フランスから―環境とアートのブログ

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アンドレ・マルロー、文化省発足前夜 1

アンドレ・マルロー、文化省発足前夜 1

時間が経過しても、見直す意義のあると思える文章がいくつかある。これは、2002年、アンドレ・マルローの生誕100年を記念した年に、『ふらんす』(白水社出版月刊誌)に掲載した拙文。戦後初めての文化省設立に英知を注いだアンドレ・マルローの資料周辺を翻訳し、掲載用に短く取りまとめたものである。(Tag:アンドレ・マルロー、で記事検索) ------- 現代文化と政治、その関係の始まり <文化大臣、アンドレ・マルロー生誕百年に寄せて>…

現代文化と国について 2

“L’Art à tout prix!(どんな代価を払っても、アート!)” フランスは、公が「文化」を語ることが少し前まで一つの日常だったのだが、ここ数年は政治と経済の話ばかりが先行して、文化が語られる機会がまったく僅少になってしまっている。むかしは、国が保護をすることで、荒々しい経済の波から少しでも切り離し、創造されるものが政治的な道具とならないように、文化の論理を真摯に解きほぐす態度が公の側に常に存在していた。国の元首であるミッテランやシラクが、政策の左右にかかわらず、政治のディスクールに必ず文化を基盤におき、「フランス文化の特殊性」「文化の多様性」といったフランスの文化的アイデンティティーを明確にする常套句をあみだし、われわれはそれを毎日のように彼らの口から繰り返して聞いた。フランスの空気は文化ということばで充満されていたと言っても過言ではないと思う。 2007年以来そんなことはついぞなくなり、近年は文化と文明がごちゃ混ぜ。…