フランスから―環境とアートのブログ

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Posts tagged "憲法"
ケブランリー美術館からパレ・ド・トーキョーへ

ケブランリー美術館からパレ・ド・トーキョーへ

ケブランリー美術館 パリ郊外線RERC線のポン・ド・ラルマ駅。エッフェル塔に抱き込まれるように建てられた細長いケブランリー美術館で現在、開館10周年記念展が行われている。 フランスの脱植民地化への時代の流れとともに、西欧やフランスからは植民地の民芸として紹介されてきた第三世界の作品たちが西欧諸国の芸術と同列に肩を並べるよう、芸術の平等への思い入れを込めて創られたケブランリー美術館創設への動きが、ジャック・シラク元大統領の足跡とともに時系列で示されている。  ケブランリー美術館10年展、展示パネルの一つから「2002年」 「ヒューマニズムとしての芸術文化、

アクチュアリティ、論争「国籍抹消」拡大法

テロリストと見なされるフランス人のフランス国籍抹消法を明文化して憲法改正へ、論争激化と政府回答 同時多発テロで130人が殺された3日後の11月16日、オランド大統領がベルサイユ会議で発表したテロ対策のうち、危険人物と見なされた人間のフランス国籍抹消の拡大案を新しく憲法に盛り込むことについて、各方面特に社会党内部から反発が寄せられている。 国籍没収の内容は「テロリストとみなされた人間のフランス国籍を抹消させる。たとえフランスで生まれたフランス人であっても、危険と特定した場合は、国はその人物のフランス国籍を取り上げることができる。二重国籍の場合も同様で、国外追放を義務とする」というもの。社会党や共闘左派のあいだからは、「フランス社会主義の人道的な人間の価値観をないがしろにした右よりの判断」という批判が上がっており、法務大臣のクリスチアンヌ・トビラが数日前訪問先のアルジェリアから、「フランス国籍抹消の拡大案は放棄される」と表明していた。しかし、オランド大統領は昨日、反対意見を退け、国籍抹消の拡大案をそのまま続行して憲法改正へ持ち込む方針を明らかにした。
日本・問われる今の政治、日本のGDP消えた一兆ドル

日本・問われる今の政治、日本のGDP消えた一兆ドル

日本の有権者は約一億人だという。つまり投票率1%は100万人に値するのだ。何十万票あるいは何万票で当選する議員がいるとすれば、投票率を1%上げただけでも当選者を変えることが可能になるといことだろう。とくに小選挙区制では、一票の差が勝敗を決めるから、自分が思い描く社会に現実を近づけようとしてくれそうな立候補者がいたら放ったらかしていてはいけない。選挙に行こう!が再び合言葉である。かくいう私は昨日投票を終えました。…

アクチュアリティ・日本、集団的自衛権から集団安全保障へ歪曲

2014年7月1日、違憲にも値するはずの集団的自衛権行使容認が閣議決定されて二重に国民が置き去りにされた日からこっち、筆者もだいぶ心理的に打ちのめされてしまった感がある。時間をおいてようやく気を取り直し、今日も「アクチュアリティ・日本」。集団的自衛権に対する集中審議、あっという間に軍需品を海外へ売り出す日本の大企業、そして川内原発再稼動等の特集です。 更新2014年7月20日、追加「東京新聞」  

アクチュアリティ・日本

集団的自衛権容認を7月1日には閣議決定する勢いの安倍政権。私は当初から「解釈」変更には大反対の立場だ。解釈を変えることそのものが違憲であると考えている。 例えば多国間の条約等は、その当事国が条約内容を同じように解釈するから条約が成立するのである。つまり、条約締結をした国がそれぞれ勝手に条約の意味を解釈して行動をしてしまうと、条約そのものが成り立たなくなるのは当然のことだ。したがって、国際世界においては勝手な法の解釈やおおもとの解釈の変更は決して許されないのである。例えばヨーロッパ連合の場合、ヨーロッパ議会の制度がEU参加国にきちんと同じように理解され、同じように施行されているかどうか、各国の施行状態と「解釈」の程度を監視する組織がある。例えば人権に関して、フランスが人権を守るのと同様にイギリスもドイツも人権を守っているかを、微細に監視している。一国の政府より上の立場から、総括的かつ概念的にその政府の動向を監視し修正するこうした機関が日本にも必要なのではないかと考えるが、EUのような他国と足並みをそろえていかなければならない大きな国際圏がない日本はどうすればいいのだろうか。 個人的にも、法的知識は学部の学生程度のものが残っていれば良いほうだと思う筆者だが、基本的人権、恒久平和、民主主義の三原則をいただく日本国憲法には、フランスの人権宣言にも匹敵するすばらしい憲章のごとき格調の高さを感じている。この格調高い日本国憲法を変えて軍需産業へ向かいたいのか、憲法改憲の手続きである憲法代96条の変更を提起しておいて、これが難しいと思うと、一足飛びに集団的自衛権の話に飛んで改憲をはぐらかし、「解釈」変更という、これ事態が違憲と思われる方向へ論議を押し流した。閣議決定などという国民の手から大きく離れたところで決定することも「違憲」。違憲だらけの集団的自衛権論議。国会議員衆議院475人、参議院は242人いる中で、ようやく正当な論理で反対を申し立てる議員が一人現われた。…

アクチュアリティ・日本、参議院選挙

更新:2013年7月8日:福島第一原子力発電所の海側の井戸の水の放射能が日々高濃度に(過去最高の60万ベクレル)。不思議なことに現政府の対応は無し? ---- 2013年7月1日付けで、在フランス、日本大使館からメールで参議院選挙が告知された。日本の投票日は7月21日の予定だそうだが、在仏日本人には7月5日から14日までのあいだに大使館で投票する運びとなるそうだ。7月4日の参議院選挙立候補者の公示の翌日から投票、という慌しさ。衆議院選挙も日本より先立ち、なかなか方向を見分けるのは難しかったが、こうしたぎりぎりの日程のなかで、各党の選挙公約を隅々探る時間はごくわずかしか残されていない。

緊急問題TPP、プルサーマルの現実、夫婦別姓の権利

更新:2013年6月24日: ビデオ、今日のセレクション: 緊急問題、TPP参加。アメリカ企業のターゲットになり日本の主権を売り渡す瀬戸際のTPP参加、誰もメリットを説明できない参加をなぜ安倍政権が進めるのか。国民健康保険制度が崩れていく…。どうすれば避けられる? (S.H.)

二つの射殺事件(3)、サルコジ大統領暴走

8月2日、サルコジ大統領と右派政府の、国家の安全の名の下にエスカレートした犯罪にたいする刑罰の「提案」内容について、早速、憲法をつかさどる国務院や憲法学者から「違憲」の声が上がった。 1. フランス国籍を有している外国人が犯罪を犯した場合、犯罪者のフランス国籍を剥奪するという刑罰は、「フランス憲法は、フランス国籍を有するものはその出自や宗教を問わず、法の名に置いて平等に処せられる」という基本法を無視するするものとして、違憲である。出自が外国人だということでフランス国籍を剥奪することは、フランス市民を二つのカテゴリーに分類してしまうことになる。(差別の元となる。) - 平等である法の前では、フランス人が同じ犯罪を犯した場合、フランス人の国籍も剥奪する(無国籍にする?)ことになるのか。あるいはサルコジ大統領は、憲法改正を要求することになるのか。 2. 未成年が犯罪を犯した場合、その両親が禁固刑の実刑を受けるというサルコジ派の提案に対し、「フランス憲法は罪を犯した当事者のみがその罪の償いをする」ことを明記しているので、これも「違憲」。 - それでは、やはりサルコジ大統領は憲法改正を要求することになるのか。 我田引水的に刑罰を国籍剥奪や移民問題に結びつけ、憲法を飛び越えて法案化へ先走るサルコジ大統領と右派政府には、野党を含めあちこちから「吐き気がする」、「嫌悪すべき大統領演説」といった意見が投げかけられている。 My opinion: すでにほかで、2007年サルコジ大統領は就任早々ナショナル・アイデンティティーを問題に取り上げ、フランス人であることを改めて証明しない限りは、パスポートや身分証明書の更新(双方とも10年ごとに更新をするのが決まり)をしないという通達を出し、このために多くのフランス人が迷惑をこうむっていることを述べた。 両親も祖父母もフランス人で家族もみなフランス人なのに、ただイギリスで生まれたという事実だけでパスポートの更新ができない、という人のブログがあった。母親が妊娠しているときにイギリスにいて、現地で出産したというだけのことらしい。フランスからのパスポートが出ないので困窮したその人は、一度も住んだことがなくまた税金も払ったことのないイギリスへ思い立ってパスポート申請をしたところ、すぐに郵便で送られてきたという。ヨーロッパでは生まれた土地の権利が発生する。その権利に訴えたというわけだが、フランスで税金を支払っていても、生まれた土地ほどの権利の補償にならない、ということを証明するような話しだ。この事例は一つの事例に過ぎないが、サルコジのナショナル・アイデンティティー条例のせいで、更新がややこしくなり、必要書類の捏造が増えたというもっぱらのうわさだ。 フランスは植民地などの歴史的な因果関係で多くの外国人がフランス国籍を有する。また国籍取得権利と国の独立がかみ合わず、フランスで働いて納税していながら、滞在許可証さえ発行されず、国外にも身分証明がないので出られないという人々もいる。人間の不平等を抱えたまま、それを解消するどころかますます激化するサルコジ政権である。(S.H.)