フランスから―環境とアートのブログ

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ヨーロッパ文化遺産の日、今日明日

2013年9月14日、15日、9月の第三ウィークエンドは、ヨーロッパ文化遺産の日:Journées européennes du patrimoine。 フランスでは約3万の文化遺産が一般公開される。今年はフランスが1913年12月31日に制定した文化財保護法成立100年目。またフランスが、「文化遺産の日」と銘打って、日ごろ一般公開していない文化の地を公開することを決めて、今年30年目を迎える記念の年となっている。文化遺産の日がヨーロッパ議会に取り上げられてあっという間にヨーロッパ中の国が賛同し、自分らも文化遺産の公開を始めて今日に至っている。 ヨーロッパ文化遺産の日に賛同し参加する国は50カ国。各国テーマを持ち、それぞれ文化遺産を一般に公開しているが、例えばドイツは、国の「負の遺産」である戦争のときの強制収容所等も今後の教育のために文化遺産として公開することを決めた。遺産の概念を広げる意味を持つものとなっている。またスイスではエネルギーを象徴する「火、光」などがテーマ。ハンガリーは近未来、管理が厳しくなる「水」をテーマに問題を投げかける。(以下、フランス文化省へリンク)

ドイツおよび欧州、ナチス戦犯の捜索強化

[アクチュアリティ]8月12日のフランス2TV夜のニュースから: ハンガリーで公判を待って自宅謹慎していたハンガリー人の旧ナチス戦犯、Laszlo Csataryが先週土曜日ブタペストの病院で亡くなった。98歳だった。第二次大戦時中の1940年から1944年のあいだに、15700人あまりのユダヤ人をスロバキアの強制収容所へ暴力的に連行した「非人道的」行為を追求する裁判にかけられる予定だった。 Laszlo Csataryは1948年、死刑宣告を受けてカナダへ逃亡し、画商をして生活をつないでいたが、1995年にカナダ当局がその正体を発見したためハンガリーへ逃走。2012年に、エルサレムのSimon Wiesenthalセンターによる旧ナチス戦犯の国際捜査によって捕縛されるまで、ハンガリーで何の心配もなく普通の生活を送っていたという。 ・ヨーロッパはナチス戦犯の捜索に積極的(ル・パリジアン) ヨーロッパ当局はこの数年、ホロコーストに直接かかわった戦犯を法で裁くために捜索を強めていた。近年では2011年、ドイツ当局がソビボーア強制収容所の監視員をしていたJohn Demjanjukを有罪にした。戦時中の70年前、John Demjanjukは若年で重要なポストには就いていなかったが、強制収容所で仕事をしたというだけで、直接殺戮に加わらなくても有罪に十分値すると判断されたことによる。 また、同じくドイツでこの5月、Hans Lipschis 93歳が逮捕され、やはり監視員としてアウシュビッツ収容所で大量殺戮に加わった疑いをもたれているが、本人は料理人だったと主張しているという。 ・Laszlo Csataryの死亡を契機に、ドイツで旧ナチス戦犯の捜索強化(フランス2TV)

論争、エヴァ・ジョリィ対フランソワ・フィヨン

論争沸騰、軍事パレードから二重国籍へ- 7月14日、キャトルズ・ジュイエ。シャンゼリゼ通りで行われる恒例の軍事パレードについて、EELV(ユーロップ・エコロジー・レ・ヴェール)に選出された大統領候補エヴァ・ジョリィの発言が、論争を巻き起こした。この日エヴァ・ジョリィが、「軍事パレードを廃止して、市民のパレードに切りかえてはどうか」と発言したところ、フランソワ・フィヨン首相がこれを受け、「なんとも悲しい発言だ。この’婦人’はフランスの伝統や、古い文化や価値、またフランスの歴史がまるで分かっておられない」と、メディアに向けて正式発表するかたちをとってやり返した。エヴァ・ジョリィはこれに反駁し、「私はフランスで50年も生活してきたれっきとしたフランス人です。私の愛国心に対し疑いを投げかけるような言い方は許せません」。引き続き『Le Point』誌上で、「こうした(首相の)言い過ぎは、ナショナル・アイデンティティをたてに虚勢を張るところからでている。首相は、ああしたことを言ったことで、公ですべき意見討論の意味を貶めたばかりではなく、共和制政体のあり方そのものが退廃へ向かっていることを露にした」と述べた。 EELVの創始者、ダニエル・カン=ベンディット(欧州議員)は、「エヴァは正しい。フィヨンの脱線だ」。ユーロップ・エコロジー書記長セシル・デュフロは、「こうした発言をする首相は恥だ」。また社会党のフランソワ・オーランドは、「(軍事パレードをうんぬんというのはひとつのアイデアとして出ただけ)出てくるアイデアのもろもろを公の場で検討していくのは当たり前のことなのだが、そうした討論の場すら拒否してしまうような政府は言語道断です。フィヨン発言は許せません」。社会党のマルチーヌ・オーブリィはさらに輪をかけて、「フランスで生まれたフランス人も、フランスの外で生まれたフランス人もフランス人として同等の立場にあります。同等の権利を再び外と内とで引き裂くようなフィヨン首相の発言は、大問題です。フロン・ナショナル(極右政党)と同じラインではないですか。今回、心底からショックを受けました」。 軍事パレードの問題を飛び越え、フィヨン発言は革新左派を逆撫でする結果となり、「ナショナル・アイデンティティ」にかんする保守右派政府と革新左派全体の対立を、再び浮上させることとなった。 (フランス2TV、TF1TV、F2blog、Le Point) 〈注記: キャトルズ・ジュイエの軍事パレードについて - 大本はナポレオン一世時代に始まったもので、そののち1880年から毎年国民の日7月14日に行われるようになったパレード。シャンゼリゼ通りで行われるようになったのは第一次世界大戦後の1919年。現在のパレードは約4000人の軍隊(兵学校、海軍、陸軍など)、および消防、警察などで構成されている。キャトルズ・ジュイエの軍事パレードは、ロシアの赤の広場の軍事パレードに次ぐ大きなパレードといわれている。〉 My opinion: エヴァ・ジョリィの立候補と今回の発言、またフィヨン首相の発言にはさまざまな大問題が含まれている。キャトルズ・ジュイエの軍事パレードについていえば、現在軍事パレードが定期的にこれだけの規模で行われている国はロシア、北朝鮮など、ある種の政治色が濃い国ばかりであること。伝統的かつ著名な風習を廃止するという「ひとつの」提案を無下にし、フランス・ノルウエーの二重国籍を持つエヴァ・ジョリィに対し、「このご婦人はフランスの歴史も価値も知らない」といったフィヨン首相の表現には、エヴァ・ジョリィを外国人とみなしてフランスという国の概念の外へ押し出そうという意味合いがありありとしていたことだった。出るべくして出たこの二重国籍を保持する大統領候補の「出自」の問題。このことで、保守現政府が政府樹立当初、省まで設けた「ナショナル・アイデンティティの概念」を思い起こす国粋主義的な保守の根本志向が再浮上し、従来の保革の思想的対立へ立ち返ることになった。 フランスは植民地が多かった。北アフリカ、仏領インドネシア、ポリネシアなど、旧植民地関係でもフランス国籍を持つ有色人種がたくさんいる。フランス自体、イタリア、スペイン、ロシアなどの少数ながら民族移動と居留が歴史的に頻繁に繰り返されており、国民の混血を免れてはいない。また、サルコジ大統領も父親はハンガリー人でブタペスト生まれ、母親はフランスで生まれているが、家系はユダヤ系ギリシャ人。フランス人のアイデンティティを再考して、フランス人として不釣合いあるいは疑わしい人間の国籍を没収する、などという政策をとるなどしている現政府の「シェフ」ですら、フランス国籍取得は一代前のことでしかない。 こうした国で考えることは、自分のアイデンティティもしかることながら、「人間の権利」とは何かということだ。生まれたときから授けられた権利、剥奪される権利、獲得していく権利。いろいろあるが、現在生活をしている現場の国の人間たちと同じ権利を保障する国籍に関していうならば、日本は本来、二重国籍保持を許してはいない。したがって日本国籍を持つ限りは、日本人が外国で大統領候補になる可能性などは皆無である。したがって、フランスに50年いてもエヴァ・ジョリィにはなれない。すでにその50年あるいは1年ですらも、エヴァ・ジョリィと同じ生き方はできない。国の外で見えてくる人間の「権利の対等」。対等の権利を持つ。人一人の運命にとどまらず国の運命まで変えるキー概念のひとつがここにある。(S.H.)

ハンガリー、緊急事態

大量の廃棄水による汚染 - ブタペストの西150kmのアルミニウム工場の廃棄水プールが決壊し、百万立方メーター以上の赤い汚染水が三県にまたがる地域に洪水のように流れ出した。汚染水はアルミニウムや鉛を含む毒性の強い赤い泥水で、火傷や呼吸困難を引き起こす。住宅地に流れ出した赤泥汚染水で4人が死亡123人が怪我、多くの住宅が被害を受けている。すでに汚染水は地面に浸透して広範囲の地域の動植物が殲滅、4、5日でドナウ川に流れ込む見込み。ハンガリー当局は、緊急事態を発令した。(フランスTV) 人災による環境汚染は悪化する一方のように思える。(S.H.)