フランスから―環境とアートのブログ

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トランプ公約に揺らぐ世界、パリ協定と核武装

トランプ公約に揺らぐ世界、パリ協定と核武装

反転か? 世界の方向 -「気候変動は、中国がデッチ上げた嘘だ」、「北朝鮮対策には、日本に核武装をさせればいい」- 11月8日のアメリカ大統領選挙でドナルド・トランプが当選したことによって、未来の何もかもが不確定の中に投げ込まれた感のある世界。世界がこれまで進めてきた様々な約束をことごとく否定し、前時代的な提案をし続けてきたトランプ選出で、例えばBBCの第一声は「アメリカは後退を選んだ」、オランド仏大統領は「不確実な時代が始まった」だった。
差別雇用で、実は企業が大損

差別雇用で、実は企業が大損

有色人種、女性、身障者、老齢者などに対する企業の社員雇用の差別が、フランス全体で1500億ユーロの経済損失を生んでいることがわかった。 差別雇用をなくせば、20年でGDPを6.9%上昇させられる France Stratégie(首相付インスティテューション:Commissariat général à la stratégie et à la prospective (CGSP))が9月20日に労働相に提出した画期的な報告書は、 労働市場での差別が招く経済的な影響を調査したもので、驚くべき数字が明らかになった。差別を少なくすれば、この先20年で、GDPの3.6%(800億ユーロ)から14,1% (3100億ユーロ)の成長を見込むことができるというものだ。
アクチュアリティ

アクチュアリティ

[更新:2013年8月29日、フランス2TVのニュース、ルモンド記事追加] [マーチン=・ルーサー・キング、ワシントンDCの演説からきょうで50年] http://tv.msnbc.com/2013/08/28/civil-rights-photographer-the-march-on-washington-was-only-a-beginning/ マーチン=ルーサー・キングの有名な演説から50年目の今日、アメリカの大統領に黒人オバマ大統領が就任していることに感慨を覚えるかのように、フランスTVでは昨日から記念日に触れている。1963年8月28日、ワシントンDCで行われた彼の演説にはアメリカ各地から黒人が、そして黒人のみならず白人も地面が見えなくなるほど詰め掛けた。白人と同じバスにも乗れず、レストランにも入れず、トイレまで別々の差別以上のセグレゲーションを黒人が受けていた時代に、人種差別を超える時代が来ることを願ってMLキングがここで5回繰り返した「I have a dream」は今もなお深く人々の心に刻み込まれている。

黒人ジャーナリスト誕生

フランス初の黒人TVジャーナリスト登場は2006年 ここ4、5年のフランスの目だった変化のひとつに、報道関係や管理職、また政治に有色人種が登用され始めたことが挙げられるだろう。 フランス語の外国人という意味の「エトランジェ」ということばには独特の響きがある。どこか一種、放浪者のような身の軽やかさをかかえた人々を思わせるところがあって、美しくさえ思えたのはフランスに来る前のことだった。フランスに来てからは自分がエトランジェと呼ばれる立場になって、意味するところががらりと変化した。旧被植民地国からの移民や経済移民、また亡命などでフランスには大量の外国人がいる。正統なフランス文化を守ろうとするフランス人にとっては外国人とは何なのか。…

二つの射殺事件(3)、サルコジ大統領暴走

8月2日、サルコジ大統領と右派政府の、国家の安全の名の下にエスカレートした犯罪にたいする刑罰の「提案」内容について、早速、憲法をつかさどる国務院や憲法学者から「違憲」の声が上がった。 1. フランス国籍を有している外国人が犯罪を犯した場合、犯罪者のフランス国籍を剥奪するという刑罰は、「フランス憲法は、フランス国籍を有するものはその出自や宗教を問わず、法の名に置いて平等に処せられる」という基本法を無視するするものとして、違憲である。出自が外国人だということでフランス国籍を剥奪することは、フランス市民を二つのカテゴリーに分類してしまうことになる。(差別の元となる。) - 平等である法の前では、フランス人が同じ犯罪を犯した場合、フランス人の国籍も剥奪する(無国籍にする?)ことになるのか。あるいはサルコジ大統領は、憲法改正を要求することになるのか。 2. 未成年が犯罪を犯した場合、その両親が禁固刑の実刑を受けるというサルコジ派の提案に対し、「フランス憲法は罪を犯した当事者のみがその罪の償いをする」ことを明記しているので、これも「違憲」。 - それでは、やはりサルコジ大統領は憲法改正を要求することになるのか。 我田引水的に刑罰を国籍剥奪や移民問題に結びつけ、憲法を飛び越えて法案化へ先走るサルコジ大統領と右派政府には、野党を含めあちこちから「吐き気がする」、「嫌悪すべき大統領演説」といった意見が投げかけられている。 My opinion: すでにほかで、2007年サルコジ大統領は就任早々ナショナル・アイデンティティーを問題に取り上げ、フランス人であることを改めて証明しない限りは、パスポートや身分証明書の更新(双方とも10年ごとに更新をするのが決まり)をしないという通達を出し、このために多くのフランス人が迷惑をこうむっていることを述べた。 両親も祖父母もフランス人で家族もみなフランス人なのに、ただイギリスで生まれたという事実だけでパスポートの更新ができない、という人のブログがあった。母親が妊娠しているときにイギリスにいて、現地で出産したというだけのことらしい。フランスからのパスポートが出ないので困窮したその人は、一度も住んだことがなくまた税金も払ったことのないイギリスへ思い立ってパスポート申請をしたところ、すぐに郵便で送られてきたという。ヨーロッパでは生まれた土地の権利が発生する。その権利に訴えたというわけだが、フランスで税金を支払っていても、生まれた土地ほどの権利の補償にならない、ということを証明するような話しだ。この事例は一つの事例に過ぎないが、サルコジのナショナル・アイデンティティー条例のせいで、更新がややこしくなり、必要書類の捏造が増えたというもっぱらのうわさだ。 フランスは植民地などの歴史的な因果関係で多くの外国人がフランス国籍を有する。また国籍取得権利と国の独立がかみ合わず、フランスで働いて納税していながら、滞在許可証さえ発行されず、国外にも身分証明がないので出られないという人々もいる。人間の不平等を抱えたまま、それを解消するどころかますます激化するサルコジ政権である。(S.H.)

フランスの小都市からロンドンへ職探し

6月8日付けのTF1テレビニュース、報道タイトル - 「ロンドンは若い失業者のエルドラド?」 欧州連合から援助を受けている協会の助けで、フランスの地方の移民が集中する町で失業している若者たちをロンドンへ送るというプランが実行され始めた。移民の若者がフランスで職を得るチャンスは少ない。こうした若者に未来を提供しようと、協会が3ヶ月の英語教室を開いて特訓し、また同じ町からアメリカへ行って自分の道を切り拓き、博士課程を取ってワシントン大学で仕事をしている黒人講師を招聘して質疑応答をするという機会を作り始めた。 「ほかの国なら希望がある?」「チャンスが多い?」こうして短期間の特訓を終えた20人の若者たちは、ロンドンへ移動し、早速職探し。ロンドンではCVを持ち歩く必要もないし、職をオファーしているところへ行って話し合い、一日で雇用されるものも出てきた。「フランスのように週35時間労働の基準など無く、ロンドンでは40時間以上働くけどちゃんと時間に見合った給金がもらえる」とニコニコ顔だ。 My opinion: フランスとイギリスの雇用の仕方の違いは大きく、むかしからよく比較されてきた。特に外国人移民の雇用については、このルポルタージュが示すように近年頻繁に問題として取り上げられながら、フランスの雇用段階で起きる差別は根強い。履歴書に書かれた名前がフランス系ではないというだけで、雇用対象からはずされることが頻繁に起きる。そのため、国が、名前を隠して履歴内容だけで審査するよう指示をするなどの法案をだしたほどで、フランス国籍を持っているものですら移民にとってはまだまだ社会の壁は厚い。このルポルタージュに出てくる若者にとって、仕事を見つける際にCVや名前の出自などは不必要、たった一回の面接で雇用が決まる、などということはほんとうに正真正銘の夢だったにちがいない。「ロンドンはエルドラド(黄金郷)?」それでは、「フランスはいったい何?」。 欧州連合で国境が取り去られて、移民もほかの国へ移動がしやすくなった。国は、移民対策に汲々としまたフランスの悪習慣修正に四苦八苦しなくても、本人たちの意思でまた満足のいく形で移民に国外へ出ていってもらうことができるようになったわけだ。こうした外国への職探しなどというお助けシステムができたおかげで、かえって差別問題の解消へ向かってこの国がしてきた努力にブレーキがかかってしまうのではないかと懸念するのは私だけだろうか。 ロンドンで就職口が簡単に見つかって笑顔を見せるその影にかくれた大きなフランスの差別問題。この20人の中に一人でもフランス系のフランス人が混じっていれば、私も「失業対策」として聞き流したかもしれないが、20人ともトゥルコワン市の公団住宅に住む北アフリカからの移民の若者たちで、彼らの中にフランス社会に対する大きな障壁や引け目があるのをインタビューからも感じとれたことで、「フランスはいったい何か?」という話になった。「ロンドンは若い失業者のエルドラド?」。はたして、フランスが「エルドラド」になる日は来るのだろうか。(S.H.)

アクチュアリティ

USBドライバー - エロー県セト市で、中学校一年生(フランス流には6学年目)を対象に、教科書の代わりにUSBドライバーを持って通学する試みが始まった。日によっては8キロから10キロの重さの教科書を入れたかばんを持って毎日通学しなくてはならない生徒の肉体的な負担を軽減する目的も含めて、コンピュータを利用できる日は、分厚い教科書の代わりにUSBドライバーを持参。国語(フランス語)、英語、数学などはこの方法で十分だし、授業もコンピュータ指導でまったく問題ないと先生方も奨励。早速、小学校6年生から実行してほしいという要望が出ている。 沿岸漁業 - 農業と同様、沿岸漁業の衰退が問題化している。後継者がおらずまた後継者養成もできず、魚も獲れなくなり、離職が急増。海岸線は漁業が消滅して観光業に入れ替わる日も間近といわれはじめている。 ブルカ - 司法的な根拠がまったくないとして国務院が反対する「公共の場で顔を隠すことを禁止する法案」が通過する見込み。このニュースで一気に、イスラム系のブティックではブルカやニカブが飛ぶように売れて、売り切れ。ブルカ禁止法に対するレジスタンスかと見られている。ブルカやニカブを日々着用する女性たちは、家に閉じこもるか着用を止めるか選択を迫られているとおもいきや、実際は、そのほとんどが罰則を受けても「このまま着続ける」と主張しているらしい。 これに対し当局側は、民主主義とはみんなが顔を出して歩ける社会のことだということを女性たちに教育する必要がある、と 表明した。 すでにブルカ禁止法案を持ち出した当初、野党議員から、「サルコジ大統領は、ほかにいくらも大事な問題があるときに限って、ポンと関係のない問題を投げかけては、論争を引き起こして問題をごちゃごちゃにする。あれは性格ですかね」と手厳しい非難を受けている。実際ほかにも「ごちゃごちゃ」と問題を提起して、むやみに国会で論争を戦わせ時間を浪費している。たとえば、大統領就任早々、「ナショナル・アイデンティティ – Identité nationale」なる問題を持ち出した。これは、今までフランス人と認められていたフランス人に対して、身分証明やパスポートの更新の際に、あらためて「フランス人であることを証明」するよう要求するもので、更新手続きが複雑になり、やたら多くのフランス人が迷惑をこうむっている。この問題に関しては、また新しいページで追求しなければならないだろう。

アクチュアリティ

フランスの今日: ブルカ - サルコジ大統領がブルカ禁止を内閣に持ち出して以来、あちこちで問題がおき始めた。ニカブをかぶって運転していた女性が警察に捕まり罰金(視界がさえぎられるものを着用しているという理由で)。昨夜は、マルセイユから数十キロ離れた町のイスラム教寺院を何者かが銃撃。30あまりの弾痕が発見された。 火山 - アイスランドの火山噴火による航空機や旅行者への被害は、2億6千万ユーロという発表。まだ外国から戻れないフランス人が数千人いるもよう。ちなみに市街への火山灰の影響は今のところまったくなく、パリは青空の好天が続いている。 ギリシャ - ギリシャの大きな負債による経済恐慌は、ユーロ圏からギリシャ脱退を懸念させるまでにいたっている。ギリシャは、EU やFMIに450億ユーロの借用を請願。ちなみにギリシャ国内では消費税が19%から21%へ値上げ、給料凍結で、デモ続出。 28日、ポルトガルも経済危機に陥りつつあり、ドミノ式に軒並みユーロ体制を揺るがすのではないかといわれ始めた。ギリシャはゼネストに突入。5月中旬までに90億ユーロを返済しなければならない。EUからの救済金貸付は、ドイツがブレーキをかけている。 ベルギー - ベルギー人が「子供のけんか」と呼ぶ昔ながらのフランス語圏とオランダ語圏の対立が悪化。首相が辞任した。オランダ語圏がフランス語圏の住民を圧迫。 28日、7月にEUのリーダーシップをとらなければならないベルギーがこの状態で、予想つかず。 パリ - 27日、全国から5000人の農業経営者たちが結集して1000台のトラクターでパリ市内へ入るため、あちこちで交通遮断が行われる。昨年の収入半減で立ち行かなくなった経営者が国へ援助を求める大々的なデモ。ヨーロッパはあっちもこっちも混乱気味。 28日、結局、パリへ集結した農業経営者は1万人近く。トラクターは1400台と予定を大きく上回り、パリジャン、パリジェンヌたちは手を振って迎え農業経営者たちのデモを好待遇した。穀物の価格急落による収入減は50%を上回り、早急に政府援助金が出ないと、1万3千人の農業経営者が失業する。