨事になるか?」と質問された原子力開発研究者は、みな誰もしどろもどろ。はっきり「それはありえない」と言ってくれないところが実に厳しい。 今日のTF1は、レベル7のチェルノブイリ事故で放射能の雲が数千キロ離れたところまで汚染した事実を、ヨーロッパの地図の上を移動する雲の映像をCGで見せて放送している。1986年事故当時のフランス政府は、「放射能の雲はフランスの国境から一歩も入らなかった」という表明をして国民の生活を日常どおり営ませ、ほかのヨーロッパの近隣諸国がやったように甲状腺保護のためのヨウ素剤を配って最低限の国民の健康の安全をはかることも、また市場から野菜や牛乳などすぐ汚染されそうな食料品を回収することもしなかった。今フランスが日本の原発事故に敏感に反応しているのは、結局、長期の放射能被爆でガンなどの病気が増えていることと事実隠蔽をした政府へ国民が反駁していることも根底にあることを否めない。フランス国境でとどまるどころか、チェルノブイリの雲は南のピレネー山脈の一部を除くフランス全土を覆っていたことを知らしめるフランスのTV映像は、事故から25年経った今日はじめて見た。(S.H.)