フランスから―環境とアートのブログ

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Posts tagged "外国人"

オーランド政権、次々に選挙公約実現にとりかかる

住宅問題と移民問題:…

有色人種の政治家誕生、2007年

さてフランスの政治の話である。 フランスがアルジェリアを独立させた1960年代、アルジェリアを含めフランスの旧植民地のアフリカ人たちが大量にフランス国内へ流入してフランスの職業を脅かし始めたため、フランス政府は慌てて政策を立てたというフランスの労働法に関するTVの歴史番組が数年前にあった。おっ、これは大事、と思いながら番組を見たが、録音もせずまたメモもしなかったため、このとき制定された法律の名前も制定年もはっきりしないのが残念至極である。しかしここでは今のフランスを説明するのに重要と思われるため、あえて引用をしたいと思う。 1960年代に制定された労働法に関する法律とは、雇用について、「フランス人でなければならない職業」を分別し明文化したもので、あらゆる職種をこと細かく分類し、全職種の20%以上の職業、殊に、教育、政治、公務員管理職、公社の管理職、医療、司法その他、指導的立場に立つ職業に就く者はすべてフランス人でなければならない、という内容で成立したものだ。職種の「20%」というのだが、当時のフランス社会は公務員社会という形容にふさわしく、国が大多数の株を所有して采配していた大手企業はもとより、私企業は少数派にすぎなかったため、就職口の絶対数から言えば、フランスの大多数の雇用がかかわっていたとみなさなければならないだろう。こうして法的に一線を設けることで、フランスは外国人の侵略からフランス人の雇用を保護した。…

アクチュアリティ、フランス国籍

フランス国籍剥奪に関する法律、批准 - 7月のグルノーブルでの大統領演説が発端の、外国人のフランス国籍剥奪案に政府結論。 外国人でフランス国籍を取得しているものがある種の犯罪を犯した場合にフランス国籍を剥奪するという提案をした大統領の演説から2ヵ月半経った今日、細則を決めた国籍抹消法案が過半数可決で国会を通過した。「与党議員が100%国籍抹消法案に賛成投票しなかったのは多少心外だが、法案は多数決で通った。当たり前だ」と移民大臣のエリック・ベソンの言。一方、これに対立する野党側は早速、国務院に再審を求める方針を決めた。 またフランスは、外国人、ヨーロッパ人に限らず、フランス滞在が違法か否かはフランス当局が判断することであり、他国の関与は認められないとし、現在の強制国外追放政策は緩めず続ける態度を明らかにしたという。 ブラッセルのヨーロッパ議会は、ヨーロッパ連合の規約で自由通行が許されるヨーロッパ人がフランスで国外強制追放になること(ここではロムの問題)に遺憾の意を強め、フランスを攻撃する姿勢をみせている。こうしたヨーロッパとフランスとの溝が深まる中で、「こんな国にいるのが恥ずかしい」と発言したのはフランス系ヨーロッパ議員。 国籍剥奪に関する法律の批准、国外追放の強化によって、フランスはヨーロッパの中でも外国人政策が一番厳しい国の一つとなった。 (フランスTV、アルジャズィラTV、スカイ・ニューズ)

二つの射殺事件(6)、ロムの強制送還

フランスの毎日のニュースから、「放浪者」たち -「ロム」の国外追放、「旅行をする人々」ボルドーで権利主張: 7月中旬、「旅行をする人々」の1人がバリケードを破ったところを機動隊員が射殺するという事件が起き、一気にクローズアップされたこれらの放浪者たちが、事件以来問題視されはじめたことを8月1日のポストに書いた。これら定住を拒否し、流れ歩く放浪者には、「旅行をする人々」とフランス語で規定されている人たち、また「ロム」や「ツィガンヌ」と呼ばれる主にルーマニアやブルガリアなどの旧東欧の人たちが多くを占める放浪者の群れがいる。この事件以来、彼らの権利をめぐって論議が戦わされているが、通称ロムといわれるルーマニアからの放浪者たちが全国各地の一時逗留地から徐々に機動隊によって強制撤去されはじめ、きのうからルーマニアへの強制送還が始まった。大人には300ユーロ、子供には100ユーロがフランス政府から渡され、またフランスに戻ってきても良いという条件付で、着の身着のままでチャーター機に乗せられて第一便がブカレストへ直行した。今月末までに、850人が同様に本国送還されることになっている。ロムは、ヨーロッパを流れ歩いて生活をつないでいるが、本国へ帰っても家も職もなく、またフランスへ戻ることを希望するものも少なくない。 ルーマニアは欧州連合加盟国でもあり、欧州連合の規約にのっとれば加盟国の国民はヨーロッパ内を自由に行き来し、また職業活動をしてもよいことになっているが、こうした自由通行に反した強制送還という今回のフランスの措置は、欧州連合とのあいだに亀裂を起こす恐れがあるといわれている。また、強制送還される人々が再びフランスへ戻ることができることで、政府の強行措置を疑問視する向きも少なくない。 一方、「旅行をする人々」と規定されている人々がボルドーで市長を相手に一時滞在の権利を主張している。放浪者としてフランスの法規定を受けている彼らは、フランス国籍を有し、定住していないが自分たちは浮浪者でも物乞いでもないとメディアに発表して自分らの生き方を誇示した。フランスには「旅行をする人々」のためにキャンピング・カーを泊める土地を用意する都市もあるが、ボルドー市は今回これらの人々に電気もなく水もない不便な土地を提案したため、「人間扱い」を要求する訴えを起こした。 My opinion: 二つの射殺事件から、フランス政府が外国人をどう扱うかに固執し政府はそれを中心にものごとを展開させている事実へ、フランスのニュース自体が切込みを入れていることを知らせたいと思っている。 他から: 欧州連合議員のダニエル・カン=ベンディット(Daniel Cohn-Bendit)は、こうした政府のイロジックかつその場しのぎの方策へ、「現政府は、ドイツなどと比較しても失業状況も説明できないし、例の国籍剥奪も、フランス人が外国人と同じ罪を犯したら、フランス人のフランス国籍も没収ですか?大体、サルコジ政策はここ8年*ものあいだ何もできないどころか国が退廃し続けている。サルコジの責任だ」と怒りを表明している。 翌日の野党社会党のリアクション: 夏休みの社会党集会で議員の一人が、「すべての悪は外からやってくるという、フランス中心主義を超えて極右のフロンナショナル党化してしまった論理を掲げるサルコジ政権を、改めて糾弾する」と表明した。「フランスが退廃しているのは外国人のせいだということを誰もが知っているじゃあないか」と切り返すのは保守党UMPの議員。いずれにしても、2012年の大統領選挙は、社会党が勝ってほしいという世論が8月22日付で大多数の55%を占めるという統計がでており、社会党に限らず野党勢力全体が早くもつぎの大統領選にむけて活気づき始めているというのが現状だ。 強制送還後のロム: チャーター機でブカレストへ着いたロムたちは、ルーマニアでも歓迎されていない。23日付のフランスTV のルポルタージュは、ルーマニアでも差別視されるロムの姿を追った。「彼らがルーマニアの名前を利用して庇護を請うのは、まったく好ましくないわねえ。イメージ悪いわよ」とはルーマニアの首都での通りすがりの女性の意見。「商売をする脇でほったて小屋を建てられたらたまったものじゃない」とは新聞を売るキオスクの男性の意見。現代における「放浪・Nomade」とは、何なのだろう。24日現在もマルセイユ、ヴィルヌーヴダスクなどの町でロムの強制撤去が進んでいる。 ・ダニエル・カン=ベンディットのビデオ(2010年8月18日オンライン) サルコジ、無責任! ・ロム Rom ・旅行をする人々 Gens du voyage ・8年* 2002年、ニコラ・サルコジが、シラク大統領ラファラン内閣のもとで内務大臣に就任。国家警察力を掌握した。