フランスから―環境とアートのブログ

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増税 - 急務、フランスの負債軽減のため、政府はきのう、増税の決定を発表した。不動産はセカンドハウスを中心、タバコ、酒類はもちろん、はじめてコーラなどの清涼飲料水にも税がかけられることになり、一斉に間接税増税。遊園地の観覧料値上がり、また特別税として、年間50万ユーロ以上の高所得者を対象に、所得税増税。VAT税や一般の所得税は上がらないが、保険類にかかるの税金が上がることで家計に負担が出ることは必定となった。今回の増税で政府は110億ユーロの節約を見込んでいる。保守全体は、思い切った増税を賞賛。一方、野党社会党のフランソワ・オーランドは、「やっつけ仕事にしか見えず、政府の想像力欠如がありありだ」と批判。 付け加えるならば、サルコジ大統領は金持ちに有利な税法を作り、国の負債処理をしりめに、TOTALやピノ財団、ロレアルなどのトップレベルの高収入者に巨額の税金を「返済」したばかり。今回の50万ユーロ(約6000万円)以上の高額所得者への増税は、政府節約分の3%しか占めず、金持ち優遇の政府姿勢を保ち続けている。一方で保険類の税金が高騰することで、社会保障のうち健康保険制度が返済しない分を補う共済保険が値上がりし、低レベル所得者の家計へ直接の負担が増えた。健康保険の赤字が大きく、国の健康保険の医療費負担率が激減しているため、共済保険による払い戻し分がますます増え、共済保険料も値上がりしている矢先の増税だ。 失業者、3ヶ月続けて増加 - 先月一ヶ月の失業者数は3万6千人。合計276万人の失業者をかかえ、10年ぶりの最悪を記録。ちなみにこの一ヶ月で女性の失業者1.6%増加したのに対し、男性の失業者1.2%増。景気が悪いと女性の失業者が増える傾向にある。失業期間も男性に比べて長く、また長期採用も少なく、全体に男女差別があることを否めない。長い失業で自信喪失する傾向が強い。 DSK、自由に - 8月23日、ニューヨーク市裁判所がドミニク・ストロス=カンの訴追の全面放棄を言い渡した。5月14日、婦女暴行容疑で捕らえられて以来、DSKのニューヨーク検察側からの追及はこれで終わりを告げたことになる(正確には30日後)。暴行にあったと言い張る被害者のナフィサトゥ・ディアロは、祖国のギニアで集団暴行されたことを理由にアメリカのビザを取得したが、集団暴行はまったくのつくりばなしであることが判明。またアメリカの扶養家族手当を受けるために娘が一人しかいないにもかかわらず、2人の子供がいるという虚偽の申請をしていた。実生活も、麻薬の運び屋との交渉があるなど、交友関係に不審な点があり、また事件の陳実にいたっては、毎回の召還で証言が微妙に食い、検事側に不信感を植え付け始めていた。アメリカの陪審員制度では全会一致が原則で、DNA鑑定などの物的証拠があるにもかかわらず、検察側がリスクを回避したという見解がジャーナリズムの大勢を占めている。 ニューヨーク検察の追及はこれで終わったようなものだが、ナフィサトゥ・ディアロは8月中旬にDSKに対し、賠償金を要求する民事訴訟を起こしており、DSKへの民事追求はこれから賠償問題で続く見込み。 フランスは、ナフィサトゥ・ディアロが検察に召還された22日月曜から、DSKのニュースで沸き立っている。一方でアンケートによるDSKの支持率は急降下。世界のトップの地位、名誉、人気のすべてを喪失した。(フランス2TV、BFM TV)

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世界の政治経済を震撼、国際通貨基金の代表ドミニク・ストロス=カン、婦女暴行容疑で逮捕 - 世界の重要人物から奈落へ転落。ドミニク・ストロス=カン逮捕は、政治経済への大津波を引き起こしている。フランス社会党員として重要な位置を占め、現在国際通貨基金のトップとして世界経済に深くかかわっているドミニク・ストロス=カンが15日、ニューヨーク空港からパリに向けて出発しようとしていたエール・フランス機のなかでニューヨーク警察に逮捕された。容疑は婦女暴行と強姦未遂。タイムズスクエアーのホテル、ソフィテルに宿泊していたドミニク・ストロス=カンが、ホテルの従業員女性32歳に暴力をふるい強姦をしようとしたが、女性が抵抗したためホテルの部屋に監禁したというもの。逃げ出した従業員の女性が警察に届け、出発直前のエール・フランス機内のファーストクラスにいたドミニク・ストロス=カンが逮捕された。 ドミニク・ストロス=カンはアメリカの敏腕弁護士を2人つけて昨日裁判所に出頭したものの、ジャクソン裁判官は弁護士が提案した保釈金百万ドルを却下。「飛行機に乗ってフランスに逃げようとしていた」ことや、「もう一件似たような事件を過去に起こしている(前歴がある)」などを理由に5日間は監獄にとどめおくことを決め、ドミニク・ストロス=カンは留置所へ護送された。 事件の真相はどこに? 暴行された女性は3年前からホテルで働いているプエルトリコ人ともアフリカ系とも言われ、ブロンクスで娘と二人暮らし。まだ報道へ姿を現しておらず、この女性の陳述だけが逮捕の理由となっている。内容は、正午ドミニク・ストロス=カンの部屋へもう誰もいないものと思って入ったところ、ドミニク・ストロス=カンが真っ裸で風呂から出てきて、いきなりこの従業員を襲ったため、抵抗して逃げようとしたところを軟禁されようとしたので力ずくで逃げ出したという。警察は、「この事件直後、ドミニク・ストロス=カンは慌ててチェックアウトをして空港へ逃げ出し、飛行機に飛び乗ったところを捕まえた」。 ところが、フランスの報道の調べでは、ドミニク・ストロス=カンはコロンビア大学にいる娘とマンハッタンで昼食をとるために12時半ごろゆっくりチェックアウトをし、そのあと乗り込んだ飛行機は何日も前からリザーブしてあったエール・フランス機で、翌日ベルリンでドイツ首相のアンゲラ・メルケルとの会談やユーロ圏の経済支援会議を控えており、ドミニク・ストロス=カンにしてみれば予定通りの行動をとっていただけだという。 通常1時にホテルの部屋を清掃しに入る従業員がなぜこの日、12時に部屋に入ったのか。また、すでにほかの従業員が朝食の食器を下げに部屋に入っている形跡があり、暴行されたという女子従業員は1人ではなかったとも見られている。また、ホテルの部屋に忘れたケイタイのことを思い出し、飛行機出発前にホテルへ電話をしたのはドミニク・ストロス=カン自身だった。この電話で警察がドミニク・ストロス=カンの居所を知って逮捕に駆けつけた。警察の顔を見たドミニク・ストロス=カンは、「いったい何のことだ?」と訊いたという。 17日の今日、国際通貨基金の代表ドミニク・ストロス=カンを交えて行われるはずだった欧州経済会議では、巨大な負債をかかえるギリシャを中心にユーロ圏への国際通貨基金の援助が主題となっていたが、すべてが停滞。議員たちは欧州議会の混乱を鎮めることで精一杯だ。 またフランス社会党への事件の衝撃は強烈で、社会党書記長のマルチーヌ・オーブリィは、「雷に打ちのめされたような大ショック。社会党は一丸になってこの困難に立ち向かっていかなければなりません」。実際、国際通貨基金のトップとして精力的にワシントンで仕事をしているドミニク・ストロス=カンは、もともとフランス社会党員の重鎮でもあり、2012年のフランス大統領選に向けての世論調査では、ドミニク・ストロス=カンが出馬すればサルコジやほかの候補者をダントツに抜いて大統領当選確実といわれてきた人物である。これから社会党が決める大統領候補決定会議にむけ、ドミニク・ストロス=カンを交えて将来の予定がたてられていく方向にあった。 アメリカからの手錠姿のドミニク・ストロス=カンや、裁判のテレビ実況中継は、フランスに二度目の大津波を引き起こした。フランスでは、有罪とされるまでは容疑者は無罪とみなされるから、容疑段階での手錠姿をTVで映し出すのは違法であるし、また裁判の放映も許されてはいない。冷静にお国柄の違いを説明しながらも、アメリカの報道スタイルにフランスは震撼。「(手錠姿を見るのは)残酷すぎて耐えられない」と社会党議員。「胃の中に刃物を突っ込まれるような痛みを覚える」とピエール・モスコビシ。「問題なのは、ドミニク・ストロス=カンがまだなにも発言していないことで、真相はまだわれわれに知らされていないことです」。 また近親者たちからは、「一瞬たりとも信じられない」。「罠に嵌められたか」という声も。ニューヨークの裁判で言及された「前歴」とは何なのか、これも明らかにはされていない。ドミニク・ストロス=カンは女性関係がメディアに取りざたされたこともあったが、刑事責任を問われるような前歴はない。「フランスのイメージがかなり落ち込みます」と与党。ちなみに、サルコジ大統領はこの事件には、一切コメントをしていない。 ドミニク・ストロス=カンはすべてを否認。しかし弁護士は、「戦いは始まったばかりです」。婦女暴行や軟禁などの罪で75年の刑が見込まれるという。(フランス2TV、TF1TV、BFMTV、総合翻訳) 18日朝のニュースによれば、CSA(視聴覚高等評議会: Conseil supérieur de l’audiovisuel)のアンケートで、フランス人の57%がDSK ドミニク・ストロス=カン事件を「陰謀」によるものと考えているという。一方、アングロサクソン系(イギリス、アメリカ)の報道は、DSKにたいする厳しい批判が多数を占めている。(フランス2TV、2TVブログ)